EC業界News1週間まとめ〜ヤマト当日配達の地域拡大?楽天やクラシコムの買収劇に見るECのあり方

石郷“145”マナブ

9/4〜9/10までのEC業界Newsをギュギュっとまとめました!

こんにちは、メディア編集部の石郷です。読まれたのはこちら。

今週のランキングを見てびっくりしたのですが、ショップ「ゲキハナ」さんのコラムが結構読まれています。店長の古屋さん、さすがですね!やりますね〜〜!
こちら↓古屋さんの髪の色のごとく、今週に輝いた金メダルコラムです。
【第1回】川上から川下まで、全ての場所が儲かる価格で仕事をする
https://ecnomikata.com/column/10461/

楽天、フリマアプリ「フリル」のFablic買収。狙いは?
https://ecnomikata.com/ecnews/10887/
【Inagoraに直撃】ワンドウなら商品発送だけで中国進出
https://ecnomikata.com/original_news/10571/
情報漏洩に要注意、クレジットカード利用の意外な実態【内閣府政府広報室調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/10888/
SHOPLISTが語る、売れるスマホECのノウハウ~ECのミカタセミナーフェア【後編】
https://ecnomikata.com/ecnews/10873/

楽天も新たな局面に来た証拠〜フリル運営会社買収

楽天も新たな局面に来た証拠〜フリル運営会社買収

 今週のニュースで感じるのは、ECが出始めてから、約20年で、ネットショップのあり方が大きく変わってきているんだろうなということです。

 まず一つは、楽天株式会社(以下、楽天)がフリマアプリ「フリル」を運営する株式会社Fablicを買収した話です。楽天というのは、手間もかかるけど、商店街を盛り上げ、店を盛り上げるという良い意味でアナログ的で人間味の溢れたところが魅力で、それが支社を作り、全国にECコンサルタントを送り込んで、作り上げてきたわけです。それゆえ4万以上もの店舗があります。

 ただ、そういうのを、文化も異なる海外で、短い時間で具現化しろと言われてもそう簡単な話ではないように思います。一部上場企業として、成長のスピードは加速させていかなければならない中で、フリマのように、シンプルに買いたい人と売りたい人をつなぐCtoCのほうが受け入れられやすいものと考えられ、この買収はうなづけます。

 国内においても、ラクマが2016年3月を境に、流通総額が楽天オークションを超えています。ラクマやID決済といった幅広いサービスの活用で、「楽天」というもののブランド価値を向上させ、ポイントなどを通して、それを楽天市場の価値へとつなげていくのだと思います。どう受け止めるかは、店舗それぞれによりますが、単純に店舗数を増やす施作ではなく、グループとしての一個一個の付加価値を高めるところに、楽天の新しい姿勢を見て取れます。

クラシコムのフラッツ子会社化に見る、店舗の成長のあり方

クラシコムのフラッツ子会社化に見る、店舗の成長のあり方(フラッツ久末氏、店長の佐藤氏、代表青木氏)素敵な笑顔が店舗の明るい未来を思わせます。

 それほど、大きく騒がれていませんが、クラシコムがフラッツを子会社化した話があります。クラシコムは「北欧、暮らしの道具店」というショップを運営しています。これも今のECを象徴する動きだなと思っています。

 彼らのブログによれば、ビジネスの根幹部分を支える「ショップシステム」をいかに洗練されたものにしていくかというところに注力するために、その部分の強化をしつつ、近年、エンジニアの強化をしてきたと言います。今年の5月には完全に自社のシステムとなっています。だからこそ、彼らは言います。もっと今以上に、オリジナリティやユニークさを追求できるはずで、使い勝手なども迅速に対応できるようになっていきたいと。

 その過程の中で、このフラッツの完全子会社化があった。経営陣に開発者を入れることで、そのスピードを加速させていこうというわけです。ネットショップを立ち上げ、そこからビジネスが始まった人たちも、ある程度の時を経過し(クラシコムは約10年経過し)、きちんとした戦略を持ち、ファンもついてくれば、店の全てを内製化するというのも、今を象徴するネットショップの姿なのではないかと思うのです。

ショッピングモールもECサイトも変わろうとしている。その中であなたの店舗は?

 不思議な話ですが、モールも何もない時代に、あれやこれやと試行錯誤していた独自ドメインが誕生したその時に近づいているようにも思います。あの時とは違うのは、内製化できてしまうだけのネットワークも、知識も店舗が持ち始めているという現実です。

 ショッピングモールにしても、支援企業にしても、時代の移り変わりを認識し、かつてと同じような提案ではいけない時期に来ているのだと思います。改めて自分たちの個性は何か、どんな付加価値を、価値に見合った価格で提案できるかという部分を考えるべきなのかもしれません。

変革の波は配達インフラにも。ヤマト当日配送地域拡大は次のページで!

配送インフラの変革〜ヤマトがECの常識を変えてくれるかも?

配送インフラの変革〜ヤマトがECの常識を変えてくれるかも?

 その他では、ヤマトホールディングスが「バリューネットワーキング」構想のもと、中部ゲートウェイを竣工させました。ヤマト運輸というのは、中期経営計画の中で、「DAN-TOTSU 3か年計画 STEP」というのを掲げていて、グループ一体となって、付加価値の高い事業モデルを創出していこうと考えています。

 特に「バリューネットワーキング」構想の中には、広範囲な地域と事業領域で荷物が増えても、コストが増えず、品質も落とさず、スピードも維持すると言う考え方があり、中部ゲートウェイを誕生させることで、それらを具現化していこうというわけです。

 中部ゲートウェイが稼働すれば、羽田クロノゲートと厚木ゲートウェイと中部ゲートウェイでの効率的な輸送が実現でき、今はまだBtoBにとどまりそうだが、近い将来、BtoCでの関東・中部地方における当日配達ができるようになるというわけだ。

 その意味で、ヤマトグループ総出で成し遂げようとしているのは、日本に配送網がなかった時代に切り開いてきたパイオニアらしく、築いてきた配送網をさらに時間的な側面、価格的な側面から変革を起こそうというものなので、一見すると、地味ではあるけど、ECにとって大きな一歩となりうる出来事なのです。

 というわけで、今週の出来事になぞらえつつ、ショッピングモール、店、そして配送のインフラのECの根幹部分で時代の要請とともに、未来がどう変わっていくのかという部分に焦点を当てて話してみました。
今日はこの辺で。
笑顔あふれる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう!


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

石郷“145”マナブ の執筆記事