物流戦略がEC成功の糸口に?経営視点でおさえておくべきポイントとは【ECのミカタイベントレポート】

柏木まなみ

2019年11月20日、ECのミカタ主催で「EC戦略としての物流 〜EC物流で事業者がおさえておくべきポイント紹介セミナー〜」を開催しました。

物流に関するサービスを提供する3社が、EC事業者が知っておくべき物流のポイントを解説。コストを抑える物流やユーザーのロイヤリティを向上させるための施策など、経営視点での攻略ポイントが語られました。

当日集まったのは、「物流を戦略的に活用していきたい」と考える、約50名ものEC事業者。今回は、三部構成で行われたセミナーのようすをダイジェスト形式でレポートしていきます。

第一部「物流の未来 〜攻めの物流 守りの物流〜」

第一部「物流の未来 〜攻めの物流 守りの物流〜」

第一部では「物流の未来 〜攻めの物流 守りの物流〜」というタイトルで、株式会社リンクス 代表取締役社長 小橋重信氏にご登壇いただきました。

リンクスが提供するのは、物流のコンサルティングサービス。アパレルやインテリア、中古品など、さまざまな商材を扱うEC事業者の物流改善をしています。そんなリンクスの小橋氏は、「これからの物流は『守り=コスト』から『攻め=戦略』にシフトしなければならない」と言います。

小橋氏「これまでは、いい商品を作ってどんどんプッシュすれば売れたので、物流をコストと捉えていました。しかし、これから重要なのは、売れるものをどうやって作り、ファンを増やしていくか。つまり、プルの戦略が求められます。物流は『エンドユーザーにどう満足してもらうか』を戦略的に攻略する必要があるのです」

物流に対しての考え方が変わってきている現在。小橋氏は、「商物分離から商物融合へと移ってきている」とも言います。

小橋氏「『物流は商流を支えることが大事』と言われた“商物分離”の時代は、物流そのものの効率・精度・スピードが求められていました。物流の領域は商流と分けられていたので、物流業者が提案できる範囲が限定的で、極めて短期視点だったのです。

しかし、テクノロジーが進化してきたことにより、物流は商流と融合したサービスを実現するという“商物融合”の考え方にシフトしています。物流という領域を超えて、UXの最大化が求められており、長期視点になっているのです。それに伴い、物流工程でやるべきことは、効果的なSCM(サプライチェーンマネジメント)の企画や構築など、かなり広がりました」

日々進化を遂げている物流業界。現状に甘んじることなく、常に新しい情報をキャッチして物流のあり方を考え続けることが、今、EC事業者に求められているのかもしれません。

第二部「EC運営の鍵は物流にあり! 物流企業が明かす失敗パターン&成功パターン!」

第二部「EC運営の鍵は物流にあり! 物流企業が明かす失敗パターン&成功パターン!」

第二部でご登壇いただいたのは、株式会社流通サービス 第2営業部 企画支援グループ サブグループマネージャー 未来EC推進Team プロデューサーの長谷川雅之氏。「EC運営の鍵は物流にあり! 物流企業が明かす失敗パターン&成功パターン!」というタイトルで、EC物流を成功させるためのポイントについてお話いただきました。

流通加工から保管、輸送まで担うロジスティクス事業を展開している、流通サービス。「物流は顧客満足度を向上させるカギを握っている」と、特に梱包へと力を入れています。流通サービスの梱包による返品率は、0.28%(※1)。返品率の低さから、多くのEC事業者がリピートしているんだそうです。

長谷川氏「梱包には、失敗パターンと成功パターンがあります。失敗パターンは、雑や無駄が多い梱包で、エンドユーザーの商品に対する期待を裏切ってしまうこと。SNSを確認すると、『テープの貼り方が雑すぎる』『割れやすいものなのにクッション素材がついていなかった』といった投稿も見受けられます。失敗パターンの梱包をすると、SNSに悪い口コミが投稿されることもあり、EC事業者の信頼を失うことになりかねません。

