アライドアーキテクツがIKEUCHI ORGANICにおいてオンライン工場見学を支援し売上が向上 コロナ禍においてテクノロジーが新たな絆を創出

ECのミカタ編集部

アライドアーキテクツ株式会社は、同社のソリューションを用い、IKEUCHI ORGANIC株式会社において、新型コロナウイルスによる感染拡大によって実施が危ぶまれていた工場見学についてオンラインでの実施を実現した。

コロナ禍で危機に瀕した工場見学イベント

IKEUCHI ORGANIC株式会社(以下、イケウチオーガニック)は最大限の安全と最小限の環境負荷でテキスタイルをつくるトータルオーガニックテキスタイルカンパニーだ。1953年にタオルの街、愛媛県今治市に創業した同社は、60年の歳月をかけて生産する全製品がテキスタイルの安全性に関する世界基準「エコテックス規格100」の中で最も基準の厳しいクラス1をクリアし、"赤ちゃんが口に含んでも安全"というテキスタイルメーカーとなった。さらに、2073年までに"赤ちゃんが食べられるタオルを創る"という次の安全性基準を企業の行動指針として設定している。

そのイケウチオーガニックは、ブランド開始時から一貫して「製造過程における最大限の安全と最小限の環境負荷」を理念に物づくりをしている。その結果、同社の物づくりに共感した熱心なファンが徐々に増えていき、ファンとのダイレクトなコミュニケーションを大切にしてブランドを作っている。その一環として、2017年以来毎年1回実施しているのが、工場見学イベント「今治オープンハウス」だ。

このイベントはイケウチオーガニックのファンに今治に来てもらい、同社社員が工場見学や本社案内などを通じてファンをおもてなしするものとなっている。例年多くのファンが楽しみにしているイベントだが、今年は新型コロナウイルスの影響で従来と同じ形式で実施することは難しいだろうと考え、別の形で喜んでもらえる取り組みができないかと日々模索を続けていたという。

初のオンライン工場見学を実施

初のオンライン工場見学を実施

同社は、コロナ禍で店舗に来店しなくても接客ができるようにと、zoomを活用したオンライン接客ストア「zoomストア」を開始した。画面を通して店舗スタッフと会話をしながら商品を選ぶことで、まるで店舗で商品を購入するのと同じように買い物ができるこの取り組みは非常に好評で、zoomストアを通して商品を購入した顧客の口コミが新しい顧客を連れてきてくれるなど、オンラインのコミュニケーションの可能性を感じていたという。この取り組みから、今年の「今治オープンハウスはオンラインで実施するのもおもしろいのではないか」と考えるに至ったという。

一方、企業ブランドのファン創りを支援するアライドアーキテクツ株式会社では、コロナ禍の外出自粛によってブランドがファンとなかなか接点を持ちづらい状況で、オンラインでもファンの気持ちを高めるような施策ができないかと模索していたそうだ。そのような中、工場見学のライブ配信という施策に辿り着き、一緒に施策を行うにあたり真っ先に思い浮かんだのがイケウチオーガニックの「今治オープンハウス」だった。そのようにお互いに考えていたことが重なり、アライドアーキテクツ協力のもと、イケウチオーガニック初のオンライン工場見学が実施されることになったのだ。

同時視聴者数300名超

同時視聴者数300名超

オンライン工場見学では、通常一般公開していないイケウチオーガニック本社のタオル製造過程をオンライン上で公開、その場で質問も受け付け、同社の代表・社長が事前にTwitterで募集したファンからのおたよりを紹介するといったプログラムを企画した。イケウチオーガニックのFacebookページを活用したライブ配信を予定していたが、当日開始直前にFacebookのサーバートラブルが発生、YouTubeアカウントでのライブ配信に切り替えて実施された。申請手続き上、同社の公式YouTubeアカウントでライブ配信をすることができない中、コロナ禍においてイケウチオーガニックのファンが同社を応援するために自主的に作ったアカウント「イケウチ部」のYouTubeアカウントを借りることで配信を行うことができたという。

