本場アメリカに日本のECは進出できるのか?

井上 佳美

こんにちは。
売れるネット広告社 メディア部 シニアメディアプランナーの井上佳美(いのうえよしみ)と申します。

先日アメリカ(サンフランシスコとロサンゼルス)へ出張に行き、現地で運用型広告を行っている代理店の方や紙媒体で成功を収めた方のお話を聞く機会がありました。
その中でも、特に興味深かったことは“EC(通販)はネット広告の本場といえるアメリカで、ビジネスとして通用するのか?”ということです。

今回は現地で伺ったことを基に、アメリカでのECの立ち位置についてお伝えしていきます。

アメリカのIT業界事情

アメリカに進出するぞー!と意気込む前に当たり前ではありますが、現状を知っておく必要があります。出張でお伺いした街、サンフランシスコにはご存知シリコンバレーがあり、FacebookやApple、Googleといった誰でも知っている大企業があります。

もちろんこれらの企業はアメリカ国内のみならず世界中で影響力を持っています。アメリカに進出するということは、このような大企業と同じ土俵で戦うということでもあります。事前に、どこを目指していくのか指標をしっかり立てておく必要がありそうです。

特に今回の出張で個人的に気になっていたことの一つが、果たしてこの大企業陣に真っ向から立ちむかう人たちはいるのか?でした。

完全に個人の主張なので流す程度に見ていただきたいのですが、ITで進出するのは勝ち目がないためもっとブルーオーシャンな市場を探すのが賢明だろうと思います。(ブルーオーシャンな市場をお伝えする内容ではないので、割愛しますが・・)

話を戻しますが、結論としては立ち向かう人々(企業)はたくさん存在するようです。ただ、第二のFacebook、Appleを目指しているのはほんの少数派で、多くがM&Aを狙っているというのが現実です。アメリカは誰もが憧れる土地で、多くの優秀な人材が集まる場所でもあります。若くして成功を収めたいと思う人の多くは、芽が出そうなベンチャー企業を探して就職し次なるM&Aを待ったり、自ら面白い技術を売る会社を起こしたりして事業統合される努力を行うのです。

今回お話をお伺いした方の中には元IBMの社員という肩書の方もいらっしゃいました。インタビューの中で、「IBMからベンチャー企業に転職した理由」をお伺いした際に、もちろんベンチャーの方が大企業に比べると自由度が高くチャレンジできるという点を挙げつつ、M&Aをするとお金が入るという点が魅力だと仰っていました。

知っておきたい落とし穴

アメリカでは、M&Aが流行っていて、IT企業としての純粋な大成長を求めている人は限られていることが分かりましたので、本題に入っていきます。

では実際にEC(通販)事業をアメリカで行うことができるのでしょうか?今まで述べてきた通りアメリカには優秀な人材が多く集まっているため簡単にはいかないです。簡単にいかない理由をいくつか述べますがご安心ください、後半に糸口もしっかりとご用意しております。

まず失敗しないためにも押さえておきたいのはアメリカが50の州からなる合衆国だということです。(個人的には、ここにアメリカ進出が容易にできない大部分が詰まっているような気がします。)

つまり、今回訪れたカリフォルニア州と間反対にあるニューヨーク州では全く文化が違うということです。サンフランシスコやロサンゼルス(カリフォルニア)は圧倒的な車社会で、屋外看板で弁護士のナンバーがでかでかと載っていたり、映画広告が目に飛び込んできたりしました。さすが映画の聖地とは思いましたが・・これらの都市では、オンラインよりオフラインの広告文化が根強いようです。

実際にロサンゼルスでフリーペーパーの会社を経営されている方曰く、EC(通販)をこちら(ロサンゼルス)で成功させるのは難しいとのことで、EC(通販)が成功していたらフリーペーパーは浸透しないとのことでした。確かに仰る通りでございます。

一方ニューヨーク(私は中学生の時に国際会議で訪れました)ですが、中学当時からEC(通販)のCMが放映されていた記憶があります。一例として私は自分の経験で挙げておりますので一概にそうだとは言い切れませんが、屋外広告で弁護士や映画広告がメインのカリフォルニア州と数年前からEC(通販)のCMが放映されていたニューヨーク州の場合では、どちらの方が進出する市場として優位か分かっていただけるかと思います。

