【2022年最新】アパレルECの市場規模。拡大の背景やサイトの種類、課題と今後の変化予測を解説

ECのミカタ編集部

アパレルECの市場規模。拡大の背景やサイトの種類、課題と今後の変化予測を解説

アパレルECの市場規模は、年々拡大しており注目されている業界のひとつだ。自社のマーケティング施策や販路拡大を検討する際、市場の動きやアパレルECの変化に知見を広げておくことは重要と言えるだろう。今回は、アパレルECの市場規模とEC化率、拡大の背景やサイトの種類を紹介していく。最後に、アパレルECの課題や変化を紹介するため、アパレル分野でのEC化を進めていく際の参考にしてほしい。

目次

●アパレルECの市場規模とEC化率
●アパレルECの市場規模が拡大する背景
●分類別アパレルECサイトの種類と特徴
●アパレルECの課題と解決策
●コロナ禍におけるアパレルECの変化
●まとめ

アパレルECの市場規模とEC化率

まずは、「アパレル業界の市場規模」と「ECアパレルの市場規模」について詳しく確認していこう。具体的な推移について、経済産業省が発表した資料をもとに説明していく。

国内のアパレル供給量と市場規模の推移


経済産業省が、2020年1月に発表した『繊維産業の現状と経済産業省の取組』の資料によると、国内のアパレル供給量は年々増加傾向にある一方で、年間取引の総額にあたる国内市場は、減少の一途を辿っていることが把握できる。要因として、少子高齢化や経済の悪化などが考えられ、国内のアパレル市場は決して好調とは言えない状況が続いているのだ。

参考:経済産業省『繊維産業の現状と経済産業省の取組』

アパレルECにおける市場規模とEC化率


次に、アパレルECの市場規模とEC化率を確認していこう。経済産業省が2022年8月に発表した『電子商取引に関する市場調査の結果』によると、衣類や服装雑貨等の2021年のEC市場規模は2019年から比べると、1.9兆円から2.4兆円へ成長した。また、EC化率は2021年は2019年から7ポイント上昇し、21.15%となった。EC化率とは、消費者のすべての購買のうち、ECで決済された割合を示す値となるため、2割近くがオンラインで衣類を購入していると言える。アパレル全体の市場規模が衰退している一方で、ECアパレル市場は堅調に上昇しており、今後も成長し続けると考えられる。

参考:経済産業省『電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました』

アパレルECの市場規模が拡大する背景

アパレル業界全体の国内需要が減少傾向にある一方で、アパレルEC業界が拡大する背景として、「デジタル化の推進」と「新型コロナウイルスの流行」がある。

近年、デジタル化の推進によってデジタルトランスフォーメーション(DX)化が進み、企業側はITへの知識が浅くても、気軽にECサイトを構築できるようになった。また、ECサイトは試着ができないことへの懸念があったが、バーチャル試着といったサービスが登場し、オンラインでの購入を後押しする取り組みが実施され、普及傾向にある。

また、新型コロナウイルスの流行による外出制限や密接の回避は、実店舗に足を運び衣類を購入する消費者の激減を招いた。消費者の巣ごもりにより、自宅に居ながらショッピングが楽しめるECサイトでの購買が急拡大し、EC化率にも大きな影響をもたらしたのだ。今後は、デジタル化に活路を見出した企業の参入が増加し、アパレル分野における市場やEC化率の拡大はますます加速すると見られている。


分類別アパレルECサイトの種類と特徴

現在国内のアパレルECは、企業が消費者に商品を販売する、いわゆるBtoCECサイトが主流だ。一方で、消費者間の取引を意味するCtoCのECサイトも年々拡大傾向にある。アパレルECは、大きく分けて3つのタイプに分類されるため、それぞれの種類と特徴を確認していこう。

BtoCのECサイト


BtoCECサイトは、主に「モール型」「メーカー・ブランド直営型」のタイプがある。

●モール型
モール型は、ショッピングモールのように複数のブランドやメーカーの商品を扱っているECサイトのことを指す。代表例に、「楽天市場」や「ZOZOTOWN」などがあり、消費者にとっては複数の商品から自分好みの衣類を選択できるという特徴がある。モール型の場合、運営側に手数料を支払い出店を行う仕組みだ。モール自体がイベントなどを実施するため集客は容易というメリットがある。一方で、消費者とダイレクトなコミュニケーションが取りづらいことや、サイトを自由にカスタマイズできないといったデメリットがある。

●ブランド・メーカー直営型
ブランド・メーカー直営型とは、実店舗を持ちつつ、オンラインストアを運営しているブラントやメーカーのECサイトを指す。代表例は「UNIQLO」や「BEAMS」などだ。自社ブランドの特徴に合わせた、マーケティング施策を打ち出すことが可能で、消費者の声を反映しやすいといった特徴をもつ。

CtoCのECサイト


CtoCとは、個人間取引と呼ばれ、消費者が消費者にモノを販売するビジネス形態となる。ECサイトは「フリマアプリ」と「ネットオークション」の2つのタイプがある。

●フリマアプリ
フリマアプリは、専用のアプリを使用し、販売側が家庭で使わなくなったアパレル商品などを出品する形だ。代表例として、「メルカリ」や「ラクマ」が挙げられる。CtoC向けのプラットフォームを利用すれば、販売側はサイト構築や初期設定はほぼ不要で、誰でも手軽に出品できるため、導入のハードルが低いという特徴がある。

