売れるネット広告社が「テスター」で見せたマスメディアへの理解と後押し〜EC企業が圧倒的地位を築く為に

石郷“145”マナブ

ウェブの影響力と同様に見逃せないマスメディアの存在感

 最近は、ウェブでの影響力にスポットが当たってはいるものの、マスメディアの影響力は依然として大きく、目を向け続けなければならない。そんな中でこの時代において、企業はマスメディアとどのように向き合っていくことが理想なのか。それは企業の発展と未来を考える上で、大事なテーマかと思う。

 そこで、先ほど無料でそのサービス提供を解放すると発表された「売れるTV CM クリエイティブテスター」「新聞チラシ クリエイティブテスター」に注目した。このサービスは、株式会社売れるネット広告社(以下、売れるネット広告社)によって提供されている。いうまでもなく、同社はネット通販でのABテストによって効果検証を行い、通販での売り上げの最大化を図ってきたが、これをマスメディアでどう活かそうと言うのだろう。

 発表の内容を見るに、マスメディアにおいて、ウェブで培った効果検証のノウハウを生かして、マスメディアに出稿する内容を事前に効果検証しようというものだ。

一発勝負で負け戦にならないためのサービス

一発勝負で負け戦にならないためのサービス

 説明するまでもないが、マスメディアへの出稿は多額の投資を要し、それゆえ、「一発勝負」という感覚がなくはない。あたった時の効果は大きい反面外れた時のダメージは大きい。この「クリエイティブテスター」はその当たる確度をあげようというものとなる。

 確度といっても、どうやるのだろうか。これは、広告というものを見てみるとある特徴があることに気づく。その広告の種類は数あれど、共通して「キャッチコピー」「写真」「構成」の大きく3つの要因からなり、これらが組み合わさって最大化されると言うのだ。

 それ故、例えば、テレビCMで言えば、その3つの構成要因を組み合わせて、いくつかのパターンを用意し、そのいくつかのパターンのうち、どれが最も効果を最大化できるかをウェブ上で検証するのである。

 勿論、一言で言って、マスメディアといってもいろいろある。それもそうだ。そこで、同社では大きく分けて、TVCM系と新聞チラシ系の二つに分けて「売れるTV CM クリエイティブテスター」「新聞チラシ クリエイティブテスター」を用意して、それぞれどちらにも対応できる様にしているのである。

目指すレベルによってやるべき施策も異なる

目指すレベルによってやるべき施策も異なる

 このサービスを取り入れることで、日頃、EC企業が使っているウェブ広告を使って、いくつかのパターンを抽出し、その中でどのパターンが一番効果があるのかを割り出すことができる。同社の説明によれば、ここでの検証結果は、実際にマスメディアに露出した時の効果がほぼ一致しており、それゆえ、このサービスにより事前に効果検証することの意味を説いている。

 今回、無料にしたその理由は、4年前からサービスをしているが、4年間の中で、ノウハウが蓄積し、よりその効果検証の精度が高まったからで、より多くの人に満足いただけるものだと言う自信がついたからのようなのだ。

 個人的には、同社の社長 加藤公一レオ氏が以前言っていた言葉が思い出された。「年商50億円でアプローチの仕方が変わる」としていて年商50億円までは、例えば、ウェブなどダイレクトメールなど地道に目の前で着実に獲得できる売り上げに注力。年商100億円を目指す段階になったところで、マスメディアなどの大きな勝負に出る必要性があるとしている。100億を目指す限りにおいて、マスメディアは避けては通れない関門なのである。つまり、どれも必要であり、役割分担なのだ。

企業が大きく成長するためにそのための土台作り

 どの企業も大きな目標を目指すとすれば、マスメディアを避けて通ることはできず、しかしながら、せっかくの巨額の投資を無駄にしてしまわないために、マスメディアの効果をサポートする存在としてウェブが活用できるのだから、それを大いに活用してもらいたい。その考えがこのサービスを無料化することの裏側にある。

 改めて、ウェブの活用の幅が広がっていて、それゆえ、広告での仕掛けのあり方も変わって、より無駄のないものになりつつあると言っていいだろう。だからこそ、今回、思い切った無料での提供は、まさに、そういう時代背景を受けたもので、多くの企業がチャンスをつかめる様にとトライしやすい環境が生まれるという意味においては、歓迎したい。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

石郷“145”マナブ の執筆記事