企業の発信通知をユーザーはいつ、どの程度確認しているのか?【トッパンフォームズLABOLIS調べ】

ECのミカタ編集部

 トッパン・フォームズ株式会社は、生活者の実態と意識を把握するためにさまざまな自主調査を実施している。今回は「通知の受け取りに関する調査」がテーマ。企業が発信する各種通知(郵便物、Eメール、アプリなど)を生活者がいつ、どの程度確認しているのかを調査している。

 生活者の居住形態やライフスタイルは多様化が進んでおり、その変化によって、郵便物やEメールなどの通知を受け取る環境は以前とは異なってきている。例えば郵便物について考えると、従来郵便受けは毎日確認されるという想定のもと通知物の発送タイミングを決めることが一般的だった。しかし先に述べた生活者の変化によって郵便受けを毎日確認しない人もいるのではないかとトッパン・フォームズでは考えたという。

 送り手側が最適なタイミングで通知を発信するためにも、生活者の通知の確認実態に関する調査結果を見ておきたいと思う。

集合住宅で集合タイプの郵便受けを利用している人の2割近くが郵便受けを「毎日確認しない」

集合住宅で集合タイプの郵便受けを利用している人の2割近くが郵便受けを「毎日確認しない」

 郵便受けの確認を自分自身が主にしている人に確認頻度について聞いたところ、集合住宅(集合タイプ)を利用している人のうち郵便受けを毎日する人は約8割に留まり、残り2割近くは毎日は確認していないことが明らかになったという。一戸建て住宅や集合住宅(自宅玄関タイプ)の方は9割以上が「毎日確認する」と回答しており、集合住宅(集合タイプ)の確認頻度が最も低い結果となった。

 これは集合タイプの郵便受けの設置場所が居住者の動線上にないことが、一戸建て住宅に住む人や集合住宅でも自宅玄関に郵便受けがある人に比べて、多いということが理由として推察される。

全世代で「郵便物」の確認度合いが最も高い

全世代で「郵便物」の確認度合いが最も高い

 郵便物の確認度合いが最も高く、次いでEメール、SMSとなり、長年利用されている通知サービスほど確認されやすいということが分かった。年代別に見ても1位郵便物、2位Eメールは変わらず。さらに郵便物もEメールも、30代でやや下がるものの、40・50・60代と年代が上がるにつれ確認度合いも上がる傾向が見られた。

 SMS、LINE、その他アプリに注目すると、年代別で以下の違いがあった。若年層は「利用者は多いが、通知を毎回は確認しない人も多い」が、一方で年配層は「利用者は多くないが、通知は毎回確認する人が多い」傾向にあった。

 年配層は言い換えれば「利用していれば、通知は毎回確認する人が多い」ため、今後スマートフォンの普及に伴い利用が増えれば、郵便物と同様にアプローチしやすい手段になり得るのではないだろうか。

郵便受けに届く通知もモバイル端末に届く通知でも、通知が確認されるタイミングに大きな差はない

郵便受けに届く通知もモバイル端末に届く通知でも、通知が確認されるタイミングに大きな差はない

 通知が届いたその日に確認する割合は郵便物が最も高く82.5%、その他アプリが最も低い70.8%となった。常に手元にあるモバイル端末に届く通知の方が確認タイミングが早いというわけではなく、郵便物の方が届いたその日に確認されやすいということが分かった。ただし今回の調査では、回答の選択肢が日単位のみであり、時間単位のタイミングは確認できていない。

 また、大きな差ではないが、郵便物以外はいずれもスマートフォンなどのモバイル端末に届く通知であるものの、通知手法によって確認されるタイミングに差があることが分かった。

「受けての目線」に立って効果的な施策を

 従来は毎日確認するものと考えられていた郵便受けを「毎日確認しない」という人が、利用する郵便受けの設置形態によっては2割近くに上ることが今回の調査で分かった。

 実際のコミュニケーション施策においては、通知の内容・タイミング・オファーなどで反応率は異なるが、この調査結果から生活者の意識として、どのチャネルをどの程度確認しているのかという実態を把握することはできる。

 近年、マーケティング・オートメーションをはじめとする技術の進化により通知の発送タイミング設計が緻密に行えるようになってきた。しかし、受け取った人がいつ確認するのかを把握しないままでは、送り手の意図したタイミングで情報が到達したのかが分からない。そうした施策を試みる中でもしっかりと「受けての目線」に立ってみることが重要なのではないだろうか。


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