LINE近況レポ〜LINEはリアルとネット、人と人とをライトに行き来するコネクタだ
メールや電話など、これまで人々のコミュニケーションにおける“当たり前”に変化を唱え、人と人との繋がり方に多様化をもたらしたLINE。彼らは次何に新風を起こしてくれるのだろう。先日、行われた「LINEカンファレンス」でも、それを予感させるサービスも見られた。
まず注目したのは「LINE Pay」である。これまでも「LINE Pay」はあったが、今回の発表では一歩踏み込んで「キャッシュレス」というメッセージが強い。「キャッシュレス」に関していえば、LINEに限らず各社関心を寄せている話題であるが、LINEはどう存在感を表すというのか。
まずLINEはその足がかりとして店舗用「LINE Pay」アプリを作成し、店舗の負担を軽減した。本来であれば、この手の決済サービスの導入にはコストが伴うが、店舗用「LINE Pay」アプリを使えば、お客様が「LINE Pay」上で提示したQRコードを読み取るだけで決済が完了できるようになり、店舗におけるその敷居は低くなる。
店舗用「LINE Pay」アプリはレジ機能が備わっているだけでなく、LINE上の店舗のアカウントと連携して、買ってくれた人でお友達になっている場合はメッセージを送ることで、追客できるのだ。ただ、あともう一つ背中を後押しする要因が欲しいとして、LINEは思い切った施策を口にしている。
本来、これらの電子決済をした際に必要とされる手数料を無料(2018年8月1日~2021年7月31日の3年間)にするとしたのだ。
その他にも、お客様が「LINE Pay」内での残高を非接触型端末「QUICPay」で清算できるようにしているので、「QUICPay」専用端末を持っている店においては、かざすだけで決済ができるようにした。
会員2000万人超えのLINEショッピングは土台固め
変化といえば、今から一年前、まさにこのLINEカンファレンスで、センセーショナルなデビューを果たした「LINE ショッピング」が記憶に新しい。ショッピングサイトを媒介として、LINEユーザーとECサイトやモールをつなぐ同サービスであるが、会員数は2000万人となり、ECに新しい価値観をもたらした。
「LINE ショッピング」は、その勢いに乗りアップデートを繰り返しており、このカンファレンスでも写真や画像で商品検索できる新機能「ショッピングレンズ」を初公開した。LINE向きと言えばLINE向きであろう。Amazonなどもすでに取り入れられているが、LINEはそれとは使う場面が異なるように思う。
最近、SNSサービスなどでは、ファッションやデザインをフックに人と人とが繋がり、同じ価値観を持った「共感のコミュニティ」が形成されている。これらは理屈ではなく、デザインを見たときの直感である。直感で感じるものに巡り合い購入したい、そんなライトな感覚はLINEであればこそ、結実するように思う。今の時流を思えばこその検索手段ではないか。
「LINEショッピング」に限らずECにおいてもLINEは着実に関係を密にしていて、「LINE Pay for ID決済」を秋から導入することを発表している。 これにより、独自ドメインサイトなどでわざわざ登録情報を入力することなく、LINE上で一度登録した配送先や支払いカード情報を登録しておけば、それを使いまわして、買い物ができるようになる。
これにより「LINEショッピング」は盤石なものとなる。どういうことかというと、同サービスがECの玄関としてポイントを生み出す場となり、新たに登場する「LINE Pay for ID決済」がポイントを利用できる場となれば、LINEだけで、ECは一応の着地を見ることができ、きちんと完結するのである。
LINEはインフラとしてニッポンを支えていく存在に
まさにLINEはコミュニケーションツールを起点として、多くの人が利用するようになった今、生活インフラとなったと言っていい。上記以外に発表されたものには、LINEのAIアシスタント「Clova」に搭載されるスキル(機能)を開発・拡張できる「Clova Extensions Kit」を7月中に一般公開し、すでに「Clova Extensions Kit」パートナーとして、東京急行電鉄、@コスメが名乗りを上げている。
また、LINEのAIスピーカーのバリエーションも増えいて、どちらかというと要件を果たすだけの存在というよりは、Clova miniにミニオンズのデザインを使っていることからもわかる通り、LINEらしいポップなフレンドリーな御用聞きといった印象がそこにはある。
昨年、LINEはECの玄関となるという話をしたが、今年は、あらゆる生活基盤の玄関となる気概を感じた。LINE ショッピングがいまや2000万人に及ぶ会員数を誇るほど、自然に浸透していったように、彼らが提案する決済もまた浸透すれば、少なからずリアル、ネットを問わず「LINE Pay」を使う人も増えてくるだろうし、その時にはECサイトにおける「LINE Pay for ID決済」にまつわる議論が出てくるに違いない。
ただ、もはやそれもネットだけで議論するのでは不十分で、もっと俯瞰的に、リアルとネットの垣根を超えた「ニューショッピング」という枠組みで、どうお客様とコネクトしていくかを考えていくことが大事なように思う。
LINEは世の中を便利に活性化させるための手段である。どういう未来が開かれるのかとニッポンの未来に大きく想いを馳せる先に、LINEの価値も未来もあって、自分たちのやるべきことも見えてくるのではないかと思う。