『くらしをかるくする』LOHACOは『物流』と『メーカーとのオープンイノベーション』で成長し続ける〜EC業界大図鑑より

アスクル株式会社　取締役 BtoCカンパニー COO 吉岡 晃

ライフスタイル提案型のＥＣを展開するＬＯＨＡＣＯ。その成長エンジンは「物流」と「メーカー直結型のオープンイノベーション」でした。

–ＬＯＨＡＣＯが好調ですが、背景にある強みは何ですか？
ＡＳＫＵＬで培った自社物流ノウハウとメーカー直結が強みです

　ＬＯＨＡＣＯ は、２０１２年のオープンから今年で４年目となりますが、お陰様で、30〜40代の女性を中心にご支持をいただいています。

　取扱商品の多くは、くらしに不可欠な日用品で、ＥＣの世界ではややもすると厳しい価格競争に晒されがちな商品群です。

　しかしＬＯＨＡＣＯでは、ＡＳＫＵＬ事業で培った、「物流」と「メーカーとの直接取引によるパートナーシップ」という二つの強みを活かして、これまでのＥＣショップにはない付加価値を消費者に提供することで、価格競争だけではない価値創造を展開できています。

　ＥＣでは、モノを届けるための物流がとても重要になります。その要となる物流センターの運営と一部配送をグループ会社が担っているので、受注からピッキング、梱包までを迅速かつ正確に行うことができ、複数の商品カテゴリーにまたがったご注文でも１箱に梱包してお届けすることができるのです。

　また、当日お届け・翌日お届けも以前より税込み1,900円以上のご注文であれば無料で対応していますし、今年の8月末からは１時間単位の時間指定サービス「Happy On Time」を東京5区と大阪3区で始めました。例えばご注文時には11時〜12時という受取り時間のご指定を頂き、お届けまでの配送計画をシミュレーションすることで「11時15分〜11時45分の間にお届けします」と30分単位でお届け予定時間をご連絡します。これは自社で物流ノウハウを持っているからこその強みです。

メーカー各社とのオープンイノベーションで付加価値の高い商品を提供しています

　そして、もう一つの強みが、メーカーとのパートナーシップという点にあります。通常の流通ではメーカーと流通の間に卸業者が介在しますが、ＬＯＨＡＣＯでは、大半をメーカーから直接商品を仕入れています。個人情報を削除したＬＯＨＡＣＯでの購買情報やサイトの閲覧情報などを、メーカーに公開しています。そうした情報は、販促活動や商品開発に役立てていただいています。〝その商品は単品で購入されているのか〟、〝何かと一緒に買われているのか〟、〝どんなものと一緒に買われているのか〟といったことをオープンにすることで、お客様の志向性を理解することができ、それが次の商品開発や販促活動につながっていくのです。最終的にお客様の満足度を高めるのは、商品の価値にあります。より価値の高い商品をお客様に提供できれば、お客様の満足度が上がり、それによってＬＯＨＡＣＯの事業が成長し、さらにメーカーの売上にもつながります。これはまさに、ｗｉｎ-ｗｉｎ-ｗｉｎの仕組みといえます。

　『LOHACO ＥＣマーケティングラボ』と名付けられたこの仕組みは、２０１４年からＬＯＨＡＣＯが導入しているものですが、当初12社でスタートしたものが、1社も抜けずに今日では1００社を超えるメーカーが参画してくださっています。

　このＥＣマーケティングラボからは、数々のヒット商品が生まれています。例えば、花王のリセッシュという消臭剤は、生活者の利用シーンの緻密なデータ分析に基づいて、パッケージデザインを大きく変更してヒット商品になっています。

　その他、ご注文をいただいてから出荷日当日に精米することで高い鮮度を実現した「ろはこ米」や、パッケージデザインに加えて家庭での収納のし易さにこだわった「ＬＯＨＡＣＯ Ｗａｔｅｒ」など、LOHACOのプライベートブランド商品もお客様から強いご支持をいただいております。

–今後の展開はどうようにお考えですか。
ライフスタイルのご提案で、さらなる価値提供を目指します

　ＬＯＨＡＣＯは、今後ますます、生活者のライフスタイルに寄り添って、品ぞろえを増やしていきます。今は日用品が中心ですが、化粧品や医薬品からファッションなどの品揃えを拡張していきます。また、現在の強みである物流や、ＥＣマーケティングラボでのメーカーとの共創に磨きをかけるとともに、ＡＩやロボティクスなどのテクノロジーも活用して、より便利に、より豊かなライフスタイル提案を進めていきます。

(2016年11月発行〜EC業界大図鑑より）
＜COMPANY PROFILE＞
アスクル株式会社
ショップ名 LOHACO（ロハコ）
ショップURL http://lohaco.jp/
お話を伺った方 取締役 BtoCカンパニー COO 吉岡 晃