株式会社ロックオン、東京証券取引所マザーズ市場へ上場

■大阪から世界を目指したベンチャー

Eコマース関連ソフトウェアやインターネット広告関連ソフトウェアで知られる株式会社ロックオンが、9月17日、東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。

株式会社ロックオンは、岩田進氏が関西学院大学商学部在籍中に、社会変革を目的として、2000年6月に兵庫県尼崎市武庫之荘の自宅で創業した会社だ。

「自分を取り巻く全ての事象1つ1つの中で『Impact』を起こし続け、人の心に小さな影響を与えたい。その小さな積み重ねが、やがて世界を揺るがす大きなうねりになる」という意味をこめた「Impact on the world」の合い言葉のもとに社員が団結して、成長してきた。

社会とくにネット社会においては、消費者行動の多様化・分散化が進んでいることからテクノロジーによる運用に注目し、インターネット広告から得られる効果を測定する「AD EBiS(アドエビス)」と、これに自動最適化、自動入稿を可能とする「THREe(スリー)」を加えることにより、「マーケティングオートメーション」の3要素である『効果測定→最適化→買付/入稿』までの一連の業務をワンストッププラットフォームとして提供している。

また、インターネットを通じてユーザーにアプリケーションを提供するASP(アプリケーションサービスプロバイダー)より本格的に、有償パッケージより低価格でECサイトを構築したいということから、ECサイトの新しい構築手法として開発した「EC-CUBE(イーシーキューブ)」は、国内としては最大規模のオープンソースコミュニティとなっている。

その他、コンサルティングとサポート力で「売れるECサイト」を構築する「EC-SOLUTION」を展開。
大阪発で世界を目指し、東京はもちろん、現在はベトナムまで進出している。

■旺盛なベンチャースピリットで困難を乗り越え、上場へ

岩田氏は大学1年で飲食店を経営、2年のとき旅行ビジネスを手がけ、3年のときにWebビジネスを立ち上げた。飲食店と旅行ビジネス失敗したがWebビジネスは成功し、活躍の領域を広げていった。

19歳のとき、バックパッカーとして東南アジアや北米を回り、「自分自身が海外で活躍できる力を身に付けなければと感じたのが、起業の大きなモチベーションにつながった」というが、世界を旅する誰もが起業するわけではない。
一般に起業を考える人間100人中98人は「いつか起業したいな」と夢見て終わると言われる。それを考えれば、2度も挫折しながら「3度目の正直」で、若くして事業を成功させた岩田氏のベンチャースピリットは半端ではない。

起業ではそれが「自分起こし」になっていることが重要だといわれる。事業にはどうしても波があるが、人が儲けているのを見て真似をしているようでは、困難な時期を乗り越えられないからだ。
実際、岩田氏も2008年のリーマンショックの時には、相当苦しんだという。それでも人材を集め育てて、ビジネスを回転させる仕組みをつくり上げ、市場環境が整うタイミングを見計らって、今回の上場となった。

スマートフォン市場が拡大するに伴って、広告やマーケティングにおけるテクノロジーの活用が急速に進んでいる。ネット広告の効果を判定するソフトやネットショップなど電子商取引を成功に導くサービスは、非常に有望だ。株式会社ロックオンの事業はますます伸びていくだろう。