ライブ配信では「ただ一方的に伝えるのではなく、顧客とのコミュニケーションを楽しむことを大切にしたい」という両社の想いから、イケウチオーガニック社長と京都店店長がイベントの司会を務め、現地今治の工場にいる同社代表と中継を繋ぎながら工場内の様子を伝えることで、臨場感あふれる配信となった。また、ビデオカメラではなくあえてiPhoneで配信することで、視聴しているファン自身がまるで工場に潜り込んでいるかのような雰囲気で参加することができ、ファンからたくさんのコメントが寄せられた。

その結果、オンライン工場見学では同時視聴者数が300名を超え、90分間の配信の中で離脱した方はほとんどいなかったという。また、Facebookページの新規ファン数は前後28日間と比較すると590%伸び、今回のイベントに関連する口コミもリアルイベントでの口コミ数と比較すると4倍ほど多くなった。イベント後に行ったアンケートでは、回答者の36%がイベント後に商品を購入、47%が商品の購入を検討中と回答した。さらに売上面においては、一概にオンライン工場見学だけの効果と考えることは難しいものの、通常の日に比べ大幅に向上。今まで出会うことができなかった10~30代の若い世代の新規ファンの獲得にもつながった。

ファンと作るブランド『イケウチオーガニック』

イケウチオーガニックの担当者からは、次のようなコメントが出されている。

代表 池内計司氏、代表取締役社長 阿部哲也氏、営業部部長 牟田口武志氏

「今後もオンラインイベントはぜひやりたいと考えています。新製品についての背景を説明する会やライブコマースなど、さまざまなオンラインイベントを通じて買い物を楽しんでいただくことで、マーケットを大きく広げられる可能性があると感じており、オンラインには地域や年代を取っ払ってくれる、世界中のお客様が見てくださる良さがあると思います。最終的には原材料の産地であるタンザニアとインドにつないでやることにもチャレンジしてみたいし、英語対応にして、世界のファンに向けたオンラインイベントもやってみたいです。

でも最終的に核となるのはリアルなのかな、と。リアルの良さは実際に物を触っていただけることで、オンラインはどうしてもここは近づけることはできません。『オンラインで知っていただき、リアルに来る』『リアルで体験したからオンラインに行く』どちらがいいというわけではなくて、どちらもうまく活用していきたいと考えています。

ファンは一番厳しい目で見てくれている人。今までリアルでファンの方に向けて商品の説明会をやり続けていますが、その中でまだ開発中の商品をお見せしてご意見をいただくこともあります。その時に、ファンの方がどんな目の輝きを見せてくださるのかを、自分がやっていることが良いのか悪いのかの判断にしています。物づくりの人間はどうしても独断になりがちですが、ファンの皆さんの目を見て物を創っていけば間違いないと思っています。

また、お客様はBtoCだけと思われがちですが、BtoBの取引先も大切なお客様です。ですので、BtoBの取引先とも『ファン』の関係性を作っていきたい。BtoC、BtoB関係なく、イケウチオーガニックを好きになってくれるお客様と本音を言い合い、お互いにどうあるべきかを議論し合ってブランドを作り上げていきたい。「私たちだけでイケウチオーガニックというブランドはできていない」心からそのように思っています」

またアライドアーキテクツ社では、次のように述べている。

「このたびの施策におけるイケウチオーガニックのファンや事業への向き合い方から、ブランドは大きな枠組み(大義・パーパス)のもと、ファンと共に創っていくものであり、だからこそお客様やパートナー企業、社員との関係性が大切であると認識することができ、オンラインでのイベントはその関係性を築く一つの有効な手段であるということが明らかになりました。

企業ブランドのファン創りでは、オンラインとリアル両方のコミュニケーションの掛け合わせによってファンの気持ちを高めることが重要です。その気持ちの高まりによって口コミが生まれ、新たなファンが増え、企業の売上に繋がっていきます。このたびのオンライン工場見学では、ファン創り施策がもたらす企業ブランドとファンの理想形を体現することができました」

新型コロナウイルスによる感染拡大によって、企業やブランドと顧客とのリアルでの接点が絶たれる局面が多くみられるが、逆にITを使って新たな絆が生まれつつある。今回もアライドアーキテクツのソリューションと顧客企業の想いが重なって実績につながったようだ。オンラインが主戦場のECビジネスにおいても、事業体と顧客とのコミュニケーションを深化させ、信頼関係を醸成する上で大いに示唆がありそうだ。

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