【書評】EC・通販の成功の鍵を握る物流とは

ECのミカタ編集部

 「ネット通販は「物流」が決めて!」は株式会社スクロール360の高山氏がこれまでにコンサルティングしてきた200社以上の実績が詰まっている。EC・通販における物流は、「コスト」ではなく、「成功の鍵を握っている」と述べている。

ネット通販の成功は物流が握っている


「ネット通販の成功は物流が握っている」高山氏の言葉である。
 
 EC・通販事業をされている方で、「物流」の本当の役割を理解している人がどれくらいいるのだろうか。

 ネット通販では、「物流軽視」により上手くいかないことが多く、著書の中は、メーカー系・流通系などの業態ごとに、典型的な失敗する考え方などが書かれている。これらは、経営視点で物流を組立られていないことが要因であると高山氏は指摘する。
  
 しかし、ここでいう「役割はとても大きい」は、単にコストの大部分を占めるから役割が大きいというわけではない。その視点はまさしく高山氏が指摘する、「物流軽視」つまり物流をコストとしてしかみていなことの表れである。

EC・通販における物流の大きな役割とは何なのか?

 物流の大きな役割、それは「顧客接点」である。ネット通販では、顧客に商品を届けるまでのバリューチェーンが、他の小売業と違う。そのため、いくら良いホームページを作成し、魅力的なプロモーションを行ったとしても、顧客接点する物流のレベルが低いと顧客の満足度も大幅に低下するという。(高山氏は、「桶の理論」があると指摘)
 
 顧客視点をロジスティックス戦略とビジネス戦略を経営視点で組み立てることが重要だと高山氏は指摘する。具体的には、「マーケティング(商品企画~サイト構築や仕入れ・プロモーション、受注までの流れ)」×「フルフィルメント(受注後の在庫管理や出荷・配送)」をバランス良く実施することである。
 
 これらは、どちらかだけに注力してはいけない。例えば、マーケティングが上手くいき商品が沢山売れたとしても、フルフィルメントの部分が貧弱であると、商品が届かないや在庫不足、届いた商品が雑に扱われているなど、顧客の満足度を下げることに繋がる。そのため、高山氏は本著の中で、物流を経営視点で考える必要があると指摘し、そのためには何に気を付けて、実際にどのようにして実施するかを書いている。

 本書籍では、「物流の必要性」以外にも、
・物流で失敗する例
・各成長段階での物流の役割
・具体的物流業務のノウハウ
・物流での差別化ポイント
・ロジスティクス戦略の組み立て方
・物流KPI

などが書かれており、ネット通販における物流の基礎的な事を知ることができる。

 高山氏は
「物流こそネット通販の成功の鍵を握っている」
「物流においてこそ他社との差別化を図ることができる」
と述べている。物流が世間の注目を浴びている中、この視点は今後、勝ち抜いていく上で重要な視点であるのではないだろうか。


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