オンワードが産学連携 ファッション業界に求められる“デジタル力をもった人材”を育む単位認定授業が開講
株式会社オンワードホールディングス(本社:東京都中央区 代表取締役社長:保元 道宣)は、2021年4月より、国際ファッション専門職大学(東京・大阪・名古屋キャンパス 学長:近藤 誠一)と産学連携で、今後のデジタル社会に対応したプロフェッショナル人材を育成し、産業界へ送り出すことを目的とした『ONWARD みらい人財プロジェクト』を開始することを公表した。
4月16日(金)より開講
同プロジェクトでは、国際ファッション専門職大学の単位認定授業として「ライフスタイル全般の新規事業」や「EC サイトなどの新しいインフラ」を考案する授業を4月16日(金)より開講し、デジタル思考をもち、グローバルに活躍できるアパレル人材としての成長機会を提供するとしている。
国際ファッション専門職大学とは、55年ぶりに国がつくった新しい大学制度である「専門職大学」として2019年4月に開学した、「ファッション」「ビジネス」の専門職大学だ。これからのファッションと、そのビジネスを見据えて、世界トップブランドや企業との教育連携から、日本が世界に誇る繊維産地との連携まで、今までの教育機関にはない職業に直結した教育環境で、卒業時には国際通用性のある学位として国が認めた専門職の「学士」を取得することができる。
プロジェクト概要
プロジェクトでは、4ヶ月間のオンワードベンチャーアワード(ONWARD VENTURE AWARD)と、オンワードビジネスインターンシップ(ONWARD BUSINESS INTERNSHIP)の2つのプログラムから構成される。
【Ⅰ期:オンワードベンチャーアワード(ONWARD VENTURE AWARD)】
同社グループのデジタル戦略を担う株式会社オンワードデジタルラボが抱える実際の課題に学生チームで取り組み、企画提案を行う、高度な課題解決型授業だ。学科の枠を超えて1チーム6~7名の編成を行い、同社の担当者からフィードバックを受けながら企画・立案作業を進めていく。そして企画書をもとに、全19チームの中から7チームを選出し、プレゼンにより優秀チームが表彰される。表彰された企画案を当社グループ企業において実際に採用することも計画されている(期間:2021年4月~7月、学生約120名が受講予定)。
【Ⅱ期:オンワードビジネスインターンシップ(ONWARD BUSINESS INTERNSHIP)】
プロジェクトにおけるインターンシップは、従来型の企業側主導のものとは異なり、大学側主導で企業におけるプログラムを作成し、運営が行われる。配属先は、同社グループ企業の「デジタルマーケティング」「ECブランド開発・コミュニケーション開発」「D2C カスタマイズビジネス」の各部門を予定。このプログラムを終了すると学生は所定の単位を取得可能だ。Ⅰ期(前期)に企業の課題を深く考える経験を経てからインターンに参加することで、従来のインターンシップに比べより充実した社会経験を積むことができる(期間:2021年10月~2022年1月、選考された学生10数名が参加予定)。
欠かすことのできない“デジタル力”を育む
各キーパーソンからは次のようなコメントが出されている。
国際ファッション専門職大学 学長 近藤 誠一氏(元文化庁長官)
“今、ファッション・ビジネス業界は、世界展開やテクノロジーとの融合、地球環境に優しいビジネスなど多くの課題を抱えています。それは、国際ファッション専門職大学の学びに期待が集まる理由でもあります。教育・研究のプロがいて、業界のエキスパートがいる。知識を得て、考え方を知り、主体的に動ける環境がある。インターンシップを行い、海外へ渡り、最前線を肌で感じるチャンスが広がっている。積極的なフィールドワークで、問題意識を深めることができる。本プロジェクトを通し、社会の課題を解決できる人材を育てていきたいと考えています”
国際ファッション専門職大学 学部長 教授 永澤 陽一氏
“本プロジェクトは、「企業側と学生が同じ土俵にいる」という点が肝要で、経験者のもつスキルと、初心者のもつフレッシュなアイディアを相乗し、新しいビジネスモデルに積み上げていくというコンセプトです。デジタル化の普及は目まぐるしく、そのスピードは日々加速し、ファッション業界も変化を余儀なくされております。我々は、これまでの産学連携のスタイルから、ポスト・デジタル時代にフィットするホラクラシー型の新たなプラットフォーム形成を目指します”
株式会社オンワードホールディングス代表取締役社長 保元 道宣氏
“ファッション業界の人財開発に向けて、国際ファッション専門職大学と産学連携を行います。ビジネスを取り巻く環境は、ここ数年でオンラインとオフラインが融合する状況へと大きく変化しています。そういった社会に対応するためにはデジタルの資質は欠かすことはできません。また、当社の基幹ブランドは平成初期にスタートしましたが、当時中心となって活躍したのは 20~30 代の若手人財でした。洋服のみならずライフスタイル全般を領域とするファッション業界の中で、若手人財が即戦力となるための新しい教育スタイルを作っていきたいと考えています”
同社はまた、経済産業省が2019年4月に公表した「IT 人材需給に関する調査」を引用し、IT需要が今後拡大する一方で、国内の労働人口は減少が見込まれ、IT人材の需要と供給の差は、需要が供給を上回り、2030年には、最大で約45万人に拡大する可能性があると試算しているとしている。
アパレル業界においても、新たな先端技術へ対応し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくことができる人材の育成が急務であり、デジタル思考を持ち、グローバルに活躍できるプロフェッショナル人材を育成することを目的に同プロジェクトの開始に至ったのだ。ますます高まるアパレルそしてECにおけるデジタル力を持った人材が送り出されることに期待したい。