経済産業省がクレジットカードのトラブル対策へ/消費者が決済を止められる仕組みを検討

■被害額の大幅削減に役立つ“即応性”

経済産業省がクレジットカード決済による金銭トラブル解決のための対策に乗り出す。現在の制度では分割払いで決済した消費者しか、カード会社に支払いを拒否できないが、「翌月一括払い」で決済した消費者も決済を止められる仕組みを検討する。

インターネット通販市場は年々拡大しており、それに伴ってトラブルも増えている。しかし、今のところ分割払いで購入した消費者でないと決済を止めることはできない。
この点を改めて、どんな支払い方法をとってもユーザーが支払いを思いとどまったときに、クレジットカードの決済を止めることができるようにすれば、被害額は大きく減る。即応性はとても高い。

また、現在の法律では、消費者トラブルが起きても、管理会社が解決に向けた対応をとることは義務付けられていない。消費者は店に苦情を訴えるしかないが相手にされないことが多く、そもそも店やウェブサイトが消えてしまうことも珍しくない。
そこで、経産省では、トラブルが起きたときに「商品が届かない原因はなにか」「不当な請求が来るのはなぜか」などを調査するよう、管理会社やその代行業者に義務を課すことも検討する。

■金銭被害の阻止に画期的な対策

国民生活センターに寄せられた昨年度の件数は20万3115件。3年前に比べて約3割も多い。相談内容もさまざまなものがある。

最近の事例を見てみると、次のようなものが報告されている。

・SNSのサプリメントの広告を見てお試し商品を注文したが、自動継続の契約になっていた。自動継続の認識はない。解約したい。

・インターネット通販で、帽子を数回注文し直したら、5個注文したことになった。キャンセルしたいし、また詐欺サイトとの書込みもあり心配だ。

・SNSの広告から無料ダイエットサプリメントを注文したが、金額や数量の表示や申し込み確認画面もなく注文が確定され、受付済のメールが来た。解約したいが連絡先がどこにも書いていない。

・インターネット通販でブランドのブーツを注文した。「在庫がなくキャンセルします」とメールがあったのであきらめて、デパートで買ったのに後になって届いた。返品したい。

・インターネット通販で、ブランドのバッグを購入したが商品が届かない。ホームページが開かないので心配だ。返金してほしい。
(出典:国民生活センター)

商品が届くタイミングにもよるが、届いた商品を見て、注文したものと違ったり、粗悪なものであった場合、あるいは商品が届かなかった場合、クレジットカード会社に連絡して、引き落される前にストップすればよい。

犯罪者としてはまた別な手を考えるだろうが、決済を止めれば、何とかなる。
経済産業省の対策は、画期的なものだと言えるだろう。