公正取引委員会、令和7年度「荷主と物流事業者との取引に関する調査結果」発表

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ECのミカタ編集部

(令和8年6月25日)令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等について

公正取引委員会は2026年6月25日、2025年度(令和7年度)における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果を発表した。

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調査概要

2025年度(令和7年度)においては、次表のとおり、荷主と物流事業者との物品の運送又は保管に係る継続的な取引を対象として、荷主及び物流事業者向けのアンケート調査を実施した。

その結果を踏まえ現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案に関して、荷主105名に対する立入調査を実施している。

◆出典:(令和8年6月25日)令和7年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等について(公正取引委員会)

荷主779名に対し「注意喚起文書」を送付

公正取引委員会は調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付している。

注意喚起文書を送付した荷主の数について、上位の業種(※1)は「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」、「食料品製造業」、「飲食料品卸売業」、「協同組合(※2)」であった。

◆注意喚起文書を送付した荷主の業種別内訳

また、独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為を行為類型別は「不当な給付内容の変更及びやり直し」が最多に。次いで「代金の支払遅延」、「買いたたき」と続いている。

◆独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為の行為類型別内訳

注1:複数の行為類型で注意喚起文書の送付を受けた荷主が存在するため、合計の件数は前記(1)の荷主数779名とは一致しない。
注2:同一回答者が荷待ちとともに、荷待ち以外の不当な給付内容(積載数量、発着地、集貨日等)の変更及びやり直しに該当している場合がある。

独占禁止法上の問題につながるおそれのある主な事例

独占禁止法上の問題につながるおそれのある主な事例として、発表された内容の一部は以下の通り。

◆不当な給付内容の変更及びやり直し
▷自社倉庫から出荷する商品を引き渡す際に、荷主の事務手続の遅れにより、物流事業者のトラックが到着してから出荷日の変更や取消しを行ったが、物流事業者からの請求が無かったことから、出荷日の変更等により物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった。(飲食料品卸売業)

◆代金の支払遅延
▷物流事業者に支払う運賃について自社の都合により、あらかじめ定めていた支払期日に支払わず、数カ月に分けて支払った。(金属製品製造業)

◆買いたたき
▷物流事業者に対し海外から調達した商品の自社の事業拠点までの運送業務を委託しているところ、当該運送業務に附帯する輸入通関業務について、税関への関税・消費税の納付を物流事業者に立て替えさせていた。(繊維工業)

◆代金の減額
▷物流事業者に対し委託した運送業務に特段の問題がなかったのに、あらかじめ合意した運賃から数%割り引いた金額の請求書を発行させ、減額した金額のみを支払った。(生産用機械器具製造業)

◆物の購入強制・役務の利用強制
▷運賃の支払に当たり物流事業者に対し、物流事業者が希望していないにもかかわらず、自社の子会社が提供するファクタリングサービスを利用するよう求めた。(窯業・土石製品製造業)

違反行為の未然防止に向けた取り組みを進める

本調査では、荷主による独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行わないための積極的な取り組みも確認されている。

◆不当な給付内容の変更及びやり直し(荷待ち)
▷物流事業者に対し自社拠点からの出荷が大幅に遅れる場合、事前にその旨を連絡して集荷に来る時間を指定し直した上で、集荷時間の変更に伴い物流事業者に生じた人件費等の費用を支払っている。(飲食料品卸売業)

◆買いたたき
▷物流事業者との間で1年に2回程度、運賃に係る定期的な協議の場を設けている。また、当該協議の場以外に、物流事業者からコスト上昇を理由とした運賃の引上げ要請があった場合には、都度、協議に応じている。(電子部品・デバイス・電子回路製造業)

公正取引委員会は今回の調査結果について「関係省庁及び関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取り組みを進める方針」を示した。

物流分野におけるサプライチェーン全体の更なる取引適正化を進めるための制度改正を踏まえ、同会は今後も荷主と物流事業者との取引に関する実態把握に努める。同時に、独占禁止法上の優越的地位の濫用や取適法の禁止行為に当たり得る事案に接した場合には、厳正かつ機動的に対処するとしている。

荷主にあたるEC事業者にとって、物流事業者との取り引きは欠かせないものとなる。本調査を参考に改めて自社の体制を見直しつつ、公正取引委員会の今後の取り組みも注視してほしい。

※1:注意喚起文書送付対象の荷主数が3位(同数の業種を含む)までの業種。
※2:主に農産物及び水産物の販売事業等を営む協同組合。