OEMとは?基本知識を学ぶ。OEMのメリット、デメリットも解説
OEM(オーイーエム)とは何か? EC運営、ネットショップ事業者がOEMに挑戦するための基礎知識と、メリット・デメリットを紹介していく。これからネットショップを始める方も、すでに事業を行っており他社との差別化に悩んでいるネットショップ運営担当者もぜひこれからの運営に役立ててほしい。
OEMとは
「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」を略した言葉で、日本語だと他社ブランドの製品を製造すること(あるいはその企業)を指す。アパレル業界の方なら、非常に馴染みのある言葉だろう。他にも、化粧品や家電、食品、自動車業界などで普及している方法だ。
イメージしやすいOEMの代表例をあげると、コンビニに並ぶ会社ロゴが入ったお菓子などのプライベートブランド商品がこれに当たる。またリンゴのロゴで有名なスマートフォンも多くが海外で生産されるOEM商品である。違うブランドなのに、中身は同じような商品が売られている!?と思ったら、それはOEMで作られた商品の可能性が高い。
OEMの種類
OEM生産は大きく分けて2つの形態がある。
1)完成品、または半完成品を相手先のブランド名で製造する
下請製造の一種として発した製造形態だが、生産者側の開発品を相手先のブランド名で供給する点が、下請構造とは異なる。つまり、OEM受託側が、「こんな素敵な商品を企画したのですが、あなたのブランド名で販売しませんか?」と提案してくれるわけだ。
発注するブランド側は、その商品が自社ブランドにピッタリで、良い商品であれば、自社で商品開発をする手間を省くことができる。受託企業の提案そのままだと、その商品を採用した他社ブランドと全く同じになってしまうので、「別注」という形をとって、一部の仕様を変更して生産することもある。
2)とある企業がメーカーに対して、自社ブランド製品の製造を委託する
この場合は、依頼主(ブランド側)が製品の仕様を決め、完成した製品の管理権と所有権を依頼主が持つことになる。依頼主はOEM受託企業と契約を交わし、仕様書や原料、資材などを受託企業へ提供する。場合によっては、依頼主が技術指導まで行うこともあるそうだ。このパターンは、「分業」といった方が分かりやすいかもしれない。
OEM委託することのメリット
OEMの委託には大きく分けて3つのメリットがある。
1)小資本でも、自社オリジナルブランドの商品を作ることができる
工場や製造設備を自社で構えることが大変なのは、容易に想像がつくと思う。しかし自社で工場を持たずにOEM生産を行えば、商品製造に必要な設備にかけるコストが必要なくなるのです。製造部分だけをアウトソースすると考えていただければ、イメージしやすいのではないだろうか。
2)在庫リスクを低減できる
OEM受託企業の多くは、小ロット生産の対応が可能だ。そのため、多品種小量販売を行うECサイトでも販売しやすいのが特長だ。大量の在庫を抱えることになったらどうしよう……という心配を低減することができる。
3)本業である「販売」に専念できる
自社生産する場合、そこに関わる設備投資や人員の確保が負担となってくる。しかし、OEM委託をすることにより、製造にかかってくる経営資源を、本来必要な販売分野に回すことができる。EC業界はスピードが求められる業界だ。企画・マーケティングや、顧客対応に専念することで、企業の成長も見込めるのではないだろうか。
OEM委託することのデメリット
工場などの設備コストがかからないことや、在庫リスクの低減など、メリットもあるOEMだが、デメリットになり得る点もあるので確認が必要だ。
1)自社での生産技術が育たない
2)自社生産による収益が得られない
3)受託先が将来的に競合企業になる場合がある
商品製造をアウトソースするため、自社内で技術的なノウハウが溜まらない。また特別な資格を必要とする技術で作られる製品であれば、仮に受託先を変える場面が訪れた場合、新しい受託企業探しが困難になるケースもある。
まとめ。OEM委託を始めるなら
価格競争に陥り易いEC業界で生き残るためには、どうしても他社製品との差別化が必要になってくる。そのための手法の1つがOEMなのだ。人件費、製造設備費、生産に関わるあらゆるコストを削減することで、本業である販売や企画などに専念する時間を生み出せる。
またOEMの委託を始めるのなら、一緒に製品を作り上げる大事なパートナーとなる受託企業を探していくことだろう。アパレルに強いOEM会社、食品に強いOEM会社。まずはOEM会社の得意分野と自社の製品分野があっている会社で探すだろうが、これから一緒に、世界でたった1つだけのオリジナル商品を作ることになる。
ぜひ、価格だけでなく、的確なアドバイスやサポートをしてくれる良きパートナーと巡り会ってほしい。そうしてこのEC業界で自社ブランドを確立し、成長し成功する企業が1社でも多く生まれることを切に願っている。