Web EDI とは?従来のEDIとの違いや注目される背景、メリット
企業間の電子商取引をインターネット上で完結する、「Web EDI」。担当者としては、「電話やFAXからの受注業務をWeb受注に切り替えたい」「Web EDIを活用して業務の効率化を図りたい」と考えることもあるのではないだろうか。
今回は、従来のEDIとの違いやWeb EDIが注目される背景、メリットなどを紹介する。導入する際の注意点も解説しているので、参考にしてほしい。
目次
●Web EDIとは
●Web EDIが注目される背景
●Web EDIのメリット
●Web EDIを導入する際の注意点
●まとめ
Web EDIとは
Web EDIとは、企業間電子商取引(BtoB EC)を実現するために、インターネットを介して各種取引データをやり取りするシステムのことだ。まずは、従来のEDIとの違いや、特徴を見ていこう。
従来のEDIとの違い
EDIとは、「Electronic Data Interchange」の頭文字をとったもので、日本語では「電子データ交換」と訳される。契約書や受発注業務で発生する文書など、企業間の商取引データを、データ回線を通じてやり取りする仕組みのことだ。Web EDIと異なる点は、通信回線だ。従来のEDIは電話回線やISDN回線を使用していたが、Web EDIではインターネット回線とWebサーバーを利用するという違いがある。
Web EDIの特徴
Web EDIでは、企業間の電子商取引をインターネットを活用して自動化できる。クラウドベースで提供されるシステムのため、パソコンを交換する度に専用ソフトをインストールする必要がなく、システムのアップデートなども提供するサービス会社が行い、導入までの作業工数が少ないことが特徴だ。
Web EDIが注目される背景
次に、近年Web EDIが注目される背景をおさえよう。
コストの増加
EDIは電話回線を使用したりパソコンに専用のソフトをインストールしたりする必要があり、サーバの他、通信設備や業務システム、通信費などに多くのコストがかかっていた。また、通信速度が遅く、画像を送ることができないという課題もあった。Web EDIはインターネット回線があれば取引が可能になるため、運用のコスト面や設備面で注目されている。
EDIの2024年問題
従来のEDIでは電話回線やISDN回線を利用していたが、固定電話網からIP網への移行に伴い、ISDNサービスは2024年に終了する(EDIの2024年問題)。2024年以降はこれまで使用していた機能に不具合が生じる可能性があるため、システム全体を見直し、Web WDIへ切り替える企業が増加している。
Web EDIのメリット
Web EDIを導入することで、自社にはどのような効果があるのだろうか。ここでは、Web EDIのメリットを紹介する。
導入が容易
Web EDIはクラウド型が基本となるため、従来のEDIのように互換性やパソコンの規格などを気にする必要がない。パソコンに専用のシステムをインストールするが必要なく、取引に必要な業務をブラウザ上で実行できるため、スモールスタートもしやすいと言える。
コストの削減
専用のシステムを構築する必要がなく、インターネット回線を使用することで通信コストを抑えられることもWeb EDIのメリットだ。また、これまで注文書や請求書のやり取りを会ベースで行っていた企業では、ペーパーレス化が実現できる。導入までの期間も短いため、Web EDIへの切り換えは、トータル的なコストの削減が見込めると言えるだろう。
回線速度の向上
一般の電話回線を利用する従来のEDIでは、処理に大幅な時間を要することが課題視されていた。Web EDIはインターネット回線を使用するため、通信速度が向上し受発注処理のスピードアップが実現する。スピード感をもって商取引を行えることは自社のアピールポイントになるため、新規顧客の開拓もしやすくなるだろう。
高度なセキュリティ
暗号化技術の発達により、インターネット回線が非常にセキュリティの高いものになっていることも重要なポイントだ。企業間商取引では機密性の高い情報を交換するため、セキュアな環境で行われるやり取りは企業の信頼性の確保にもつながるだろう。
Web EDIを導入する際の注意点
最後に、Web EDIを導入する際の注意点を紹介する。
Web EDIの通信プロトコル
Web EDIは標準化されていないため、通信プロトコルを設定する必要がある。通信プロトコルとは「規約・約款」のことで、仕様が異なる場合には商取引の電子化を行うことができない。
Web EDIの主な通信プロトコルは以下の通りだ。
・EDIINT AS2
・OFTP2
・JX手順
・SFTP
・ebXML MS
特定業界向けの仕様もあるため、自社のWeb EDIは複数の通信プロトコルをサポートされているものを選択するとよいだろう。
費用対効果
Web EDIを活用してBtoB-ECに新規参入するのであれば、取引量や初期費用、運用・保守費用に鑑みて、費用対効果の高いものを検討するとよい。機能面や操作性、サポート体制なども含めて、複数のサービスから比較・検討をするようにしよう。
まとめ
Web EDIは企業間の商取引業務を効率化できるシステムで、低コストでスピーディーな運用ができることがメリットだ。一方で、システムが標準化されていないという懸念点もあるため、自社や取引先の状況、今後の経営展望などによって、他システムとの連携も視野に入れながら検討しよう。