接客ツールで快適な利用へ フリルがチャット機能導入

ECのミカタ編集部

 株式会社Fablicは、同社が運営するフリマアプリ「フリル(FRIL)」において、2016年6月よりフリマアプリでは初となるチャットを利用したサポートサービスの試験運用を開始した。現在、利用ページや受付時間の最適化を行っており、8月末までに本運用を開始する予定だという。

チャットサポート導入の背景と利点

チャットサポート導入の背景と利点▲カスタマーサポートスタッフとユーザーのやり取りの例

 今回フリルに導入されたチャットサポートは、電話やメールと異なり、ユーザーとカスタマーサポートスタッフがテキストによりリアルタイムでコミュニケーションを取ることができるサービスである。チャットによるサポート機能は、BtoCにおける通販市場では広く導入されてきたが、CtoCのフリマアプリでは初の導入となるそうだ。

 フリルにチャット機能が導入された背景には、ユーザーから寄せられたサポートに対する不満があるという。これまでフリルでは、メールやSNSツールを介した問い合わせ対応を行ってきたが、状況によって返信までに一定の時間を要したそうだ。そのため、早急な対応を求めるユーザーから不満の声が上がっていた。

 また、早急な対応ができず、ユーザーの好きな時間での利用が困難になっていたので、いつでもどこでもサービスを利用できるというスマートフォンアプリのメリットを活かしきれていないという問題点も生じていた。そして、ユーザーの問い合わせに対して即座に対応することの難しさから、購入/販売意思のあるユーザーがサービスの利用を途中で断念してしまうケースもあったということで、企業側も問い合わせに対する返答時間の短縮が課題であったという。


サポート体制の重要性 チャット機能で顧客満足度向上

 今回紹介したフリルの例で、ユーザーに対するサポート体制が、ECにおいて如何に重要であるか理解していただけただろうか。では、ここでチャットサポートが他のサポートに比べ、どのような利点があるのか、もう少し考えてみる。

 まず、チャットサポートと電話対応の比較だが、電話は周囲の環境の影響により利用が制限されるということがあるだろう。電波環境により、電話が通じないことはもちろん、所定の場所以外での電話の使用は制限されることも考えられる。ゆえに、電話対応のみだと、そのことに不満を感じてユーザーが離脱する可能性があるのだ。その一方で、チャットでは場所を選ばずにやり取りができるという利点があるだろう。チャットは、文字でのやり取りなので、自由な場所かつ要点を文章によって短い時間で伝えることができる。

 また、ユーザー側は電話をするとなると身構えてしまい、そもそも問い合わせをしないということが考えられる。しかし、チャットでは、ユーザー側も普段から慣れ親しんでいるであろうSNSなどと同様に文字で気軽に意見を発信することができる。ユーザーが気軽に意見を発信できる場を提供することで、問い合わせ以外の様々な意見が集まることも考えられる。ユーザーからの声を企業側が把握することは、顧客のニーズを把握することにもつながるだろう。

 近年急激にEC業界が成長し、EC企業が増え続けることを考えると、商品やサービスでの差別化を図ることが難しくなってきていると考えられるだろう。そのような中で、競合と差がつくのは、ユーザーへの対応になってきている。商品やサービスでの差別化が難しくなっている昨今の状況では、ECにおいても接客の質が求められているのである。また、チャットサポートに対するユーザーからの反応も決して悪くないようだ。イギリスのeDigitalResearch社が今年2015年に実施したカスタマーサービスに関する調査によると、チャットでのサポートはメールや電話での対応より好感を持たれているという結果も出ている。

 フリルはチャットサポートを導入することで、返答時間短縮に加え、従来の問い合わせ窓口では難しかった「人の温かさを感じられるリアルな接客体験」を提供していくという。チャットサポートの「担当者がその場で柔軟に回答できる」特性を活かすことで、実店舗で店頭スタッフに相談するような気軽な質問にも対応することが可能になるのである。今回のチャットサポート機能の導入により、フリルがさらに利用しやすくなることは間違いない。

 顧客の不満を解消し、サービスに満足してもらうことは、売上拡大やリピーター獲得に必ず繋がる。それが今ではCtoC市場でも進められていて、新しいツール等も日々増えている。BtoC市場におけるEC事業者も、既存のサポート体制を一度見直し、顧客満足度が高いチャットでのサポートを検討していてはいかがだろうか。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事