潜入取材!らでぃっしゅぼーや、時代に逆行した”配送料金の値下げ”を発表

利根川 舞

 オーガニック野菜の販売を行う、らでぃっしゅぼーや株式会社(以下、らでぃっしゅぼーや社)は8月26日に戦略発表会を開催。そこでは10月2日より自社便での配送料設定の見直しが発表された。発表会にはらでぃっしゅぼーや社代表取締役社長の国枝俊成氏と取締役執行委員営業本部長の野沢千晶氏が登壇した。

 らでぃっしゅぼーやでは、定期購入商品である「ぱれっと」とカタログ注文品の「元気くん」が主力商品であることから、今回の改定はユーザーにとっても大きな改定となるのだが、今回発表された配送料設定の見直し、それは昨今の配送料値上げに逆行した”配送料無料枠拡大”というものだ。その背景には配送業社各社の値上げに加え、来年創業30周年を迎えるらでぃっしゅぼーや社ならではの思いがあった。

 今年に入り、配送業社各社が配送料の値上げを発表。その背景にはEC市場拡大を受けての宅配個数の拡大、人材不足、人件費の高騰などがあり、これまでの配送クオリティや今後のさらなる宅配数の増加を考えれば仕方のないこととも思える。

 しかし、それに対してらでぃっしゅぼーや社としては、配送料の値上げによって消費者は家計的な圧迫だけでなく、精神的にも負担になるのでは、ということで自社便の配送料体系の変更を決意した。

 また、理由としてはそれだけではなく、現在少子高齢化に2020年には高齢人口(65歳以上)の割合は3割近くなり、以降も高齢化は進行するといわれている。また、買い物に何かしらの困難を抱える”買い物弱者”は現在約700万人存在すると推測されており、問題は年々深刻化している。

 その一方で、実は60歳以上世帯のECでの支出は他の世代より高い傾向にあるということで、食品や日用品のEC購入いうものは今の日本にとってとても相性の良いものとも言えるのだ。

創業30周年を目前にした3つの戦略

創業30周年を目前にした3つの戦略

 今回発表された戦略は3つ。 

1.配送料無料対象の拡大

 今回の改定では、”自社便配送料金負担が0円となる購入金額の引き下げ”と”利用期間が長いユーザーに対する優遇策”2点が大きなポイントとなる。

 自社配送料はこれまで8,000円以上の購入金額の場合、配送料を0円としてきたが、改定後(10月2日より)は5,000円以上の購入金額で配送料0円とし、利用しやすい料金設定となっている。

 また、3年以上利用しているユーザーは定期購入商品(「ぱれっと」)の注文があれば、自社便配送料が一律無料となるという。

 現在のユーザーは自社便配送を選択している割合が95%を占めており、ユーザーにとっても価格メリットの大きい配送料体系になっている。

 そこで懸念点として上るのが、配送を担当する人々への負担の増加だ。しかし、らでぃっしゅぼーや社では8社の配送代理店と直接契約をし、自社便により配送網を構築している。その8社の中でも、未だらでぃっしゅぼーや社からの依頼に依存していない配送代理店もあり、今後増加が考えられるらでぃっしゅーぼーや社からの配送を請け負うキャパシティもまだあるようだ。

 今回の配送料体系変更により、配送料無料対象者は20%増加と見込まれているが、現在のらでぃっしゅぼーやのボリュームゾーンは5,000以下ということで、買い上がりにより、配送料無料対象者は20%以上増えることも見込まれている。

2.クールマイスター制度

 2016年9月から既に導入されているものではあるが、自社配送サービスクオリティの強化に向けたものとなる。近年、配送業社配達員の一部によるトラブルが報道されるなど、サービスクオリティに対する一般消費者からの不信感は増大しており、それらを払拭するものとなっている。

3.フラッグシップ商品の新展開

 これまでのフラッグシップ商品、定期野菜BOX『ぱれっと』(7〜12品、2,500円程度)に加えて、近年の核家族化や健康維持へ焦点を置いた商品が拡充された。

・『らくらくぱれっと』(5〜6品目、1,300円)
ターゲット:30代の若い家族層・50代後半以上の高年齢層向け
少量の野菜をバランス良く摂取することができる

・『しきさいぱれっと』(14〜16品 3,200円)
ターゲト:40〜60代の健康維持意識の高い層向け
野菜をバラエティ豊かに多く摂取できる

・『Rigato vege box』(6〜8品 2,100円)
ターゲット:糖質コントロールに関心を持つ層向け
糖質が高い野菜を制限し、管理栄養士による糖質コントロールができるレシピ付き

売上は4億5,000万円増加の見込み

売上は4億5,000万円増加の見込み

 今回の配送料金の変更により、売上4億5,000万円の増加を見込んでおり、創業30周年を目前に大きな営業が考えられる。

 また、今回発表された戦略は各社の配送料金の値上げや人口の高齢化という社会環境の変化だけでなく、他社の生鮮食品配送参入という変化に対し、他社との差別化を図るという意味合いも強い。

 物流の問題に対して、仕組みづくりを整えた上で値下げという決断に至ったらでぃっしゅぼーやの動きは今後注目を集めるに違いない。同業他社だけでなく、配送に悩む業界の一つの希望として、是非成功のパイオニアとして進んでいくに違いない。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

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