テレビショッピングの制作もAIにおまかせ。AIのアプローチを考える

ECのミカタ編集部

キューサイ株式会社(本社:福岡県福岡市/代表:神戸聡、以下「キューサイ」)は、株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区/代表:本間洋、以下「NTTデータ」)、および株式会社NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区/代表:川島祐治、以下「NTTデータ経営研究所」)とともに、テレビショッピング番組の内容から視聴者の問い合わせ電話数(以下「入電件数」)を予測するAIの技術開発に取り組み、顧客からの入電件数増加に成功した。

なぜキューサイとNTTなのか

キューサイグループは、ヘルスケア商品やスキンケア商品など社会のニーズに合わせた事業展開を行い、常に顧客起点を大切にしている。

特にテレビショッピング番組制作では、視聴者にいかに楽しい体験を提供し、商品の魅力を理解したうえで注文してもらえるかに注力し研究を重ねている。

番組放送前に視聴者の反応を分析し、反映する方法を模索していたが、精度・速度・コストの面から、実現が困難な状況だった。

一方NTTデータグループでは、脳活動を計測して知覚内容を解読する「脳情報解読技術」を利用して2016年より広告評価サービスを開始するなど、脳科学や機械学習分野の先端技術を取り入れながら人間の情報処理プロセスの定量的理解とそのビジネス応用を進めている。

そこで、キューサイとNTTデータグループは、それぞれが進めてきた研究およびノウハウを生かして、人工知能を活用した番組制作の最適化に向けて効果検証を行うこととした。

「nAomI」の活用で視聴者が楽しめるコンテンツを

「nAomI」の活用で視聴者が楽しめるコンテンツを

視聴者が番組を見て、商品に興味を持ち電話をかけるまでの反応を予測するAIモデル「nAomI」(ナオミ)を構築し、2018年7月に「nAomI」を活用して制作した番組を放送。

従来の制作手法で同時期に放送した番組より、視聴者からの入電件数が27.6%増加することを確認した。「nAomI」を活用することで、顧客に楽しい体験を提供し、商品の魅力を理解しやすい番組の制作が可能となり、入電件数を増やすことが期待できる。

機械的に生成した数千通りの構成案を「nAomI」に読み込んで評価させ、最も入電件数が見込めると予測した1素材を実際に放送。検証方法として、従来の制作手法で制作した番組(2番組)と「nAomI」が制作した番組を、同時期・同放送局で放送し、視聴者からの入電件数を比較した。

入電件数は27.6%増

≪検証内容≫
検証の目的:「nAomI」による番組構成の最適化
検証時期:2018年7月
放送局:全国14のローカルテレビ局
対象ブランド:ひざサポートコラーゲン
効果検証指標:番組放送中~放送後の入電件数

≪検証結果≫
「nAomI」を活用して制作・放送した番組と従来の手法により制作・放送した番組2つを比較・分析したところ、各平均入電件数において下記の違いが認められた。

従来手法による番組(1)との比較・・・平均29%増
従来手法による番組(2)との比較・・・平均24%増

2番組平均して27.6%増という結果に。要因としては、数千通りもの構成案を生成・評価することで、従来の方法では実現に至りづらい意外性の高い案を制作・放送できた可能性が挙げられる。

視聴者に科学的なアプローチを

今後、キューサイおよびNTTデータグループ2社は、今回の結果に基づき、キューサイの制作する各種の番組・広告・情報コンテンツに導入の幅を拡大する。

人間の脳活動の情報を用いることにより、番組視聴中の情報処理を脳情報表現レベルでシミュレートして知覚や行動誘発を説明・予測する技術も適用しながら、精度と有効性を同時に高めていく予定だ。

視聴者がショッピングをより楽しみ、より商品の魅力が伝わるように科学的なアプローチでコンテンツを制作できるよう技術をさらに進化させていくという。

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