南場氏、DeNA代表取締役に復帰。守安氏と2トップ体制へ。

DeNA南場氏、代表取締役復帰を発表

 株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は、一連のキュレーションの問題の件に関して、第三者委員会より調査報告書を受領し、今後の対応に関して取締役会で決定し、その内容に関して、記者会見を実施した。

 この席上で、発表されたのは、下記になる。まず、3/13開催された、DeNAの取締役会で、現在の代表取締役兼CEO守安功氏に加え、新たに、代表取締役会長兼執行役員 南場智子氏が就任し、トップマネジメントを強化し、ガバナンス及び、コンプライアンス、管理体制の強化を含め、根本的改革を推進していく、という。

 また、執行役員統括部長兼Palette事業推進統括部長村田マリ氏に対しては、就業規則に基づく処分を行なった。さらに、3/12に同社執行役員並びに、子会社iemoの取締役、株式会社Find Travelの取締役を辞任する意向を表明している。同社子会社の株式会社ペロリの代表取締役中川綾太郎は3/12付けで同社取締役を辞任している。

 守安氏は、席上「短い期間の中、広範囲の資料の精査、徹底的に調査をした。その結果、法令上の問題、著作権法違反の可能性がある記事作成、薬機法違反の可能性がある記事作成、内容が不適切な記事がある」とした

 その原因については、「この事業が本質的にどういうものを提供するのか、社会的にどういう意義をもたらすのかを考えることが不足していた。企業買収から事業拡大、事業推進をしていく上での攻めの方は整備されていたものの、足場を固めて、ルールをまとめ、チェックをしていく体制がなかった」とした。また、事業の定義が曖昧で、メディアなのか、プラットフォームなのかの定義が曖昧なまま推進したことで、様々な問題を起こしたとしている。

キュレーションは継続するのか?

キュレーションは継続するのか?

 南場氏は、キュレーション事業は継続可能なのか、という質問に対して「キュレーションは白紙です。これまで、再開ありき等という話はなく、まずは、認めてもらえるサービスになるのかを議論をしてきた。事実としてユーザーに喜んで使っていただいたサービスで、復旧しないのかという声もかなりありました。それは、サービス事業者として嬉しいですし、バーティカルに切って、情報を配信するというニーズは存在すると思っている。しかし、その理由だけで、再開するのはありえない」と断言した。

 南場氏の説明によれば、「メディア型にするとしても、編集体制、ライターの教育などが必要であり、社外の専門家に確認をすると、奥の深いものであって、経験のない我々ができるものではないので、これが、すぐに収益的な柱になる、ということは考えられない」とした。

 また、彼女が、代表取締役になって何が変わるのか?という質問も出たが、「DeNAという会社として、次世代にバトンタッチをしたいと思っていたし、代表取締役も一人のが良いとしてきたが、形にこだわっていられない事態となっている。(守安氏と)得意なことが異なるので、その良さを生かして、二人の意思決定で、確認を行う。ただ、それだけで、トップマネジメントの構造は終わりではなく、事業の推進だけでなくコンプライアンスの徹底をしていきたい」とした。

 問われる経営理念に関してだが、創業以来、同社は、インターネットを活用して、いろんなサービスを提供していきたいとして、その中で新しいことにチャレンジして生み出してきた。ゲーム、キュレーション、eコマースなどで世の中を変革できるようになるものは積極的に取り組んできたのだ。

今後のDeNAは?

 ただ、その手段として、キュレーションが正しかったのか?スマートフォンで、ターゲットセグメント、ジャンルセグメントをして、欲している情報を提供していくことにはニーズがあると考えていたが、そのやり方、手法がどのような情報を提供するのかという観点が不十分だった。

 277ページに及ぶ、第三者機関による調査結果の報告を見ると、成長を急ぐあまり、達成数字に、現場と経営者に温度差があったような節もある。事実、守安氏がそうした高い設定に関して、乗り越えてきた経験もあり、高い目標自体に問題があるかといえば、そうではないのかもしれない。まさに、それがDeNAを支えてきたからだ。

 ただ、いざ、守安氏がその目標を提示する過程の中で、その数字が正しくなかったとしたら、現場とのコミュニケーション不足があったと言っていいだろうし、それで推進してしまったが故のこの事態なのかもしれない。今回の問題は、キュレーションの問題にとどまらず、ベンチャーの成長のあり方について考えさせられる部分もある。南場氏が入ることで、この辺のバランス感覚が是正されて、キュレーション事業を含め、この会社が健全な経営体質になることを期待したい。

ECノウハウ