複数の地方が共創し、資金調達を行う仕組み「広域連携GCF」とは

西村 勇哉

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する、株式会社トラストバンクは複数自治体が1つの共通する課題を解決するために連携する広域連携ガバメントクラウドファンディングのプロジェクト(以下「広域連携GCF」)を日本で初めて開始すると発表した。

「共」に「創」りあげる共創を目指す取り組み

今回の取り組みはトラストバンク 代表取締役 須永 珠代氏が前々から構想していたという。

今回の広域連携GCFは、同じ課題を抱える地方が連携できるプラットフォームとしての役割を果たすことになる。

現在、問題視されている返礼品。これは地方同士が競争を行なってしまった結果だという。国から提示されている納税額の3割を超えてしまった場合、地方に還元する取り分や人件費などが大きく損なわれてしまいます。

このような地方全体の課題に対して広域連携GCFは、自治体同士が新しい価値を「共」に「創」りあげることを目的としている。

共通の課題をトラストバンクが提起

広域連携GCFはまず、トラストバンクが地方の課題解決に繋がるテーマを発信し、それに賛同した地方が参画する、という流れだ。

今はまだトラストバンクが決めたテーマでの活動だが、地方からのニーズにも応えたいとのことだ。よりリアルなニーズを地方同士で共創していくことこそ、このプロジェクトが目指すところなのだろう。

初回のテーマはスポーツ!

記念すべき最初のテーマはスポーツだ。2020年に開催される東京五輪に向けて、地方のスポーツを支援したいというトラストバンクの想いがある。

参加地方は下記の地方だ。

【自治体名:長野県松川町】
◆事業名:高校生をコスタリカへ派遣!若者の多様な経験を応援し、これからの地域づくりに繋げるまちへ
◆募集額:200万円
◆期間:2018年9月27日~2018年12月31日(96日間)
◆概要:ホストタウンに登録されたコスタリカと松川町の交流が、2020年以降も続いていくよう高校生をコスタリカへ派遣し、交流を深める
◆使い道:高校生をコスタリカへ派遣する費用(20万円.10人分=200万円)

【自治体名:島根県奥出雲町】
◆事業名:2020年、夢への挑戦!小さなまちの子どもたちが世界で輝くプロジェクト
◆募集額:150万円
◆期間:2018年9月27日~2018年12月31日(96日間)
◆概要:ホッケーの強豪国インドのホストタウンに選ばれたことをきっかけに、ホッケーのまち奥出雲町として町を挙げて競技場、ホッケー用具等を整備し、世界を夢見るホッケー少年・少女を応援する
◆使い道:ホッケー用具の整備、ホッケー競技場整備等

【自治体名:東京都世田谷区】
◆事業名:車いすの人も安心して使える陸上競技場を、みんなの力で!
◆募集額:200万円
◆期間:2018年9月27日~2019年3月29日(184日間)
◆概要:2020年をきっかけに、老朽化していた競技施設をだれもが安心して利用できるバリアフリー施設へと改修し、区民の親しみの持てる施設を一層整備する
◆使い道:陸上競技場内に車いす更衣室の設置費用

◆事業名:歴史ある陸上競技場スタンドを、みんなが使いやすい施設に生まれ変わらせたい!
◆募集額:900万円
◆期間:2018年9月27日~2019年3月29日(184日間)
◆概要:2020年アメリカの事前キャンプ地に選ばれたことを機に、老朽化していた競技施設を安心して楽しめる競技場として観覧席を整備し、新しく生まれ変わった陸上競技場で区民との国際交流を更に促進する
◆使い道:観覧席設置一部費用(900万円)

【自治体名:京都府亀岡市】
◆事業名:「空手」を通じて始まったオーストリアとの交流を促進し、世界に開かれたまちを未来へ残したい!
◆募集額:300万円
◆期間:2018年9月27日~2018年12月31日(96日間)
◆概要:空手を通じてつながったオーストリアとの交流が強固なものとなるよう、スポーツを通じた国際交流イベント等を実施し、交流を深める
◆使い道:事前合宿招致費用等

【自治体名:新潟県柏崎市】
◆事業名:水球のまち柏崎からみんなで水球を元気にしたい!
◆募集額:200万円
◆期間:2018年9月27日~2018年12月31日(96日間)
◆概要:水球の強豪国セルビア共和国とモンテネグロのホストタウンに選ばれたことをきっかけに、水球のまち柏崎として市を挙げて地元のクラブチームを応援し、世界の舞台を目指す選手の大会出場を目指してまち全体で水球を応援する機運を高める
◆使い道:水球選手強化費用等

【自治体名:東京都墨田区】
◆事業名:「3秒間」に凝縮された戦いを伝えたい!“パブリックビューイング”で2020年のパラ・パワーリフティング競技観客動員10万人を目指して!
◆募集額:420万円
◆期間:2018年8月1日~2018年12月31日(153日間)
◆概要:パラスポーツのまち墨田区がパラスポーツのパブリックビューイングをスカイツリーで実施することで、障がいの壁を乗り越えてアスリートとして活躍する選手を応援する機運を高める
◆使い道:パラパワーリフティング・パブリックビューイング開催費用

また2回目のテーマには動物愛護を掲げ、早速募集を始めている。
無秩序な繁殖や殺処分を防ぎ、人と動物の共存を目指すために5つの地方が参画している。

プラットフォームとして協力者を巻き込んでいく

プラットフォームとして協力者を巻き込んでいく

地方の発信力を強め、協力関係を促進させていく。

今回の取り組みは1つの小さな地方のみの発信ではなく、様々な地方が参画するため発信力が強くなる。1地域の問題ではなく、国全体の問題としての定期が可能となるのだ。

また他の地方と関係強化を行うことで、自分の地域にフィードバックとして活かす狙いもある。ふるさと納税制度の活用方法や、魅力発信の仕方など学べることは多いのではないか。

発信力が弱い地方が互いに協力し、日本全体の問題として課題を提起し続けることで関係人口はさらに大きくなり、影響力も大きくなる。影響力が大きくなれば地域への観光や、ECサイトでの購買などいい循環が生まれるのではないだろうか。

今後も様々なテーマを立て、地域の課題解決を提示し続けていくトラストバンク。様々な地方の課題を一緒に考えることで多くの繋がりとノウハウが蓄積され、1つのプラットフォームとして機能しているのだ。

ふるさと納税を始めとした他サービスとの連携が今後あるのかも気になるところだ。

 ECノウハウ


記者プロフィール

西村 勇哉

メディア運営事業部 編集チーム所属
見た目はヒョロイのに7歳から空手を習っています。
他にも水泳、サッカー、野球、弓道の経験有り。
たまにメルマガに登場しますが乃木坂46の話しかしません。
連絡先→nishimura@ecnomikata.co.jp

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