単品通販・D2Cのマーケティングは“二重人格戦法”でいけ!広告をやらなくても“ブランディング” はできる

加藤公一レオ

こんにちは。売れるネット広告社 代表取締役社長 CEO 加藤公一レオです。

私はもう20年以上広告業界に身を置いている。今でこそダイレクトマーケティング領域に特化しているものの、大手広告代理店時代はテレビCMや新聞広告に代表される「ブランディング広告」を長く担当していた。

その後、ネットに軸を置いたダイレクトマーケティングにシフトしたので、「オフライン」と「オンライン」、「ブランディング広告」と「刈り取り広告」の両方を経験している。私のような経歴をもつ広告マンは案外珍しい。

今のネット広告業界を見ていると、「刈り取り広告」で“ブランディング”もやろうとしたり、“ブランディング”という名のもとに広告マンの思うつぼになってしまったりしているクライアントがものすごく多い。

そこで、「オフライン」と「オンライン」、「ブランディング広告」と「刈り取り広告」の両方を経験してきた私だからこそ語れる単品通販・D2Cのマーケティングについて、“ブランディング”の領域にまで踏み込んでお話したい。

本当の“ブランディング”は広告ではできない

本当の“ブランディング”は広告ではできない

私は2010年に『売れるネット広告社』を創業して以来、大手広告代理店の既得権益をぶっ壊すべく、徹底的に「広告の費用対効果」で勝負してきた。

今から言うことは、ある意味広告業界ではタブー中のタブーである。

ズバリ言ってしまうと、本当の意味での“ブランディング”は広告ではできない!なぜなら、最高の“ブランディング”というのは、お客様に実際に商品を使ってもらうこと、そして実際に商品を使った体験から生まれるものだからである。

しかも、今どきメールもホームページもSNSもYouTubeもあるのだから、企業は直接お客様にあらゆるメッセージを伝えられるし、テレビCMよりずっと長い動画を配信することも簡単にできてしまう。

しかも、単品通販・D2Cの場合は、お客様のリストを持っているという圧倒的な強みがある。すでにお客様の個人情報を把握しているのだから、わざわざ公共の電波を利用してブランディング目的の広告をやる必要などないのだ。

ぶっちゃけ、広告マンが言う「テレビCMでブランディングしましょう」「ネット広告でブランディングしましょう」というのは、広告業界のキレイゴトである!!

テレビCMやネット広告をやることで広告業界は莫大な広告収入を得られるため、自分たちに都合よく「ブランディング=広告」とポジショニングして、クライアントに「ブランディングのためには広告が必要なんだ」と思い込ませているだけなのだ。

“ブランディング”が広告マンの逃げの口実に

“ブランディング”が広告マンの逃げの口実に

こんな状況だから、今の日本の広告業界で語られる“ブランディング”は実に薄っぺらい。実際のところ、“ブランディング”は広告マンが「広告の費用対効果」に対する責任を負いたくないがための逃げの口実にされていることも多いのが事実である!

試しに、身近な広告代理店に「そのブランディング広告をやったら、ウチの売上はいくら上がるの?」と聞いてみてほしい。すると、その広告マンは「ブランディング広告は売上に直結するというよりは、認知を広げて良いイメージを作って、御社の販促をバックアップするんですよ~」と答えるだろう。

それに対し、「では、その認知とイメージはいつ、どんなふうに、どれぐらいの売上をウチにもたらすの?」と返してみるといい。間違いなくその広告マンは“沈黙”するはずだ…。

このように日本の広告業界では、“ブランディング”の名のもとに「広告の費用対効果」が曖昧にされていることがあまりにも多い!世の中の広告マンは、「広告の費用対効果=結果」で勝負する自信がないから、“ブランディング”という言葉で逃げているだけなのだ。

結論、世の中の企業が売上と利益を上げて事業を維持・拡大させていく必要がある以上、広告・マーケティングの目的は、ズバリ商品を“売る”ことである!!売上につながらない“ブランディング”なんか無意味なのである。

単品通販・D2Cのマーケティングは“二重人格戦法”でいけ

単品通販・D2Cのマーケティングは“二重人格戦法”でいけ

ただし、会社やブランドの理念や思いを伝える“ブランディング”もやらないと、売上100億円を超えた単品通販・D2C会社が次のステージに上がれないのも事実だし、既存顧客向けの“ブランディング”には「CRM」としての意義もある。

そこで、単品通販・D2C会社がとるべきマーケティング戦略について、今回は珍しく“ブランディング”の領域にまで踏み込んでお伝えする。

結論から言ってしまうと、単品通販・D2C会社がやるべきマーケティングは“二重人格戦法”である!

