日本のユーザーはアプリインストールから購入までが長い?ショッピングアプリとモバイルコマースに関する最新調査
モバイル計測およびアドフラウド防止のadjust(アジャスト)株式会社(本社:独・ベルリン、代表取締役社長兼共同創業者:クリスチャン・ヘンシェル)とLiftoff Mobile株式会社(本社:米・パロアルト、代表取締役社長兼共同創設者マーク・エリス)は、急成長中のモバイルコマースに関するレポートを共同発表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
2019年の「モバイルショッピングアプリレポート」では2018年4月1日から 2019年3月31日までに集約された Liftoffのデータを基に作成されている。このデータは、1,360万インストールと390万アプリ内イベントにおける、約909億件の広告インプレッションを対象にしている。
さらにレポートではユーザー獲得コストとコンバージョンをグローバルに計測し、主要なエンゲージメントアクティビティとその傾向を、地域 (北米、EMEA、APAC) と5ヶ国の国別 (日本、ドイツ、インドネシア、米国および英国)で比較分析されている。この調査には Adjust の2018年の継続率データ(1日目、3日目、7日目、14日目および30日目) が取り入れられている。
リアル店舗の復権か?
マクロミルの調査によると一般的にクリスマスやお正月、年末は消費が活発になるが、モバイルコマース市場全体の動向を見るとそうとは限らないようだ。グローバルにおけるショッピングアプリのユーザー獲得コストは、年間を通して$30~$45となっており、昨年の不安定で割高な様相と比べると明らかに安定している。
消費者は全体的にモバイルでの購入を身近で便利であると感じており、ユーザー獲得コストは前年の3分の1に減少した上、インストール後、購入に至る率は10.5%(前年比49.1%アップ)で、50%近くにまで急増している。
Liftoff CEO兼共同創業者 マーク・エリス氏
「この下落の原因は不明ですが、小売業界の大きなトレンドの一つを示しているのかもしれません。つまり実店舗の復活です。AmazonやWarby Parkerなどオンライン主体の企業が、実店舗との連携を進めていたり、Generation Z(中学生から大学生頃の年齢層)のユーザーは、モバイルで商品サービスを閲覧し、購入は実店舗でしているという傾向があることも調査で分かりました。また、年末年始商戦は、オンライン、実店舗共に依然として健在です。しかし、データによれば、ユーザーは一年中買い物をする傾向があることがわかり、これまでのように年末年始ですべてが決まるという状況ではないことを示しています」
移り気な消費者の獲得には「きめ細かな戦略」が必要
APACや北米では、ショッピングアプリを活用することに前向きで、登録率も急増加し、獲得コストも昨年比でかなり減少している。さらにデータを分析すると、”モバイルウィンドーショッピング”という新しいトレンドが明らかになった。
ユーザーは、ショッピングアプリを手軽にインストールして登録するが、最も重要な購入という段階で数字が大幅に下落することがわかった。日本の場合、購入を行うユーザーの獲得コストは$36.43でありながら、コンバージョン率は 7.7%と低く、APAC(10.1%)よりもされに低くなっている。
Adjust CEO兼共同創業者 クリスチャン・ ヘンシェル氏
「購入率を上げたいマーケターは、持っているデータを最大限活用し、潜在的な脱落箇所を把握し、セグメンテーションやターゲティングを正確に行うことが不可欠です。それにより、マーケティング活動における最適なユーザーインタラクション戦略を作成し、実行することができます。移り気な消費者を獲得し、長期的に利用してもらうためには、きめ細かな戦略がカギとなるでしょう」
日本のユーザーはアプリDLから購入までが長い
日本のユーザーがアプリをインストールしてから購入までにかかる時間は、1 日21時間51分で、商品を調べてから購入の決定をするまでの時間が長いことが判明した。マーケティング担当者はクリエイティブによってターゲットとなるオーディエンスを効果的に特定し、対応することが求められそうだ。
日本のユーザーはアプリを信頼?
日本のユーザーのショッピングアプリの継続率は他地域と比較して高く、日本のユーザーがショッピングアプリに関心を抱いているということが見て取れる。1日目の20%の継続率という大きな数値は、本レポートの中では最高の値となっており、7日目でも 10%という優秀な値を維持している。これより、日本のユーザーはアプリに対して一貫したロイヤリティがあることを示唆していることが浮き彫りとなった。
この一年間でモバイルコマースが大きく普及
今回の調査ではまた、この一年間でモバイルコマース(M-commerce)における消費がこれまでにないほど普及し、ユーザーの購買意欲も非常に高いことを示す結果も示されている。
また国や地域ごとのモバイルでの購買行動も検証しており、日本を含める APAC(アジア太平洋)や北米では、ショッピングアプリ内で商品をブラウジングする”モバイルウィンドーショッピング”が増加していることが判明した。
こうした日本におけるユーザーの動向をとらえる事でEC市場においてもより精度の高いマーケティングやプロモーション施策へとつなげることができそうだ。