家庭がECに支出する額は約10倍に!その要因を読み解く【情報通信総合研究所調査】

ECのミカタ編集部

家庭がECに支出する額は約10倍に

株式会社情報通信総合研究所(以下「情報通信総合研究所」)は、情報通信(ICT)産業が日本経済に与える影響についてまとめた「ICT経済概況」2017年10-12月期分を公表した。

2017年10-12月期のICT経済概況についてのまとめ

情報通信総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大平 弘)は、情報通信(ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために、九州大学篠﨑彰彦氏、神奈川大学飯塚信夫氏監修のもと作成した「ICT関連経済指標」を用いた分析を「InfoCom ICT経済報告」として四半期ごとに公表している。

今回、ICT経済概況について2017年10-12月期をまとめ、その内容を公表した。以下、その概要について見ていく。

家計のECへの支出額は9.4倍に

同報告によれば、2017年10‐12月期のICT経済は、前年同期比2.6%増と7四半期連続でプラス成長となった。需要面で見ると、ICT消費が好調で今期で8四半期連続プラス成長を記録している。この背景には家計における電子商取引(EC)の普及が少なからず貢献していると考えられるとしている。

ECに関連した家計支出の統計としては、総務省『家計消費状況調査』の「インターネットを利用した支出総額」と「インターネットを通じて注文した世帯の割合」があり、両者とも季節変動は観察されるが増加基調を続けており、今四半期の支払総額は34,310円、世帯の割合は36.7%となっている。15年前の2002年10-12月期に比べて、支出額は9.4倍に、また世帯の割合は30.7%ポイント高まった。

消費支出の内訳を見てみると、「消費財・デジタルコンテンツ・サービス」の内、牽引しているのは、消費財とサービスであるのが分かる。消費財の中での主な牽引役は、食料(食料品、飲料、出前)と衣類だ。食料が伸びているのは、共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化など社会構造の変化が背景にあると考えられるとしている。背景としてそのような消費構造の変化をとらえた小売事業者のネットスーパーへの参入に加え、Amazon等大手EC事業者の食料品販売の拡充等がECでの支出増につながった点を指摘している。

また衣類は、EC対応を進めるアパレルブランドの増加、ファストファッションのECへの注力や返品可能なキャンペーンの展開など事業者の取り組みが購入時の心理的な障壁を取り除き、効果を上げていると見ている。

インターネットを利用した世帯の支出総額と支出世帯の割合の推移

インターネットを利用した消費財支出に占める各品目の寄与度

家計に占めるECを活用した消費増加の要因は?

同報告によれば、ECを活用した消費の増加は、①スマートフォンの普及がECを活用しやすい環境をもたらしたこと、②シニア層を中心とした利用者層の広がり、③EC事業者のサービス拡充(各種キャンペーン、アプリの使い勝手向上、時間の指定および返品サービス等)等、いくつかの要因が挙げられるとしている。加えて、メルカリ等シェアリングサービスの台頭もEC消費を後押ししている点に言及している。

EC事業者の動向については、新規事業者の参入、既存事業者間の競争が活発化しており、競争の活発化により、利用者に向けては認知度の向上をめざしたテレビCM等広告宣伝の積極化、出店店舗に対しては出店手数料の無料化、自社では購買行動分析用の設備投資の増加等、消費者および出店店舗両者の利用環境を着実に向上させていると見る。

またEC関連の今後の展望としては、引き続き、スマホやクラウドサービスの普及による新サービス、サイバー攻撃に対応するためのセキュリティの提供、また災害、内部統制などリスク対策としての利活用が進展することを予想している。加えて中小企業では販路拡大を狙いにしたECへの対応が進展しているとしている。消費者向けでは、EC等の生活系ICTサービスの浸透も継続しており、それらを提供する情報サービス業の動向がポイントとなると見ている。

同報告によれば、ICTという切り口でもEC市場は活況を呈しそうだ。特にモバイルの5Gへの移行やMVNOの浸透は、ユーザーにとって、より低価格でより大容量のデータ通信が可能になること意味し、EC利用をより促進することにつながるだろう。こうした背景をもとに、さらに発展するEC市場の動向を引き続き見守りたい。

 ECノウハウ


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事