つまりは、お客様の購入プロセスにおけるフェーズや媒体特性に応じて、戦略的にクリエイティブのトンマナをがらっと変えるのだ。

「ブランディング広告」はレスポンスがゼロだと割り切ってクリエイティブのトンマナを“超上品”に、逆に「刈り取り広告」はクリエイティブのトンマナを“コテコテ”に。こうやって両極端なトンマナを使い分けるのが「勝ち組通販・D2C」の成功法則なのである!

それをわかっていない広告マンは「トンマナを統一してブランドの世界観を伝えないと」などと言うが、そんなのはただのキレイゴトにすぎない。

事実として、“二重人格戦法”の方が売れるのである!「ブランディング広告」と「刈り取り広告」のクリエイティブのトンマナは“二重人格”で良い。媒体ごとの特性をしっかり理解して、役割を定義してどちらかに振り切ることが重要なのだ!

ランディングページは“コテコテ”に振り切る

単品通販・D2C会社にとって、新規顧客の出会いの場となるのは、多くの場合ランディングページである。

ランディングページは言ってみれば「チラシのネット版」であり、当然「刈り取り広告」なのだが、最近増えているのが、上品でシャレオツなトンマナのランディングページだ。

ランディングページを上品でシャレオツなトンマナにするのは、「ブランディングをしながらレスポンスがとれる広告」を期待するということである。「純情だけどエロい女性がいい」と言っているようなもので、これをやるとどっちつかずの中途半端な広告になってしまう。

繰り返しになるが、最高の“ブランディング”とは、お客様に実際に商品を使ってもらうことである!

まずは商品を試してもらわないと始まらないのだから、「刈り取り広告」であるランディングページで中途半端に“ブランディング”を狙うのはやめて、まずは“コテコテ”のランディングページで「無料モニターや500円モニターを申込んでもらって、商品を試してもらうこと」に集中しよう!

『売れるネット広告社』はこれまで“1000回以上”の【A/Bテスト】を繰り返してきたので、あらゆる【A/Bテスト】の結果を蓄積しているが、上品でシャレオツなトンマナのランディングページよりも、“コテコテ”なトンマナのランディングページのほうが間違いなくコンバージョン率が上がる!

あくまでも「刈り取り広告」であるランディングページでは、紙のチラシのような“コテコテ”のトンマナに振り切って、「お申込みへの誘導」のみを意識するようにしよう。

単品通販・D2Cの“ブランディング”に広告は必要ない

単品通販・D2Cの“ブランディング”に広告は必要ない

お客様がランディングページから無料モニターや500円モニターを申込んでくれたら、 “ブランディング”の出番である。

ただし大前提として、“ブランディング”をする上で、必ずしも広告をやる必要はない。

「1人のお客様により多く、より長く買ってもらうことで売上と利益を最大化する」という単品通販・D2Cのビジネスモデルを踏まえると、単品通販・D2Cにおける“ブランディング”は新規顧客の獲得よりも、既存顧客のロイヤリティを高めてLTVを最大化することのほうが大事だからだ。

そうなると、莫大な広告費をかけてテレビや新聞を使って“ブランディング”をする必要はなく、同梱物や会報誌、オウンドメディアやメール、SNSなどを駆使してダイレクトに企業理念や商品の価値を伝えることでさらなるファン化を進めていけばいいのである!

