ベトナムのEC事情、キャンセル率が高いそのわけとは?(Asia Plus調べ)
ベトナムの消費者リサーチサービス「Q&Me」を運営する株式会社Asia Plus(以下、Asia Plus )が、「ベトナムのEC市場に関する消費者調査」を実施した。ベトナムではインターネット、スマートフォンの普及が著しく伸びており、オンラインショッピング市場にも注目が集まっている。調査の対象は、18歳から39歳のホーチミン・ハノイ在住のベトナム人。
都市部在住ベトナム人のEC利用はスマホ、Facebookで
調査結果によれば、ECの利用経験があると回答した都市部在住のベトナム人は67%。そのうち、月に1度程度ECを利用するリピーターが34%含まれている。人気のサイトとしてはLazada、HotDeal、Tikiなどだが、47%のEC利用者はFacebookサイトからの購入経験があるという。また、EC利用時に使用するデバイスとして48%がスマートフォンを挙げる。スマートフォンは、ブラウザとアプリケーションの利用がほぼ半数に分かれる結果となっている。
日本のインターネット普及率は2000年の段階で約25%、2014年には90%を超えているが、ベトナムでは2000年頃から徐々にインターネットの普及率が高まっており、2014年には約50%のところまで伸びているという状態だ。ベトナムでインターネットが一般的に利用されるようになったタイミングと、スマートフォンの登場時期が重なっていることから、スマートフォンを利用した購入が多いという結果にもうなずける。
また、人気の購入商品は、女性ではファッション、調理器具/家電、化粧品など、男性ではIT機器、ファッションなどとなっており、全体で見るとファッション、IT/携帯電話、調理器具/家電の順に購入されていることが明らかになった。
代引きによる支払いが、キャンセル率を高めているかも
ベトナムではECの利用が進む一方で、キャンセル率の高さが問題となっている。調査では、EC購入者の35%がキャンセル経験があることが明らかになった。キャンセルの理由として挙がったのは、「商品に問題があった」「購入後に気が変わった」などが多数を占めている。こうしたキャンセルの背景にあるのは、ECでの購入時に「配達人の現金代引き」による決済が一般的だということだ。今回の調査では85%のユーザーが「配達時の現金代引き」を利用している。代金を支払っていないため、商品の受取までのキャンセルが容易なのだ。
クレジットカード決済をはじめ、注文の段階で支払いを済ませることが多い日本と比べると、このキャンセル率の高さは特徴的な結果と言えそうだ。インターネットの普及が急速に進んでいる国においては、EC市場も拡大することが期待されており、越境ECへの関心は高まっている。このデータを鑑みると越境ECの展開を考える企業にとっては、決済の環境が整っているかどうかは、重要な基準になりそうだ。