ユーザー調査とは。調査時に意識することや調査方法の種類と手法、役立てる際の注意点

ECのミカタ編集部

ユーザー調査とは。調査時に意識することや調査方法の種類と手法、役立てる際の注意点

「ユーザー調査」とは、マーケティング施策を検討する上で顧客のニーズを把握したいときに用いられる方法だ。EC運営を進めていく際、ユーザー調査を実施したいと考える一方で、どのような手法を取り入れるべきか悩む担当者もいるのではないだろうか。

今回は、ユーザー調査の概要と目的、ユーザー調査の種類や手法の使い分けのポイントについて紹介する。ユーザー調査を役立てるための注意点にも触れるため、取り入れる際の参考にしてもらいたい。

目次

●ユーザー調査とは。その目的は?
●ユーザー調査の種類
●ユーザー調査の手法と使い分けのポイント
●ユーザー調査を役立てるための注意点
●まとめ

ユーザー調査とは。その目的は?

価値観やライフスタイルの多様化により、顧客のニーズを理解するために注目されているのが「ユーザー調査」だ。まずは、ユーザー調査の概要とその目的について確認しておこう。

ユーザー調査とは


「ユーザー調査」とは、新サービスの開発、既存サービスの機能追加・改善に向けて、ユーザーが何を求めているのか知るための手段だ。消費者の心理や行動を理解を深めることにつながるため、UXデザインを創出するために重要な役割を担う。

そもそも「UXデザイン」とは、ユーザーのニーズに寄り添った顧客体験を設計すること。ものづくりの段階から、商品やサービスを使った経験や体験がユーザーにとって理想的な形であるようデザインすることを指す。モノがあふれている近年、機能や価格だけでは差別化ができず、消費者は商品やサービスを通して得られる「体験」を重視するようになってきた。そのような中、より最適な「UXデザイン」を構築していくために実施するのが「ユーザー調査」だ。

ユーザー調査を取り入れる目的・メリット


ユーザー調査を取り入れる目的やメリットは以下の2つ。

まず1つ目は、「ユーザーの反応を確認し、サービスの見直しができる」ことだ。ユーザー調査によって、現在のサービスがどのように受け止められているのかを確認できる。その結果を踏まえて、ニーズに合わせた新機能や使い方の変更が可能となるだろう。

2つ目は「隠れたニーズを見つけ、イメージアップにつながる」ことが挙げられる。ユーザー調査の手法によっては、新たなニーズを見出す効果も期待できる。運営側が予想しなかったような問題点が分かることで、隠れたニーズに的確にアプローチすることが可能となる。これにより、既存ユーザーのサイトへの愛着が高まることも期待できるだろう。また、ユーザーのUXデザインを意識した行動は、企業にとってのイメージアップにもつながり、新規ユーザー獲得にも貢献するはずだ。

なお、ユーザー調査の目的を果たすためには、適切な人を対象にして調査を実施することが重要だ。調査対象者の条件は慎重に検討する必要があることを覚えておきたい。


ユーザー調査の種類

調査方法の種類は、必要なデータの性質によって「量的調査」と「質的調査」に分けられる。また、収集を行うデータの目的に応じて「検証的調査」と「探索的調査」に分けられる。4つの調査方法について、詳しく見ていこう。

量的(定量的)調査


量的(定量的)調査とは、人数や割合、傾向値などの明確な「数値や量」を収集し分析するときに用いる調査方法だ。代表的な手法はアンケート調査となり、集計結果を分析することで、集団の全体像や傾向が把握可能となる。

質的(定性的)調査


質的(定性的)調査は、個人の発言や行動など「数や割合では表せないようなデータ」を収集し、分類を行う調査方法となる。代表的な手法は、インタビューや観察法など。数値化できない価値観や心理描写といった、ユーザーの声や体験に関する洞察につながる。

さらに、調査の目的に応じた2つの種類に分類ができる。

検証的調査


検証的調査とは、いくつかの仮説や実施済みの施策について「評価や検証すること」を目的とした調査方法だ。顕在化したユーザーニーズの確認をするために行われるため、事前に定義した質問と選択肢から回答をしてもらうのが一般的。代表的な手法として、アンケートやA/Bテストなどがある。

探索的調査


探索的調査とは、ユーザー自身も気づいていない「潜在的な需要」や「要望」を発見するための調査方法となる。ユーザーニーズを探るため、インタビューや行動調査といった手法が用いられる。


