インド小売大手フューチャー・グループ 米アマゾンとインド国内事業提携へ

現地小売業者との提携によりインド市場拡大目指す

米アマゾンはインド小売り大手のフューチャーグループと、インド国内での事業提携を行うことを明らかにした。アマゾンのインターネット通販でまずは衣料品販売を行い、その後供給する商品の品揃えを強化していく見通し。フューチャーグループはインドでスーパーマーケットや衣料ブランドなど幅広く展開している企業だ。

一方、インドでのアマゾンとライバル関係にある地元企業のスナップディールはソフトバンクなど既存株主からの資金調達を準備していると、関係筋が明らかにしている。見通し金額は6億~6億5,000万ドルほどとみられ、来週にも具体的に発表がされるという。インドEC市場の資金調達では、最大手のフリップカート・インターネットによる10億ドルに次ぐ規模での調達となるものの、スナップディールとソフトバンクはコメントを拒否している。

インドでは、複数のブランドの商品を扱う小売業者の過半数株式を外国資本が取得することが禁止されているため、世界的なモンスターEC企業のAmazonも本格参戦には障壁が高い。9月にも、インド当局による米アマゾンが、外国小売業者による消費者への直接販売を禁止する規制に抵触した可能性があるとして調査が入ったという報道がロイターよりあった。Amazon現地法人が別会社を通して商品を販売したと見せかけ、消費者に直接販売した疑いがあるとされている。
法律の縛りによる参入障壁の高さと、強力な現地競合企業という2大ネックにより、2020年までに200億ドルに達する見通し(PwC社とASSOCHAMによる共同調査数値)とされているインドEC市場へ本格的に食い込むことがなかなかできないという状況が続いていた。

そのような背景があり、インド国内で本格展開するためには現地企業との事業提携がどうしても必要だったのだろう。今回の提携で、巨大なインドEC市場をめぐり地元ライバル企業との競合戦線がよりいっそう激化していくことが予測される。

しのぎを削り合う現地ライバル企業と世界のAmazon

フリップカート・インターネットに次ぐ大規模な資金調達が明らかとなったスナップディールなど、国内外の投資家が強い関心を寄せる強力なEC企業が点在するインド市場において、今後Amazonはどのような展開をみせていくのであろうか。自由競争の元、力技で競合をねじ伏せるやり口で各国より反発を買い「アンチアマゾン運動」なる動きもまことしやかに広まりつつある中で、インド国内での事業拡大の仕方に多少ナイーブな一面を見せた印象がある。フランスで送料無料を禁じられ、ほぼ無料の0.01ユーロに設定するなど強気なそぶりをみせていた対応と同じく、過半数株式取得を禁じられた今回も抜け道的な強気な手段で対応するかと思いきや、正当な手段での対応を進めたことからもそれが伺える。それだけ現地ライバル企業が強力であるということなのであろうか。今後の現地ライバルVS Amazonの図式がどう動いていくのか、続報に期待が高まる。