ヤフー18年度3Q決算 ECでの実績をフックにPayPay強化でリアルに新たな可能性

石郷“145”マナブ

 ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は、「2018年第3四半期決算説明会」を開催した。売上収益は7075億円(7.4%増)で、営業利益1196億円(19.0%減)だった。広告関連売上収益はYOY 7.1%増(検索広告売上収益 YOY12.2%増)と好調だ。また、ショッピング事業に関しては取扱高は20%以上(YOY22.5%増)の成長をしている。

セグメント別の売上収益について

 コマース事業という分類の中においては売上収益が4824億円、営業収益は467億円となっている。また、PayPayの累計登録者数がサービス開始4ヶ月で400万人突破、新施策を積極的に進める攻めの姿勢が見られるが、そこまで注力する理由は川邊社長のコメントからも垣間見れる。

 今後の成長計画に関しては「宮坂体制からも、パソコンからスマホへサービスの移行、Eコマースの強化などを実行、売上を上昇させて、ログイン済みユーザーIDを伸ばすことができている。ここの上でECで培ったノウハウをもとに、リアルの世界へと打って出る。そこにはPayPayが絡んでくる」と川邊社長。

オンラインとオフラインの両面から購買に力を入れる

オンラインとオフラインの両面から購買に力を入れる

 強調したのはオンラインではヤフー、オフラインではPayPayに力を入れていくということだ。オンラインでの実績を背景に、これまで以上にユーザーの利便性にフォーカスして、オフラインにも進出していくという。ヤフーならではのシナジー効果を高めていくとしている。ここでの彼らが言うシナジーの中身は、統合マーケティングソリューション、Eコマース、それを活用したフィンテック、マーケティングに基づくデータソリューションだとした。

 その中で、川邊社長が今回言及したのは、「統合マーケティングソリューション」。認知から購入までをやっていくという姿勢を「統合マーケティングソリューション」とヤフーとしては銘打っているのだ。これまでヤフーは例えばECなどの来店まではできていたが、それ以降で断絶が生まれているので、PayPayを持ってして、総合的にヤフーの戦略を推し進めていくというわけだ。

PayPayに力を入れる理由が見えてきた

 オンライン購買ではクーポンを活用して来店に繋げつつ、IDで連携させる。そして、そのクーポンを活用して、リアルな世界での会計に繋げていくということだ。改めて、これまでECの成長ができており、クライアントに「購買」という部分という部分で信頼を持たれているので、こうしたビジョンの具現化が可能となったといえよう。

「統合マーケティングソリューション」は具体的には、販促市場で力を発揮。販促市場は15兆円の市場だと言われており、ここのマーケットをヤフーは取り込み、2023年度に売上収益5000億円、営業利益も過去最高の2250億円を目指していくとした。

 ヤフーの決算を通してPayPayに注力しようとしている理由が見えてきた気もする。ヤフーが得てきたメディアとしての強みはリアルで生かされるものであり、それを購買などで着地させる。そしてその購買においてはYahoo!ショッピング、すなわちECの成長が背景にあることからもわかる通り、ECとリアルとの接点はこれまで以上に、関わりが深くなっていくものと思われる。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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