ユーザー調査の手法と使い分けのポイント

ユーザー調査を行う際は、目的や必要なデータに合わせて、ユーザー調査の手法を選択することが重要だ。ユーザー調査の代表的な手法と、使い分けのポイントを確認していこう。

アンケート


アンケートとは、特性の属性をもつユーザーに対して、一定の仮説のもと質問や選択肢に回答してもらい、得られたデータにより集計を行う手法だ。多くのデータを回収するために、短時間で簡潔に回答できるボリュームにするなど、回答率を最大化するなどの工夫を行えると良いだろう。

A/Bテスト


A/Bテストとは、AとBの2つのケースに対するユーザーの反応を調査し、比較する手法のこと。例えば、Webサイトのデザインやレイアウト、キャッチコピーなどにおいて、2つのパターンを作り、クリック率などどちらが優位となるか計るものとなる。このとき、検証したい項目以外は同じ条件にしておく必要がある。

アクセスログ解析


アクセスログ解析は、サイトへのアクセス状況やログ情報による数値からユーザーの行動を分析する手法だ。アクセスが増える曜日や時間帯、回遊率などがわかるため、ブログの公開日時や内部リンクなどの設計がしやすくなる。

なお、ユーザーに実際にサイトやアプリなどを利用してもらい、アクセスの際に感じる具体的な問題点を探る「ユーザビリティテスト」というユーザー調査手法もある。

インタビュー


アンケートなどの量的調査では捉えきれないユーザーニーズを把握したい場合には、インタビューの調査方法も有効だ。インタビューには、「フォーカス・グループ・インタビュー」と「ユーザーインタビュー」の2種類がある。

フォーカス・グループ・インタビューとは、座談会形式のインタビューだ。具体的なユーザーのニーズや消費行動に対する理解を深めることが目的の形式である。そのため、調査目的に応じた性別や年代、ライフスタイルなどで分け少人数のグループを形成して行われる。商品やサービスの直接評価を確認する場以外にも、ターゲットとなるユーザー層の生活習慣や価値観の把握につながるケースもあるだろう。

ユーザーインタビューは、被験者と1対1形式のインタビュー手法だ。デプスインタビューと呼ばれることもある。大人数では話しにくいような、考え方や背景といった特定のテーマについて個人属性を深堀したいときに用いられる。

上記で紹介した手法を、目的やデータの性質に応じてまとめると以下のような図となる。ユーザー調査を行う目的や必要なデータと照らし合わせ、必要な手法を検討してほしい。

 

ユーザー調査を役立てるための注意点

ユーザー調査は、的確にデータが集まることで価値のある調査となる。ユーザー調査を役立てるための注意点を確認しておこう。

調査目的を明確にする


ユーザー調査を行い、成果をあげるためには調査の目的を明確にすることが必要だ。例えば、ユーザーが抱える課題やニーズを突き止め、サービスや商品につながるアイデアを獲得したいのか。それとも、ユーザーの抱える課題やニーズについての仮説が立てられており、その仮説を検証したいのか。

目的に応じて調査方法も異なる。調査をして明らかにしたいことを整理するためにも、事前の「仮説の棚卸し」を行うことが重要と言える。

柔軟性をもってユーザーに対応する


ユーザーとセッションするような調査においては、柔軟性をもってユーザーに対応しよう。インタビュアーは、自分の姿や振る舞いが相手にどのように映っているか意識し、ユーザーへの敬意を忘れないようにしたい。ユーザーの話に耳を傾け、臨機応変に質問を変化していくことで、より深堀りした内容を調査できるだろう。

認知のバイアスに気をつける


調査後は、認知のバイアスに気をつけ、複数人で確認し認識の偏りが生まれないように気をつけてもらいたい。認知バイアスとは、自分の持ってる知識を中心に判断してしまったり、自分が持ってる仮説を後押ししてくれるようなデータを優先的に探してしまったりすること。得られたデータを、さまざまな角度から可視化することで、新たな発見ができるだろう。


まとめ 

新規事業の立ち上げや既存事業の見直しといったときに、消費者のニーズ理解を深める「ユーザー調査」。調査の目的や収集するべきデータにあわせて、手法を使い分けたり、組み合わせたりすることが重要だ。的確なユーザー調査の手法を用いて、ユーザーニーズに沿ったサービスや商品の創出を目指していってもらいたい。

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