NTTデータとunerryが人流センサーを活用したサービスの提供を開始

ECのミカタ編集部

潜在顧客を可視化・誘導し日々の商業施設等の経営を支援するサブスク型サービスを提供開始

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)と株式会社unerry (以下:unerry)は、デジタルツインコンピューティング(以下:DTC)を実現するための人流センサーを活用したサービス(以下:本サービス)を2022年11月より提供開始したことを公表した。

本サービスの概要

本サービスは、来店者等の人流を捉えるIoTセンサーと、リアルタイムの混雑状況、顧客属性の可視化が一体となった月額サブスクリプション型のサービスとなっており、潜在顧客の来店誘導機能とシームレスに連携可能だ。

施設や店舗にIoTセンサーを設置することで、センサーが周囲のスマートフォン等の台数から判定したリアルタイムな3段階の混雑状況を、施設や店舗のWEBサイトやアプリ等に組み込めるパーツとして提供。また、unerryの運営するリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」の月間300億件を超える人流ビッグデータ注3と掛け合わせAI解析することにより、来訪者の属性を推定する。

この推定情報を活用することにより、導入施設や店舗において、潜在顧客層に応じた販売目標の設定や、ターゲット広告の配信、陳列商品の選定、在庫の確保等を実施できるようになり、潜在顧客の獲得による売り上げ増加や、過剰在庫による損失の抑制などの効果が期待できる。

さらに潜在顧客の可視化により、プロモーションなどの顧客向け施策の効果もデータに基づいた振り返り分析ができるようになることから、施設や店舗経営のPDCAサイクルも回しやすくなるとしている。

◆実証実験について

▷実施箇所:東京駅のエキナカ商業施設「グランスタ東京」
▷実施機関:2021年12月17日~2022年2月17日
▷実施内容:4カ所にIoTセンサーを設置し、混雑配信と、ターゲットを絞ったアプリプッシュ通知

混雑配信はコロナ禍における顧客への安心安全訴求による顧客満足度向上、ターゲット広告は「東京ステーションナビ」アプリにおいては開封率が2.0%から8.5%へ向上し、開封ユーザーの8割が広告元の店舗に来訪する集客率向上に繋がる結果となった。

その他詳細情報

◆本サービスの全体像

◆本サービスに置いて取得できる情報の一覧

◆価格

▷最小構成であるIoTセンサーと人流可視化サービスについては、1台あたり月額1万円(税抜)のサブスクリプション型で提供する。

人流データで施設・店舗の経営を変える

今回、本サービスの提供背景について開発元は以下のようにコメントしている。

「施設・店舗などのリアル空間では、POSデータによる商品の購入分析は実施されてきた一方で、来店したものの購入しなかった潜在顧客を含む人数・属性の把握による買い上げ率の分析や、来店客属性に関するデータの活用が進んでいませんでした。そのため多くの施設店舗では、販売目標の設定や集客、陳列商品の選定、在庫の確保等が、店舗の過去実績と店長・エリアマネージャー等の属人的経験に依存する状態となっており、消費者の購買行動変化を捉えた潜在顧客獲得にはつなげにくいという課題がありました。そこでNTTデータとunerryは、天気予報を見て行動を変えるように、人流データで施設・店舗の経営を変えるDTC社会の実現を目指し、本サービスの開発に至りました」

また本サービスは今後、2025年までに100社への本格導入を目指すとしている。さらに本サービスにより可視化した空間情報と人流データは、NTTデータがDTC社会実現に向けて構築を進めている位置情報サービス基盤注4を通じて顧客の利用用途に応じて加工、分析して提供する。このことは屋内ナビゲーションの導入や、サービスロボットの自動運転化、建物の空調最適化による省エネ、防犯、防災対策等、建物空間における運用効率化など、多岐にわたる目的でのDTCの本格活用と社会課題の解決取り組みに繋がるだろう。

本サービスを利用することで、事業者はAI解析によるリアルタイムの混雑状況や、POSデータだけでは見えなかった潜在顧客の属性を推定することが可能となる。取得データを販促活動などに活用することで、適切なプロモーションによる売り上げや顧客満足度の向上、業務効率化によるコストの削減に貢献することが期待できるはずだ。

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