一方で、成功パターンは、丁寧で気持ちを込めた梱包で、エンドユーザーに感動を与えること。成功パターンの梱包も、失敗パターンの梱包と同様に、SNSに口コミが投稿されています。『ガムテープを剥がしやすいよう、端っこが折り込んであった』『丁寧な梱包ありがとうございます』とECサイトの名前付きで投稿されることもあるので、宣伝効果にもなるのです」

商品の梱包は、商品の到着を待ち望んでいた消費者にとって、良くも悪くも目につくところ。消費者目線に立って気持ちの良い梱包をすることこそ、顧客満足度を向上させるために重要なポイントなのでしょう。
(※1)当社顧客2016年実績

第三部「EC事業者は覚えておきたい倉庫の使い分け ~インターネットの普及からAIが選ぶ時代までを見据えて~」

第三部「EC事業者は覚えておきたい倉庫の使い分け ~インターネットの普及からAIが選ぶ時代までを見据えて~」

第三部でご登壇いただいたのは、株式会社エスグロー 執行役員 MCD事業部 部長 中村宗寛氏。「EC事業者は覚えておきたい倉庫の使い分け ~インターネットの普及からAIが選ぶ時代までを見据えて~」というタイトルで、倉庫の種類と特徴についてお話いただきました。

エスグローは、物流センター運営やピッキング、在庫管理、流通加工、ドライバー派遣、インボイスデータ作成など、幅広いロジスティクスサービスを提供しています。物流のアウトソーシングだけではなく、マーケティングやブランティング、販売といった上流部分も担っているのが特徴です。

中村氏は「物流業者によってサービス内容は異なり、倉庫の種類は大きく6つに分けられる」と解説します。

中村氏「倉庫の種類は『アナログ倉庫』『専門業種特化型倉庫』『販売主体型倉庫』『倉庫サービス主体のネット連携型倉庫』『システム会社主体のネット連携型倉庫』『ネット通販型倉庫』の6つ。

EC事業者に向いているのは、当社も分類されている『ネット通販型倉庫』です。ロット数と品種数が比較的自由なので、多品種小ロットのEC事業者でも利用しやすい傾向があります。

どこの倉庫に依頼するのかは、自社商品の特徴や困りごとと、各倉庫のメリット・デメリットを照らし合わせながら決めるのがいいでしょう」

>>詳しい倉庫の分類と特徴はこちら(https://ecnomikata.com/original_news/23923/

会場では参加者に「成果確認シート」が配られ、「自社が物流に求める優先事項」を確認する時間が設けられました。本シートを提出すれば、後日中村氏によるフィードバックを受けられるとのこと。参加者は、自社が抱える物流の課題について、真剣に向き合っていました。

物流に関する課題を解決。成功のためのポイントが飛び交ったセミナー

リンクス・流通サービス・エスグローの3社に登壇いただいた「EC戦略としての物流 〜EC物流で事業者がおさえておくべきポイント紹介セミナー〜」。EC事業者が成長するための物流のポイントが飛び交っていました。今回の話を自社にお持ち帰りいただき、成果へと繋げていただけたら幸いです。

三部構成のセミナーが終わったあとは、登壇者や参加者同士の名刺交換会、ECのミカタ サポート部による個別相談会が開かれました。

ECのミカタでは、これからもECに関するさまざまなテーマでセミナーを主催していく予定です。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

EC専門の物流倉庫への委託先選定はECのミカタへ

EC専門の物流倉庫への委託先選定はECのミカタへ

ECのミカタが運営する物流倉庫会社様とのマッチングサービスです。ECサイトに特化したメディアを運営する専門コンシェルジュが、丁寧なヒアリングを行った上で、最適な企業をご紹介します。

そのため物流倉庫についての知識が全くなくても、マッチ度の高いパートナーさんと出会うことが可能です。希望する会社が決定すれば、最短1営業日で企業との商談のセッティングを行います。商談日や商談方法だけでなく、断りの依頼も全てコンシェルジュに任せることができるため、じっくり選定に時間をかけることが可能です。

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記者プロフィール

柏木まなみ

1994年生まれのフリーライター・編集者。ビジネス系のテーマを中心にインタビューしています。“働く人”のウラ側にあるストーリーや、商品に込められた担当者の思いを伝えていきたい。人生のBGMはサザンオールスターズです。

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