中国人口の72%を占める「下沈(かしん)市場」の消費動向とは?

ECのミカタ編集部

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、中国の都市市場および3級都市以下の都市及び農村である下沈(かしん)市場在住の男女600人を対象にアンケート調査を実施し、都市市場/下沈市場在住者それぞれの特徴と購買実態を比較分析した結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査・分析概要

インターネットリサーチにて、2020年11月17日~2020年11月31日にアンケート調査を実施。対象は中国の都市市場/下沈市場在住者。購買実態に関しては直近2年以内に家電を購入したことがある人を調査(回答者600人・居住エリアで均等割付)。

◆下沈(かしん)市場とは

下沈市場は中国の3級都市以下の都市及び農村のことを指す。“下沈市場”や“都市等級”は経済専門誌やマーケティング会社により独自に規定されている。人口母数が大きく、消費能力の向上、及びインフラ投資拡大などの理由で注目を浴びている。都市市場人口が約3.90億人なのに対し、下沈市場人口は約10.04億人で中国の人口の72%を占めている※。
※ 出典:中国国家統計局2018年人口普査(Census)

「毎月自由に使える金額」の差はわずか

まず、都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴を比較している。都市市場在住者は下沈市場在住者に比べ既婚者の割合がやや高くなった。また都市市場在住者は大学院以上の学歴を持っている人が1割強いるようだ。

年収についてもみてみると、個人月収が1万元以上の層では、下沈市場在住者が25%に対して、都市市場在住者は40%となっていた。世帯月収に関しては、37%の都市市場在住者が2万元を超えていたが、下沈市場在住者は2割にとどまった。下沈市場在住者の平均世帯月収は約6,000元(約9,5000円)も都市市場在住者より低くなったなか、“毎月自由に使える金額”の差は僅か700元(約11,000円)と、大きな差は見られなかった。

次に、サイトやSNSなどの利用媒体を比較した。両市場在住者いずれも「Wechat」の利用が最も多く、毎日利用する人が8割以上となった。下沈市場在住者では都市市場在住者と比べて「TikTok」や「Kuaishou」といったショートムービーアプリを毎日利用している人が多くなっていた。また、共同購入のシステムを持つソーシャルECの「Pinduoduo」も下沈市場在住者の方が都市市場在住者よりも利用が多くなっていた。

“周囲に左右されず”“欲しい物にお金をかける”傾向

都市市場在住者と下沈市場在住者に、ライフスタイルと金銭意識を聞いている。ライフスタイルでは、両市場在住者ともに「背伸びはせず自分に合ったものを使う」が1位だった。しかし、下沈市場在住者の2位と3位に入った「自分の趣味や生き方を大事にする」と「周囲環境に左右されず自分独自の信念を貫くことが多い」は、都市市場在住者より6ポイントも高くなった。

次に、金銭意識についてだ。両市場在住者ともに「計画を立ててお金を使う」が1位となる一方で、下沈市場在住者の2位は「趣味やほしいものにお金を惜しまない」となっており、都市市場在住者より6ポイントも高い結果となった。

訪日旅行希望先は「東京」と「北海道」で各市場割れる

都市市場在住者と下沈市場在住者に、コロナ禍収束後の旅行意向を聞いている。両市場在住者ともに行きたい海外旅行先1位が「日本」となるなか、日本のどの都市に行きたいか聞くと、ベスト3の顔ぶれは変わらないものの、都市市場在住者は「東京」が1位、下沈市場在住者は「北海道」が1位となった。

市場別に家電購入者特徴を比較

次に、それぞれの市場在住者の中で家電を購入した方の特徴をみている。世帯月収に開きはあったが性年代別と特徴はあまり変わらなかった。しかし購入商品を比較してみると、中国ブランドの割合が最も高いながら、都市市場在住者は日本産のもの、下沈市場在住者は韓国産のものを好む傾向にあることが分かった。

情報収集媒体では、両市場ともECサイト・アプリの利用が最もポイントが高くなっていたが、家電購入者全体と比べると、下沈市場在住者は商品専門店などオフラインでも情報収集する傾向にあった。

商品を購入する際の重視点を聞くと、両市場で「安全性」が最も重視されていた。しかし2位は都市市場在住者では「メーカー、ブランド」、下沈市場在住者では「耐久性」を選んでいた。また家電の購入チャネルでは、都市市場在住者はJingdongやSuningなどで購入する方が多く、下沈市場在住者ではアリババ系(T-mall/TAOBAO)での購入が多くなっていた。

まとめ

調査結果にあるように、平均世帯月収は約6,000元と開きがあるも、“毎月自由に使える金額”の差は僅か700元であった。また訪日旅行希望先は都市市場在住者が「東京」、下沈市場在住者は「北海道」を1位となり、都市市場在住者は日本産ブランド家電、下沈市場在住者は韓国産ブランド家電を好む傾向が見てとれた。

人口割合でいっても実に中国全体の7割以上を占める下沈市場。その最新消費動向が明らかとなった。平均所得の高い大都市部と比べても、毎月自由に使える金額に大差ないというのは非常に興味深い。対中国での越境EC展開を考える上でも、得難い情報と言えるのではないだろうか。

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