[博報堂調査]2020年9月の消費予報が公表される

ECのミカタ編集部

株式会社博報堂(本社·東京)のシンクタンク博報堂生活総合研究所は、20~69歳の男女1,500名を対象に「来月の消費意欲」を点数化してもらうなど、消費の先行きに関する調査を毎月実施。その結果を「来月の消費予報」として公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

生活総研が、生活者の気持ちの変化を読み解くために、生活に関する意識を指数(100点満点評価)で回答してもらうもの。

[調査地域]
1.首都40km圏、2.名古屋40km圏、3.阪神30km圏

[調査対象者]
20~69歳の男女

[対象者割付]
調査地域1~3の各500人を各地域の人口構成比(性年代)に合わせ割付

[サンプル数]
合計1,500人
[調査方法]
インターネット調査

[調査時期]
2020年8月3日(月)~6日(木)(2012年4月から調査開始/毎月上旬に実査)

[調査機関]
株式会社 H.M.マーケティングリサーチ

Point1:長引くコロナ禍で、消費意欲の低下が続く

Point1:長引くコロナ禍で、消費意欲の低下が続く

9月の消費意欲指数は前月比-2.8ptで、8月に引き続き低下している。また、前年9月の消費意欲指数は、消費税増税直前で高い指数であったため、前年比でみても-3.0ptの落ち込みとなった。

消費意欲指数の理由(自由回答)をみると、コロナ禍に関連した回答のうち、消費にポジティブな回答は前月から47件減少(20年8月104件→20年9月57件)(以下、西暦略)する一方、消費にネガティブな回答は56件増加(8月320件→9月376件)している。

詳しく内訳をみると、消費にポジティブな回答では「自粛の反動で外出・買物がしたい/我慢していた消費をしたい」(8月54件→9月27件)、「ボーナスや給付金などで金銭的な余裕がある」(8月57件→9月11件)などの減少が目立っている。

一方、消費にネガティブな回答では「コロナが怖いので出かけたくない/意欲がわかない(8月77件→9月100件)、「コロナで外出・買物ができない」(8月127件→9月167件)などが増加しており、長期化するコロナ禍で、消費意欲の低下が続いている。

Point2:多くのカテゴリーで消費意向が減退傾向

Point2:多くのカテゴリーで消費意向が減退傾向

特に買いたいモノ・利用したいサービスがある人の割合は22.1%で、前月比-3.8pt、前年比-5.0ptとなっており、消費意欲指数と同様に、前月比・前年比ともに低下している。

内訳をみると、前年と比べて20件以上減少しているのは16カテゴリー中9カテゴリーで、そのなかでも「外食」「レジャー」「旅行」「ファッション」など、外出に関連したカテゴリーが減少しているのが今年の特徴だ。また、これらのカテゴリーは前月比でみても大幅に減少しており、シルバーウィークがある9月だが、「外」の消費への意欲は伸び悩みそうだ。

消費意欲指数の理由

また同レポートでは、消費意欲指数の理由についても取り上げられている(抜粋)。

◆生活者の声 ~消費意欲指数の理由~【コロナ禍に関連する消費にネガティブな回答】

・お金がないし、コロナの影響で出歩けないので(5点・男性22歳・愛知県)

・緊急事態宣言が出て以降、物を買う機会が減り、人生で初めて貯金ができたことで、物欲より貯金欲が高まっているため(20点・男性30歳・埼玉県)

・旅行の予定も延期、今の新型コロナの感染状況を考えると自粛。もう少し落ち着くまでは消費意欲も抑えることが一番かと思う(20点・男性49歳・大阪府)

・コロナウイルスがこれからどのくらい生活に影響を及ぼすかわからない(20点・男性51歳・岐阜県)

・コロナ禍で外に出るのもはばかられるし、しいて欲しいものがないので(30点・男性67歳・東京都)

・コロナの影響で外に行ってなにか買いたいとは思わないし、オンラインで洋服なども買いたいが着る機会がなさそうなので (10点・女性22歳・千葉県)

・外出や旅行の予定がないので、生活必需品以外購入予定がない。セールになっても、衣料品は必要ないと考えている(30点・女性31歳・愛知県)

・主人の仕事が軌道に乗らず、家計が厳しい。気晴らしに遊びに行きたいけど、コロナのことがあり、出かける気にならない(20点・女性48歳・東京都)

・またコロナが騒ぎだしているので、出費も自粛したい(30点・女性56歳・大阪府)

・コロナ関係で、外出するのも怖く、必要最低限の商品だけで、生活していきたいと思っているので(30点・女性69歳・大阪府)

◆生活者の声 ~消費意欲指数の理由~【コロナ禍に関連する消費にポジティブな回答】

・ GoToキャンペーンも始まり旅行等の計画もあるため(70点・男性28歳・愛知県)

・少しコロナから解放された(80点・男性33歳・東京都)

・自粛でなにも買ってないから(80点・男性44歳・愛知県)

・給付金が入ったから(80点・男性50歳・大阪府)

・コロナも収束傾向にあるだろうから、それまで控えていた消費を行う(90点・男性63歳・神奈川県)

・旅行に行けない期間が長すぎて、輸入品店などでの消費が徐々に増えているから(70点・女性24歳・愛知県)

・ちょうど産後でベビー用品を買う予定があるので。コロナで半年ほど消費が減っていたので、反動が大きいと思います(100点・女性30歳・東京都)

・コロナの第2波の影響で自粛する機会が増えそうなので、ストレスが溜まって消費意欲が増しそうな気がする(70点・女性42歳・愛知県)

・コロナの影響でなかなかショッピングが出来ていなかったため(98点・女性52歳・大阪府)

・このような世の中なので贅沢は慎みたいが、外食産業が大変そうなので助けてあげたい(70点・女性62歳・埼玉県)


こうした声にあるように、緊急事態宣言後、一旦は国内感染者数の日毎の総数も落ち着いていたものが、再び感染者が増加し、各方面から「感染第2波」とも指摘される状況の中で、いましばらくは、消費意欲が盛り上がらない状況が続きそうだ。一方で、「巣ごもり消費」も長期的に継続されることも推察でき、また、消費そのものにポジティブな意見もあることから、EC市場としても状況を注視しながら、引き続き施策を展開する必要があそうだ。

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