このように州によって大枠が異なるため、どの州が今一番熱いのか?や次に流れに乗る州はどこなのか?という情報は事前に押さえておくことがマストです。

次に押さえておきたいのは、EC(通販)の中でも何をメインに売っていきたいのか?です。もちろんアメリカのEC(通販)市場は右肩上がりで、2019年度は62兆円になると予想されています。

その内訳ですが、化粧品や健康食品の通販が盛んな日本とは異なり、アメリカでは電化製品やおもちゃがEC市場の半分以上を占めています。ということは、成熟してきているこの(電化製品・おもちゃ)市場以外には伸び代があるため、成功のチャンスが多いのではないでしょうか。ここまで長々と説明してきましたが、結論は可能なのです。

出典:https://www.statista.com/statistics/379112/e-commerce-share-of-retail-sales-in-us/

逆張りの発想

しかしながら、日本企業の中でもアメリカ進出を考えいざ出陣したが早期に退散してきたというところは多くあるかと思います。一方で成功を収めた企業もあります。違いは何でしょうか?もちろん、今まで述べてきたことを必須で行ってきていることは間違いないです。その上で、皆とは同じことをしていない点が挙げられるかと思います。

今回セプテーニアメリカのCEOと取締役の方とお話をさせていただく機会がありました。その際にお二方が仰っていたこととしては「セプテーニは後発でアメリカへ進出したため既存で入っている企業様とは異なる視点から広告を売っていく必要があった」ということです。事業がEC(通販)ではなく広告販売ですが、概念としては同じです。参入していく市場が飽和しているのであれば、逆張りの発想で事業を広げる方法を考えることが必要なのです。

そもそもアメリカでIT産業に参入する人の多くがM&Aを狙っているのも、すでに造られてきたIT産業という枠組みの中に切り込んでいくための逆転の発想だと私は思います。

アメリカにおいてEC(通販)の位置づけは、まだまだこれから伸びていく市場として捉えられています。世界的に見てもアメリカは中国に次いで第二位となっているため、拡大性も秘めていると言えます。

日本ではEC(通販)といえば、健康食品のイメージが強いですが、アメリカでは電化製品やおもちゃなど嵩張るものをEC(通販)で購入する人が多いのが実情です。ここまでくると、もう既に新しいビジョンが見えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

日本のEC(通販)はアメリカに進出できる?

さて、先に結論付けてしまいましたが、日本のEC(通販)はアメリカに進出することができます。もう少しヒントを記載しますと、前述したフリーペーパーの会社様は現地にて日本食のフェスを主催されています。元々は現地の日本人に向けて主催したものでしたが、開催日にはSNSでフェスのことが拡散され日本人以外も多く参加してくれたようです。

これは結果論ではありますが、現時点ではアメリカのEC市場で活発にやりとりされていないカテゴリーの商品を売る(認知してもらう)ために、オフラインのリアルイベントを取り入れるのも逆張りの良い例ではないでしょうか?オフラインを起点とした集客は、特にオフラインの広告文化が根強い都市で有効と考えられます。

ただ、その中で成功させるためには、上記に記載させていただいたことはもちろん、数多の情報を得ることが必要です。今回アメリカ現地に行き、体験したことを記事に起こしたことで日本のEC(通販)市場がもっと世界各国で盛り上がっていけばと思います。

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著者

井上 佳美 (Inoue Yoshimi)

福岡県出身。北九州市立大学外国語学部卒業。
学生時代、アメリカ(コネチカット州)で開かれた国際環境会議に参加。他にも学生団体を通して音楽フェスティバルやボランティア活動に勤んだ。その経験から“どんなところでも自分の成果を出せる人間になりたい”と大学の外国語学部英米学科で学ぶ。
その後、建築系会社でセミナーや見学会、自社情報誌のライティングなど多岐に渡る業務を担当し、1年間で固定客を倍にする。
趣味は旅行。写真集に収められた風景と同じところに行くことが好き。
また、小学生の間『日本舞踊』を続けていたため、浴衣の着付けができることが自慢。
売れるネット広告社2018年度上期「社長賞」、売れるネット広告社2019年度上期「社長賞」、売れるネット広告社2019年度下期「MVP賞」受賞。
通販エキスパート検定1級(通販マネジメント編)保有。

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