ランディングページで獲得したばかりのお客様に対する“ブランディング”で意外に重要な役割を果たすのが同梱物である。

ランディングページで無料モニターや500円モニターを申込んだお客様にとって、その商品やブランドの世界観を実際に体験する瞬間とは、届いたモニター商品を開封して使ってみる瞬間である。

商品の使い心地が良いことが前提にはなってくるが、モニター商品を開封した際に美しいパンフレットが入っていると、ブランドや会社の印象が劇的に良くなる。「刈り取り広告」であるランディングページは“コテコテ”のトンマナだったが、ここで“二重人格戦法”を発揮して、同梱物は“超上品”なトンマナにして“ブランディング”を狙うのだ。

同梱物でブランドや会社の理念、効果が上がる商品の使い方などを美しいイメージとともに紹介し、商品の“世界観”を余すところなく伝えることがファン化につながる。したがって、同梱物は極力、薄いペラではなく、読み物としての価値があるしっかりとした冊子状のものにすることをおすすめする。

当然、既存顧客に送る会報誌やメール、オウンドメディアなどでも“ブランディング”は可能だ。会報誌で開発者の想いやその商品を長く使っているお客様の喜びの声を紹介したり、メールで企業理念や創業秘話を紹介したり…そうやって絶えずお客様にポジティブな情報を伝え続けることが“ブランディング”につながるのである!

テレビCMはここぞというドーピング

ここまで、単品通販・D2Cにおける“ブランディング”の手段としてのテレビCMを否定する発言をしてきたが、テレビCMが劇的な効果を発揮する場面がある。

それが、ネット広告・折り込みチラシ・インフォマーシャルといった「刈り取り広告」のレスポンスが伸びる「倍増効果=ドーピング効果」を狙う場合だ。

どういうことかと言うと、「ブランディング広告」であるテレビCMの放映期間中は、ネット広告や折り込みチラシなどの「刈り取り広告」のレスポンスが約1.5倍上がるのである!

売上100億円以上の「勝ち組通販・D2C」は、テレビCMによる「倍増効果=ドーピング効果」を狙って、テレビCMの放映期間中に「刈り取り広告」を一気に投下している。そうすることで、テレビCMの莫大な広告費をペイできるほどのレスポンスを獲得することができるのだ。

もちろん、テレビCMによる「倍増効果=ドーピング効果」を狙う場合も“二重人格戦法”は健在。「ブランディング広告」であるテレビCMは“超上品”でシャレオツなトンマナにして、「刈り取り広告」であるネット広告や折り込みチラシなどは“コテコテ”のトンマナを貫くのである。

ただし、テレビCMを打って「倍増効果=ドーピング効果」を狙うのは、あくまでも売上100億円以上の単品通販・D2C会社限定。中小の単品通販・D2C会社は、テレビCMなどの「ブランディング広告」なんかやらずに、「刈り取り広告」と、同梱物やオウンドメディア等を用いた既存顧客向けの“ブランディング”に集中すべきである。

中小の単品通販・D2C会社は、“コテコテ”のクリエイティブでレスポンスをとってなんぼ、既存顧客のLTVを最大化して売上を上げてなんぼだ!!

世の中で「ブランディング広告といえばテレビCM」と思われているせいで、テレビCMを打つ資金がない中小の単品通販・D2C会社は、中途半端にランディングページで“ブランディング”を狙おうとする。

しかし、ひとつの広告媒体でレスポンスと“ブランディング”をやろうとすると、どちらも中途半端になってしまって一番良くない。

今回の話をまとめると、中小の単品通販・D2C会社の場合、広告はレスポンスだけを目的とした「刈り取り広告」だけをやればいいし、まずは同梱物やオウンドメディアを駆使し、“ブランディング”要素を採り入れたCRMで既存顧客のLTVを上げることに集中すればいい。

大事なことは、「刈り取り広告」は“コテコテ”のトンマナにして、“ブランディング”を目的とした媒体やツールは“超上品”なトンマナにして、それぞれの性格をぶらさないようにすることだ。

一貫性がないと思うかもしれないが、事実“二重人格戦法”のほうが売れる!あなたの会社でもいいとこどりの“二重人格戦法”を実践して、広告の費用対効果改善と売上アップを実現してほしい。


著者

加藤公一レオ

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。
西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社ADKホールディングスにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアントのネット広告を大成功させる。
その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。
「やずやベストパートナー賞」受賞。「Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞」受賞。「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ジャパン九州地区」受賞。
広告・マーケティング業界のオリンピック「アドテック」で3年連続人気スピーカー1位。
「全日本DM大賞最終審査員」や「米国 International ECHO Awards審査員」、「九州インターネット広告協会の初代会長」も務めた。著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ 売れるネットショップ繁盛記』(impress Digital Books)。
単品通販(D2C)のネット広告の費用対効果を最大化するクラウドサービス『売れるネット広告つくーる』を監修。

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