台湾のEC市場は越境EC向き?
はじまり
科学技術の発展やネット使用率の向上でEC化率は上昇の一途をたどってきましたが、コロナウイルスは更にその傾向を加速させました。また特筆すべきは、コロナウイルスによって海外に行けない消費者が、海外現地限定の商品を買い求めてECサイトなどで買い物をする傾向があったことです。欧州各地や日本でも再流行の兆しを見せる国があることから、海外旅行の解禁は当面難しいのではないかと思います。よってお土産品のようなインバウンド需要を喚起する商品が越境ECサイト等で頻繁に買われる傾向は今後もしばらく続くと予想されます。こうした状況を受けて、東南アジア進出の足掛かりと期待される台湾市場について、データをもとに改めて台湾越境ECの可能性について考えてみたいと思います。
台湾のネット使用について
財団法人台湾ネットワークインフォメーションセンター(Taiwan Network Information Center, TWNIC)が発表した「2019 年台灣網路(ネット)報告」によると、台湾におけるネット使用者数は1,898万人、ネット使用率は85.6%と推定されております。また、国際研究Internet World Statsが発表した、アジア各国のネット使用率の調査結果によると、台湾のネット使用率は92.8%で、韓国と日本に次いで3位となっています。かなり高いと言えるのではないでしょうか。
また、一人当たりのページ閲覧数の調査では、台湾は閲覧一回の平均ページ数が13.4ページ、月間1,562ページ、年間の総閲覧時間は28,459百万分でアジア1位となっています。詳細は以下の図表をご覧ください。参考として、イギリス、アメリカ、オーストラリアも入っています。
台湾EC通販購入の現状について
まず、2011年-2019年のECの売上と前年同期比のデータをご覧ください。8年間右肩上がりとなり、2019年も前年を上回ることが予想されています。
更に細かく、小売りのEC通販売上と前年同期比を見てみましょう。
2017年から右肩上がりで、2020年も統計時点で同様の傾向が予想されています。
また、消費金額に対して、同じく財団法人台湾ネットワークインフォメーションセンター(Taiwan Network Information Center, TWNIC)が発表した「2019 年台灣網路(ネット)報告」によると、2019年の月平均のEC購入金額は2,600元強となっています。(※2019*と2019**は、調査方法による差となっています。)
結論
以上のとおり、台湾市場の傾向は、
① ネット使用率がアジアでは、韓国と日本に次いで3位
② EC通販売上と前年同期比は2011年から、右肩上がりの勢いはしばらく続きそう
③ EC購入人気ジャンルのトップ3、日用品、家電用品、衣服・服飾小物であり、全て越境販売に適した商材で、日本が得意なジャンル
④ 月平均EC購入金額は2,600元強(日本円でおよそ9,470円)で、台湾労働部が設定した基本給料24,000元(日本円でおよそ87,423円)の10.8%に相当する
上記の結果から、台湾市場は、ネット使用率の高い特徴があり、ECの消費金額も給料の10%以上となっています。ジャンルについても、ローカルレストランの食事券や交通機関のチケットなどではなく、全て越境販売に適した商材で、しかも日本が得意なジャンルです。EC通販市場も、コロナウイルスの完全収束まで、まだまだ成長し続けていくだろうと思われますので、台湾市場は日本企業にとって越境EC向きと言えると思います。