「LINEトラベル」本日発表&開始!LINEの挑戦は続く〜旅行が変わる

石郷“145”マナブ

 オフラインにオンラインのテクノロジーを持ち込み、日常のリアルを活性化させる企業、それが最近のLINEだ。今日取り上げるこの動きもまたその一つ。LINE株式会社(以下、LINE)は、今日、国内海外の旅行を比較して、検索予約できる総合トラベルサービス「LINEトラベル」をスタートさせた。

 具体的には、国内海外格安ホテル、ツアー、航空券の検索・最安値比較ができる仕様になっており、いわば国内最大級の旅行比較サイトになっているというわけだ。250社以上の旅行会社、航空会社からの検索比較ができる本日より、国内外の宿泊施設の検索・価格比較がスタート、10月には航空券比較、12月には国内外のツアー比較ができる様になる。

 そもそも「LINEショッピング」経由でも旅行サイトへのアクセス数は多く、そのニーズの高さはすでに検証されている。

LINEの即時性が生かされ、旅行へと誘導する

 ただ、「LINEトラベル」は少しそことは違う切り口である。またネット上でのトラベルサービスと聞くと、割と目新しい印象はないのだが、LINEの藤原 彰二さんの話を聞いていると、旅行に新しい風穴を開けそうな予感もするのだ。

 「LINEトラベル」のどこでLINEの強みが発揮されるかというと、LINEの持つ即時性である。テレビでの情報番組で旅行情報が取り上げられたり、実際に芸能人が旅する旅番組が放映されている場面で、LINEからその地域にまつわる「LINEトラベル」の案内が届くというわけだ。更に価格として値ごろ感のあるものであれば、熱が冷めないうち、そのまま予約へと直結するというわけだ。
※LINEトラベルからのプッシュ通知は近日対応予定。

 上の図を見て欲しい。様々なビジネスを見ると、上のようなマトリックス図でまとめられそうに思う。大きく分けると、日常と非日常となり、例えば、コンビニエンスストアなどは日常で、旅行は非日常である。不思議なもので、コンビニはクーポンなどのプッシュ型のアプローチが活きてくるのに対して、旅行は自らの意思で探すポータルサイトのようなプル型のアプローチが向いているとされてきた。

 ただ、ここでLINEがこの「LINEトラベル」で新たに開拓しようとするのは、この旅行にプッシュ型の発想を持ち込もうというわけであり、プッシュすべきタイミングとして、旅情報に関するテレビの放映時というわけである。

 しかもLINEはコミュニケーションとして日常的に使われているから、その通知が日常の中で受け止められ、その流れで旅行という非現実的なものも現実的なものに近い感覚で受け止められ、新しい感覚で旅行への第一歩を築くことができる。

LINEらしさがリアルで生きてくるという逆の発想

 そして、ユニークなのが冒頭にも話したリアルとの接点である。「LINEショッピング」でも実はそうなのだが、彼らの狙いの中には、リアルな世界に存在する店舗との接点をGPSを使って作り出すことで、それをそのユーザーのリアルな場面での行動を結びつけて、新たなビジネスチャンスを模索しようというものがある。当然ながら「LINEトラベル」でもその構想は結びついていて、そこへのきっかけとして、それらをいずれLINEポイントを絡めたいとしている。

 今後の話としてだが、LINEらしいと思えるのは、獲得される「LINEポイント」は例えば、現地に着いた時にその場所で写真を撮ってアップする等で得られるようにしたいとしているのだ。これまでであれば、旅行という特性上、予約キャンセルがあるが故、ポイント発行が旅行した随分後にずれ込むことが多い。

 LINEで現地のチェックイン機能を使って、時間を要することなくポイントが支給されれば、極論、その旅先でそのLINEポイントを活用してその町の活性化につなげることも可能になるのだ。

LINEは独自の個性を生かして旅行を熱狂させる

 なるほど、このようにして、LINEなりのエコシステムが構築されるのか。リアルで得られるハートフルな体験は、その後のLINEにおけるコミュニケーションにプラスに働くだろう。ひいては、それがネットショッピングで購入する機会をも増やしていくことになる。

 直感で感じるままに旅を楽しむ、そんな新たな需要を作り、旅行代理店の積み上げたものとは違った価値観で旅行を提案し、そこにオンされる形で、旅行のマーケットは、ECの技術を通して、拡大していきそうだ。LINEをはじめとする、新たなテクノロジーは、リアルネットを問わず、日本に新たな賑わいをもたらしてくれることになりそうだ。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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