【第一回】業務効率化の第一歩はミエル化~EC企業が知らない業務改善~

仲庭 拓也

第1回 業務効率化
日々進化するEC業界、新しい事にチャレンジしていきたい事がたくさんある。
しかしながら、多くの企業で、新しい事や、改善したいことがあるが『時間が足りない』という声をよく聞きます。

今回の『第1回 業務効率化』では、EC業界が知らない『トヨタ生産方式』のツールを用いた業務効率化方法を解説します。

1.部下がどのような仕事を行っているか知っていますか?

あの子は、いつも忙しそうだ。そして、いつも一人で残業している。
でも、会社を見渡すと、暇そうにしている人もいるな。

皆様は部下の一人一人が業務で何を行っているのか把握していますでしょうか。
各業務が属人化してしまい、担当者しか業務を把握しておらず、業務改善をどこから進めていいのかわからない状況ではないでしょうか。

業務改善の第一歩は『ミエル化』です。
ベテランの業務やノウハウを、隅々までミエル化して、今まで見えていなかった業務のムダ・ロスを徹底的にあぶり出し、排除・改善していきましょう。

2.業務のミエル化のためのツール『業務分析(立ちんぼ)とパレート分析』

業務改善は何から行ったら良いのか。
着目すべきところは『一番時間が掛かっている業務』であり、改善を行って一番効果が高い業務を抽出しましょう。

また、通販業務では、同じ仕事を複数メンバで実施している事が多く、一人一人の業務時間は短くても、各メンバの業務を合算すれば多くの時間を使っている場合があります。

そこで、まず『ミエル化』は、通販メンバ全員が一週間、どのような業務を行っているのかを確認します。(図1)

図1 業務分析: メンバ全員の業務状況を確認
ダウンロードはこちら。http://qq3q.biz/tXi8

次に、各人、また、メンバ全体の業務内容・時間を集計して、それぞれがどのような業務に一番時間が掛かっているのかを確認します。(パレート分析)

そして、一番時間が掛かっている業務の詳細を確認して、業務の改善を計画・実行します。

週単位の一覧表では見えない業務のムダ・ロスをあぶり出す手法に、トヨタが使う『立ちんぼ調査』が応用できます。(図2)

『立ちんぼ調査』とは、メンバ一人一人の業務を1分ごとに確認してすることで、以下を実施するツールです。
1.業務を徹底的に把握する
2.業務を確認しながら、改善できる項目をその場で抽出する
3.業務のムダ・ロスを浮き彫りにして、改善アイテムを抽出する

立ちんぼ調査は、上記業務分析よりも詳細に、業務をミエル化することが出来ます。
また、各業務を複数の切り口で分類することで、ムダ・ロスを一括で抽出・改善することができます。(例:確認や入力作業はムダ・ロスの塊であることがほとんど)

3.ミエル化の次は、ヤメル→カワル

3.ミエル化の次は、ヤメル→カワル図2 立ちんぼ調査: 1分ごとに各人の業務を確認して、それらの業務を複数の切り口で分類する
ダウンロードはこちら。http://qq3q.biz/tXi1

ミエル化の次に実施すべしたいのが不要な業務を『ヤメル』ことです。
各業務の目的と成果物を再確認して、本当にその業務が必要かどうかを確認します。

よくある例:
・過去に業務ミスがあり、ミスをなくすためにチェックリストで確認する決まりになっている。
→ミスが発生する原因から対策を行う(発生防止)ことで、チェックリスト(流出防止)を無くす(減らす)ことが出来ないか。

・業務を実施した後に報告
→報告は不要ではないか。一方的な報告業務は不要である場合が多いです。


ヤメルの次に実施することは『カワル』です。
各業務を、結合、転用、拡大、縮小、応用、再編成、逆転、変更などの切り口で、改善出来る方法を探します。

これらの方法の詳細については、次回以降の特集で解説させていただきます。


次ページでは、「4.仕事を楽しむ文化を作ろう」を解説します。

4.仕事を楽しむ文化を作ろう

業務改善を行う際、気をつけていただきたいのが、今まで行っていた業務を否定するのではなく、『新しいことに取り組むためのステップ』であることを部下と共有することです。
また、決められたことを、淡々と仕事を行っているだけであれば、部下は成長せず、それは、部下にとって不幸な環境です。

より質の高い仕事を行い、売上につながる仕事を行いたい。
部下が認められる場作り、成果を出して仕事の楽しみを共有したい。
部下が成長して、自ら気付き、考え、行動出来る様にしたい。

『時間を作る』こと、また、『質の高い仕事を行うこと』の第一歩は、『業務のミエル化』であり、『部下の業務を知る=部下の成長を促進する』であることを考えて、業務効率化を行っていきましょう。

■記者プロフィール■

工学博士。海外での会社設立~工場建設~資材確保~販路拡販業務を6年間行う中で、トヨタ生産方式を用いた改善、人材育成、物流業務などを経験・習得。
日本へ帰国後、コンサルティング会社『合同会社さくら』を設立して、海外での経験を基にコンサルティング活動を行っている。
現在は、楽天市場ショップオブザイヤー2015獲得の2店舗を中心にコンサルティング。その他にも、お酒、下着、エステなど異なる複数の分野で、売上向上、在庫管理、新商品開発、SNS集客、人材育成、社内基盤整備などを中心に活動。

仕入や在庫管理を適正化したい、通販サイトを構築したい、売上を向上させたい、業務改善を行ってムダな時間を削減・売上を上げる活動に注力したい、また、SNSを強化したいなどございましたらお気軽にご相談ください。


著者

仲庭 拓也 (nakaniwa takuya)

工学博士。海外での会社設立~工場建設~資材確保~販路拡販業務を6年間行う中で、トヨタ生産方式を用いた改善、人材育成、物流業務などを経験・習得。その経験を基にコンサルティング活動実施。楽天市場ショップオブザイヤー2015獲得の3店舗を中心にコンサルティング。その他にも、お酒、下着など異なる複数の分野で、売上向上、在庫管理、SNS集客、人材育成などを中心に活動。