楽天市場における「夏の消費トレンド2018」大発表
6月になり気温もどんどん上昇している。夏本番がもう目の前に近づいており、紫外線対策グッズや水着・浴衣といった夏を象徴するような商品もちらほら見るようになってきた。では今年2018年はどのようなアイテムがトレンドとなっているのだろうか。
今回の楽天主催の発表会では楽天市場 トレンドハンターとして活躍されている清水淳氏が登壇され、衣食住遊驚の5つの視点からのトレンドや、気象と消費の相関予報が合わせて発表された。具体的に気温がどこまで上がったら商品が購入され始めるのかという興味深い話を聞くことができたので紹介していこうと思う。
衣:消費者主導
今年のファッションはTV・雑誌からネットへとトレンドとなる媒体が変化したことによる影響が大きいようだ。SNSを通じて消費者が主導してトレンドを作っている。
またフリマアプリの普及により、CtoC市場が活発化した。それに伴って一回使って満足したのでフリマで売るという「ワンタイム消費」が目立つところとなりトレンドサイクルが加速しているという背景がある。では実際にどのような商品が人気なのだろうか。
まずSNS世代にとって目新しい90年代ファッションが挙げられる。SNS世代の親世代が若い頃の商品となっており親子で楽しむことができるという点で若い世代中心に人気を博している。
その他にも背中に特徴のあるバックシャンアイテムやトランスペアレント(透明)アイテムといったインスタ映えする商品が人気を博している。
やはりファッションはSNSを通じた「消費者主導」というところで若者向けの商品が目立った。90年代という親世代には懐かしい、若者には斬新な商品も流行りということで必ずしもインスタ映えするものが流行するわけではないということも念頭においておいたほうがいいだろう。
食:上陸グルメ・お家芸グルメ
食では海外からのインスタ映え商品があいかわらずの人気で、ロールアイス・ロゼワインのような海外の夏定番商品からワッフル・マシュマロにオリジナリティを加えたバブルワッフル、スモアなどが挙げられた。
その一方でお家芸グルメというものも人気を博している。これは一体何かと言うと、「和食」である。無形文化遺産にも登録され注目度は高い。高級お茶漬けやぬか漬けといった商品がトレンドとなっている。特に高級お茶漬けは前年比+96.3%となっており、その注目度には目を見張るものがある。
和食が多くの人に注目されるのは日本人としては素直に嬉しいことだ。お茶漬けやぬか漬けなどは店頭で探すよりECで探したほうが様々な種類・値段が比較できると思うので面白いと感じた。
住:ライフシフト消費
「最近は時間に対する価値観が変化し、家で過ごす時間の質にこだわるユーザーが増えている」と清水氏。
特に単身世帯や、共働き世帯、働き方改革の影響は消費に大きく反映されているそうだ。
代表例として睡眠の質を高める高級寝具、火入れの調整が難しい低温調理器、時短調理ができる電気圧力鍋は前年比+208.2%と凄まじい人気を誇っている。
その他には音楽や映画を高音質で楽しむためのワイヤレススピーカー・ワイヤレスイヤホンなども今年のトレンドとして挙げられている。
家にいる時間をどう過ごすかで消費行動も大きく変わってくる。今回紹介された商品を見る限り、こだわりのある商品が人気を博しているように思える。少し高級でもいい品質を求める、そんな消費者行動が見えてくるのではないか。
遊:外中ボーダレス
外中ボーダレスというのは、天気に左右されずに屋内外でボーダレスにレジャー楽しむ消費行動のことを指す。
近年気温の上昇やゲリラ豪雨などにより外でレジャーを行うのに後ろ向きになる人も多いのではないだろうか。そんな時のために室内で遊べるテーブルゲームやカードゲームは比較的人気である。
そして”イエナカ”レジャーグッズと題して紹介されたのが、流しそうめん機、無煙グリルといった商品だ。夏の風物詩、流しそうめんとBBQを家の中で簡単にできるアイデア商品である。お盆休みなどで親戚が一堂に集まる機会などに大活躍するのではないだろうか。
驚:逆転消費
逆転消費とは夏でも冬の商品が売れるということを表す。楽天市場で売れている特徴的な商品として挙げられるのが鍋・おでん、腹巻・カーディガン、編み物グッズなどが挙げられる。
暑い夏になぜ?と思う方もいるかもしれないが、室内は冷房をかけているため軽装だと風の要因に、冷たいものばかり食べているとスタミナ不足・夏バテの原因になり得る。言われてみれば普通のことのように思えるが、ここにはECならではの利点が隠れている。
今、スーパーに行っておでんの材料を買おうとしても、なかなか商品数は多くない。ECであればそのような心配はほとんどない。季節関係なく、商品を購入することができる。特に楽天市場は2億5千万もの商品を取り扱っていることから、探している商品が見つかる可能性は限りなく高いと言っていいだろう。
ECの利用方法が非常に多種多様になっていることがわかるだろう。また気温も重要な指標となっており、これくらいの気温になったらこの商品が売れやすくなるというデータもあるのだ。
気温と消費の相関予報
一言で夏といってもどこからが夏なのか、もう暑いじゃないかという意見もあるだろう。では具体的に水着やビールが売れる気温などを紹介していこうと思う。
例えば今年のGWは非常に暑い日が続き、アイスや半袖Tシャツが売れたそうだ。この一つの指標が20度となっている。さらに気温が上昇し、25度になったら浴衣・水着などが売れ始めるようだ。2018年6月は例年に比べ非常に気温がが高く25度を超えている日が多い。そのため水着・浴衣は今、非常に売れている。ビールやビニールプールは28度〜30度ごろに売上のピークが来るそうだ。
お盆が終わる頃には人気おせちの材料が売り切れることがあるというから驚きだ。こだわりあるおせちを作りたい人は早めに動くことが求められるだろう。
データから何を学ぶべきなのか
今回の「夏の消費トレンド 2018」は2億5千万もの商品を取り扱っている楽天市場の分析結果に基づいたデータ結果ということで非常に興味深い。EC事業者は季節感を意識し、戦略を立てていく必要がある。特にSNSを意識した戦略は必須と言っても過言ではないような印象を受けた。逆転消費の発想もECの強みを存分に活かしており、今後季節すらボーダレスになっていくのかもしれない、そんな印象を受けた。
とはいえすでに夏の戦略はどこも終わっているかと思う。夏に乗り遅れた事業者も、そうでない事業者も次の商戦チャンスに向けて準備を始める必要があるだろう。今回は「夏のトレンド」ということだったがSNSなどを利用する消費者の購買意識は大きく変わらないのではないか。ぜひ今回の分析結果を有効活用してほしい。