●ネットオークション
ネットオークションは、販売側が商品を出品し、オークション形式で高値をつけた個人が購入するという仕組みだ。代表例は「ヤフオク」や「モバオク」があり、希少価値の高い商品が出品されやすいといった特徴がある。

その他のECサイト


その他のアパレルECサイトの形として、サブスクリプションと呼ばれるレンタルサービスもある。

●サブスクリプション
アパレルECのサブスクリプションは、定額料金の支払いで、スタイリストが選んだ服が定期的に自宅に届き、一定期間レンタルできるというビジネス形態だ。気に入った場合には購入もできる。代表例には、「エアークローゼット」や「メチャカリ」などがあり、アパレル商品の廃棄問題を解決する手段としても注目されている。


アパレルECの課題と解決策

ここからは、アパレルECならではの課題に着目し、解決策も踏まえた上で解説していく。アパレルECに参入を検討している場合には、ECサイト運営を効率よく進めていくために確認しておこう。

ECサイト運営のノウハウの不足


アパレルECを進めていく際、ITの人材不足によりECサイト運営のノウハウが乏しく、デジタルマーケティングやシステム開発、運用の内製化が難しいというケースも少なくない。社内のDXの滞りは、他社からスピード感で劣ることや、顧客ニーズに応じたサービス構築の遅れに繋がることも考えられる。

自社のECノウハウの向上のため、エンジニアやデザイナーといったクリエイティブ職に特化した人材確保を進めていこう。

実店舗とオンラインストアの壁


アパレルECは、「サイズがわかりづらい」「試着できない」といったことから、どうしても実店舗とオンラインストアの壁が埋まりにくいという課題がある。特に、ECサイトで購入した場合の返品方法が不透明なために、利用に踏み切れない消費者も多い。

アパレル商品は他の商品に比べ、返品率が高いという課題があるため、返品を効率化するオペレーションを構築するのも一つの解決策だ。消費者の、商品に対するミスマッチを減少する取り組みとともに、「返品しやすさ」をアピールすることで、自社サイトを利用したいという消費者も増えるだろう。

ブランディングと集客の懸念


自社ECの場合は、モールECと比較して集客が課題になる傾向にある。

知名度の低いプライベートブランドを展開する際は、SNSの活用といった自社ならではの顧客接点を設計し、ブランディング強化を図れるような戦略を考えていくことが重要だろう。

在庫の管理システム


アパレル業界では、在庫を管理するシステムに難しさを抱えているケースも多い。自社サイトとモール型EC、また実店舗も展開する際、在庫がしっかり管理されていないと、販売機会の喪失や不良在庫を抱えるといった懸念もある。

不明瞭な在庫をなくし、的確に商品が供給できる仕組みを構築したい場合は、在庫管理の一元化システムの導入をおすすめする。管理システムの導入は、必要な情報を的確に把握できるため、コア業務に集中しやすくなるといったメリットもある。

関連記事:ECの一元管理システムとは。導入におけるメリット・デメリットと検討時の確認ポイント

コロナ禍におけるアパレルECの変化

最後に、アパレルECの展開を考える上で、コロナ禍におけるアパレル業界に起こった変化を紹介する。変化を柔軟に捉え、アパレルECを展開する際の参考にしてみよう。

サステナブルファッションへの切り替え


新型コロナウイルスによって引き起こされた世界的なパンデミックにより、「持続可能な社会の実現に貢献したい」という消費者の思いが急増した。これにより、サスティナブルファッションへの関心が高まったのだ。「良いモノを長く着たい」「環境にやさしい商品を選びたい」といったニーズが増加傾向にある。

オンライン接客の強化


コロナ禍で外出自粛期間が増え、ECサイトを利用する消費者が急激に増加したことで、オンライン接客を強化する動きが高まっている。EC上であっても、消費者が商品をイメージしやすいように、鮮明な商品写真の掲載や、詳細なサイズ説明といった工夫をしている場合もある。また、電話やメールの問い合わせだけでなく、AIによる自動会話プログラムなどを導入し、疑問点をスピーディーに解決するというECサイトも出てきている。

ライブコマースの導入


ライブコマースとは、ECサイトとライブ配信を組み合わせた販売手法となり、導入する企業が急激に増えている。ECサイトは手軽に商品が購入できる一方で、「自分の目で確かめてから購入したい」というニーズが強いことから、商品の良さやイメージを掴みやすいライブコマースが注目されているのだ。今後は、5Gネットワークの普及で、大容量のデータ配信が可能となるため、ビジネスでの利用がますます増加すると予想されている。

関連記事:アパレル業界のライブコマース事例。ライブコマースの種類や成功させるポイント

まとめ

国内のアパレル全体の市場規模は衰退傾向にある中、アパレルのEC市場は年々拡大を続け、コロナ禍によって引き起こされたデジタルシフトがその傾向に拍車をかけている状況だ。アパレルを扱うECサイトの種類は多く、競争の激化が予想されるだろう。今回紹介した解決策や変化の予測を参考に、ニーズに合ったサイト構築を進め、顧客満足度向上を目指してみてはいかがだろうか。


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