ECをとりまく最新利用動向がわかる分析結果を公表【ニールセンデジタル調べ】
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 宮本淳)は、6月末より販売を開始した消費者のオンラインショッピングの利用動向調査「Nielsen Online Shopping Report 2018(ニールセン・オンラインショッピングレポート 2018)」をもとにオンラインショッピングの利用状況を分析し、その結果を公表した。
ECで購入したことのある人はどのくらい?
2018年6月時点でオンラインショッピングの利用状況は、インターネット利用者の83%がオンラインで消費財・耐久財を購入したことがあり、49%が月に1回以上オンラインショップを利用しており、昨年とほぼ同様の結果となっていた。ネットスーパーに絞って見ると、インターネット利用者のうち25%が利用したことがあり、月に1回以上利用している人は8%となった。
ECのリピーターはどのくらいいる?
次に、「食品・飲料・お酒」のオンラインでの購入状況をみると、現在定期的にオンラインで購入している人(定期購入者)は同じ消費財の中でも定期購入者が多い化粧品(26%)を下回り、18%だった。また、過去にオンラインで購入したことがあるが現在は購入していない人(トライアルユーザー)は19%、過去に購入したことはないが現在オンラインでの購入を検討している人(検討者)は15%で、消費財平均と同程度となった。
定期購入者がオンラインで購入する理由(ドライバー)をみると「重いものやかさばるものを持って帰らなくてよい」という点が、最も大きくなった。一方で、トライアルユーザーと検討者がオンラインで定期的に「食品・飲料・お酒」を購入していない理由(バリアー)は「実際に手に取って見られない」が29%で最も多く、その次に「すぐ利用したい」と「実店舗の方が安い」がそれぞれ25%という結果となった。
リアルとネットどちらで買う?
「食品・飲料・お酒」のオンライン購入状況別に、商品を購入する前に検討した場所を比較した。定期購入者やトライアルユーザー、検討者は、実店舗で検討している人よりもオンラインで検討している人のほうが多く、特に定期購入者の74%は、オンラインで検討していた。一方、今後も「食品・飲料・お酒」をオンラインで購入しない人(回避者)は、実店舗で検討する割合が高いものの、3人に1人がオンラインで検討していた。
社会を変えつつあるEC
同社シニアアナリストの高木史朗氏は、今回の調査に際して次のように述べている。
「インターネット利用者全体で見ると、『食品・飲料・お酒』のオンラインでの定期購入者は18%だということが分かりました。ただし、トライアルユーザーや検討者といった『オンラインで購入するポテンシャルのある人』は34%存在しています。このようなポテンシャルのある消費者にとっては『購入した商品をすぐに利用できない』という点がオンラインで購入する際の一つのバリアーとなっていますが、例えば、帰宅途中にスマートフォンで夕食に必要な食材を注文すると、帰宅と同時に材料が届く、というようなサービスが普及すれば、オンラインでの購入も増える可能性があります。このようにバリアーが取り除かれることで、『かさばるものを持って帰る必要がない』などのメリットも感じやすくなり、定期的に利用するようになる可能性もあるでしょう。
オンラインは食品の購買場所としてはこれからの拡大が期待される一方で購入を検討する場所としては、オンラインで定期購入していない人でも、検索、比較サイトやオンラインショップ、SNSといったインターネットサービスの利用が一般的になってきています。つまり、オンラインメディアとしてはすでに消費行動に大きな影響を与えていると言えます。食品や飲料メーカーとしては、半数以上の人がオンラインで商品の購入を検討しているなかで、消費者の購買行動の変化やどこで、どのような情報を求めているのかを把握し、適切なコミュニケーションをとっていくことが今後も重要なポイントになってくるでしょう」。
今回の調査結果にあるように、実際にECを利用したことがある人、リピーター、潜在的に利用する可能性のある人を含めると、かなりの数がECと親和性があると言える。一方で、いまだECを充分に利用したことが無い人がリピーターになるためには、同社が指摘するようにいくつかのハードルがあるのも事実だ。宅配に代表されるラストワンマイルの切迫した状況もそのひとつだが、消費者のニーズをつぶさに把握した上で、そうしたハードルに対してEC市場全体、そして官民挙げた対策を継続して打ち出していくことが求められるとも言えそうだ。