【連載企画 ニュースのヨミカタ】全EC事業者が対象 特定商取引法改正で対応すべきこと

ECのミカタ編集部

EC業界の専門メディア視点で注目ニュースを解説する「ニュースのヨミカタ」。2022年3月31日発刊のECのミカタ通信vol.23内の本企画では、2022年6月に改正法が施行される特定商取引法・預託法にフォーカスし、事業者が対応すべきポイントの1つである、ECサイトの「最終確認画面」における対応について解説しています。その連動企画としてECのミカタ通信WEBでは、改正に伴いEC事業者が対応すべきことのうちのもう一方である「『特別商取引法に基づく表記』ページ」の表記事項について、追加記載を検討すべき項目がまとまったお役立ち資料を同時公開。以下URLより、無料でダウンロードいただけます。
https://ecnomikata.com/knowhow/33988/

特定商取引法・預託法の改正とは?

2021年6月16日、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」が公布され、2022年6月1日より施行されます。
この法律により、特定商取引法・預託法が改正されました。特定商取引法・預託法は、いずれも消費者を守ることを目的として、対象となる事業者が守るべきルールを定めています。

EC事業者に影響があるのが、特定商取引法改正です。2022年6月1日より施行されるため、対象となる事業者は2022年5月末までの対応が求められます。

増加する悪質な定期購入商法対策を目的とした今回の改正

特定商取引法改正の大きな目的が、「詐欺的な定期購入商法」への対策です。

定期購入に関する消費者生活相談件数は、近年急増しています。
よくある悪質な定期購入の事例が、複数回の購入継続が要件であるにも関わらず、その点を十分に説明せず、「初回無料」「初回○%オフ」「お試し購入」などのお得な点だけを強く訴求して、消費者に定期購入であると認識させずに申し込みをさせる手法です。そういった手法を使えないようにするための規制が、今回の特定商取引法改正です。

しかし、ここで注意したいのが、定期通販は行っていない、あるいは定期通販を行っているがそういった悪質な手法は使っていないという事業者であっても、特定商取引法改正の対象になることです。物品の販売だけでなく、サブスクリプションなどの形態を含むサービスの販売も対象です。

特定商取引法改正は、結果的に、EC通販やWebサービス全般の表示規制を厳格化するものとなっています。その内容を大きくまとめると、次のようになります。


  • 定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化

  • 上記の表示によって申し込みをした場合、申し込みの取り消しを認める制度の創設

  • 通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止

  • 上記の誤認させる表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加

EC事業者が対応すべき2つのポイント

EC事業者が対応すべき2つのポイント

改正特定商取引法は、2022年6月1日に施行されるため、EC事業者は少なくとも5月末までには対応を完了する必要があります。

そこで、EC事業者が実際に対応すべきポイントは以下の2点になります。


  1. ECサイトのカートの最終確認画面における必要事項の表示

  2. 「特定商取引法に基づく表記」ページにおける追加記載


①ECサイトのカートの最終確認画面における必要事項の表示

①ECサイトのカートの最終確認画面における必要事項の表示※画像は最終確認画面の違反しない例のイメージです

対応すべきポイントの1点目は、ECサイトのカートの最終確認画面において、以下の六つの契約事項を消費者が簡単に確認できるよう表示することです。


  1. 分量

  2. 販売価格・対価

  3. 支払いの時期・方法

  4. 引き渡し・提供時期

  5. 申し込みの撤回、解除に関すること

  6. 申込期限(期限のある場合)


対象は定期通販だけでなく、全ての通販事業者となります。その中でも、定期販売は表示すべき内容が多くなるので注意しましょう。

特に、フルスクラッチで自社ECサイトを構築している事業者は、必要な対応が重くなる可能性が高いため、早めの対応をおすすめします。
ASPカートやECパッケージなど、なんらかのプラットフォームを利用している場合は、追記修正が必要な点の洗い出しと合わせて、ベンダーに対応を確認しましょう。

なお、改正特定商取引法は、EC事業者だけでなく、全ての通販事業者が対象です。カタログ通販など、EC以外でも通販事業を行っている場合は、その媒体でのECサイトの最終確認画面に当たる箇所で、六つの契約事項を明示する必要があります。

②「特定商取引法に基づく表記」ページにおける追加記載

「特別商取引法に基づく表記」専用ページは、特商法で定められた表記方法で、販売者についての情報を公開しているページです。

改正に伴い、「特別商取引法に基づく表記」専用ページ内の記載事項にも、追加記載を検討する必要がある事項があります。

「特別商取引法に基づく表記」専用ページで、追加記載を検討すべき項目をまとめたお役立ち資料は以下よりダウンロードいただけます。
ぜひ、自社のECサイトでの改正対応にお役立てください。

特商法ページの対応を学ぶ

EC市場の健全な発展のために

EC市場の拡大の中で、D2C-ECも増えており、事業者と消費者が直接関わる機会が増加しています。

改正特定商取引法は、元々は悪質な事業者の取り締まりを目的としていますが、その内容は全ての通販事業者を対象としています。EC事業者にとっては少なくない負担になる改正ですが、今後のEC市場発展のために必要なことともいえるでしょう。

現時点では今回の改正が直接影響しないという事業者も、今後のために自分ごととして押さえておいてほしい内容です。

「ニュースのヨミカタ」はECのミカタ通信で

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ECのミカタが2月・8月に発行している「ECのミカタ通信」では、連載企画「ニュースのヨミカタ」にて、EC業界の注目ニュースを専門メディアの視点で解説しています。

今後も読者のみなさんにとってためになるニュースを配信してまいります。

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著者

ECのミカタ編集部 (EC no Mikata Editorial department)

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