配送の国際料金を比較するには?国際宅配便を扱う7社やサービス利用時の注意点など
越境ECなど海外展開を進める際は、配送に関する国際料金の比較・検討はコスト抑制に向けて重要なポイントだろう。その一方で、配送サービス会社の選定では、料金面だけではなくさまざまな比較ポイントも把握しておきたい。今回は、「国際宅配便」と「国際郵便」の違いや利用する際の注意点、国際料金を比較する際のポイントなどを紹介する。最後に、国際宅配便サービスを扱う7社の特徴を比較するので、自社に適した会社選びの参考にしてほしい。
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国際料金を比較する前に押さえておきたい、国際宅配便と国際郵便の違い
国際配送の料金を比較する場合、日本国内における「国際宅配便」と「国際郵便」の違いを理解しておくことは重要だ。まずは、国際宅配便と国際郵便の違いを確認していこう。
国際宅配便
国際宅配便とは、民間の配送会社が提供する海外向けの配送サービスのことだ。国際宅配便で配送可能な物は、納品書や請求書などの信書以外の書類のほかは、物品などの貨物に限られる。また、書類以外は小さな貨物であっても、通関手続きが必須だ。
国際宅配便は、各業者による独自ネットワークによって追跡可能なサービスが提供されている。提供する業者によっては、自社専用の航空機を保有しており、配送エリアによっては次に紹介する国際郵便よりも早く荷物を届けられるといった特徴がある。
国際郵便
国際郵便とは、日本郵政グループが運営する郵便局のみが提供するサービスだ。国際郵便は、全世界の郵便局ネットワークを使い、信書の送付が可能な点が最大の特長といえる。また、発送する物品の申告価格の総額が20万以内であれば、通関手続きは不要である点も覚えておきたい。
国際郵便は、国際宅配便と同じような料金と配達日数で相手の国に到着する「EMS」と呼ばれるサービスなど、用途に合わせてさまざまな種類を展開している。
発送する物によっては通関手続きが不要な点や、日本全国各地から手軽に利用できるなどのメリットから、扱っている荷物は小型の貨物が中心で、扱う数が少量の場合は国際郵便がおすすめといえるだろう。
国際宅配便・国際郵便を利用する際の注意点
国際宅配便と国際郵便の違いを理解したところで、海外宛に荷物を送る際の注意点を解説する。国際宅配便と国際郵便、どちらにも共通する内容のため、しっかり確認しておこう。
国ごとに送付できるものに違いがある
海外に荷物を送る場合、国ごとに送付できない貨物に定めがあるため注意が必要だ。特に、食品や動植物、薬関連などは、届ける先の国の規制により、国際的な配送が禁じられている。国際宅配便のサービス会社によっては、サイト内で国別の禁止物品を一覧にして紹介しているケースもあるため確認してみよう。
インボイスが必要な場合もある
国境を越えて荷物をやり取りする場合、税関で通関の手続きが必要となる。国際宅配便の場合、書類以外の荷物を発送する際は、「インボイス」と呼ばれる荷物の明細書となる書類を準備する必要がある。なお、国際郵便の場合は、前述したように、貨物が20万以内の金額であれば手続きは不要だ。
関税諸費用が必要な場合もある
届け先の国によっては、関税諸費用が必要な場合もあるため、注意が必要だろう。関税とは、国境を通過する貨物に対して課される税であり、国ごとに税率や課税の対象となる貨物は異なる。また、関税諸費用のなかには、関税の他に、貨物税や付加価値税などが課される場合もある。
通常は、届け先に請求される費用だが、トラブルが発生しないように確認しておくとよいだろう。
国際宅配便サービス選定における5つのポイント
国際宅配便サービスを選ぶ際、以下のポイントを押さえて比較することをおすすめする。サービス選定の際に比較する5つのポイントを細かく見ていこう。
配送スピード・所要期間
国際宅配便は、選ぶサービス会社の配送ネットワーク次第で配送日数が異なるため、配送までのスピードも確認しておきたいポイントといえる。配送スピードによって、自社の届け先の需要に合わせたサービス会社の選定も必要になってくるだろう。
得意な重量・貨物量
国際宅配便は、サービス会社によって扱う輸送手段が異なるため、得意な重量や貨物の量が異なる。例えば、書類や小型の貨物を得意とする会社、大量貨物を得意とする会社、重量のある大型貨物を得意とする会社などさまざまだ。自社の扱う商品や目的と、サービス会社の強みがマッチしているか細かく判断することが大切になるだろう。
得意エリア
国際宅配便サービスは、各会社が本拠地とするエリアのほか、独自の配送ネットワークを所有しているなど「配送の得意なエリア」が存在する。そのため、例えば、日米間の配送を得意とする会社の送料やスピードが、自社のニーズに適していたとしても、配送エリアを変更すると大きく内容が変わってしまうということが起こり得る。自社の対象顧客のエリアを把握し、ニーズに応じた会社選定を意識したい。
紛失や破損リスク
紛失や破損のリスクについても、十分に確認しておきたいポイントだ。国際宅配便において複数の荷物を一緒に運ぶ混載便の場合は、仕分け地を複数経由して荷物を配送するため、紛失や破損のリスクも高いという特徴がある。貨物のトラブルが気になる場合は、FedexやDHL、UPSのように自社で航空機を所有している業者を選択するほか、実際の口コミなどを確認しトラブル回避に向けた取り組みをしよう。
応対品質
国際配送は、国内配送に比べると、通関手続きや紛失、盗難、荷物の取り扱いなど、さまざまなトラブルが発生しやすいため、サービス会社の対応品質にも目を向けておきたい。対応品質においては、ヤマト運輸や佐川急便など、日系企業と取引のあるサービス会社は対応が丁寧であるといった特徴がある。越境ECなどの事業は、顧客の手元に無事に荷物が届いて初めて成り立つサービスだ。各サービス会社の対応品質にも重点をおき、ビジネスの成長につなげていきたい。
国際料金を比較する際のポイント
国外への配送料金はコストが大きくかかるため、料金内容を確認しておくことが最も重要なポイントになるだろう。しかし、配送する荷物の規格や配送のエリアなどに応じて料金体系も複雑であるため、簡単に比較することが難しいと感じるケースも少なくない。そのような際は、料金見積もりページを活用して料金比較を行うのもひとつの方法だ。サービス会社のWebサイトでは無料で料金見積もりができるページを用意している場合もあるため活用してみよう。
さらに、国際宅配便をリーズナブルな価格で利用したい場合は、各サービス会社と法人契約を結ぶという方法もある。法人契約を行うことで、割引を適用してもらえるケースがあるからだ。
国際料金を比較する際のポイントをまとめると以下の通りだ。
・サービス会社の見積もりサービスを活用し、配送エリアと配送量に応じた料金相場を確認する
・サービス会社とコンタクトを取り料金の割引交渉を行う
国際宅配便サービス7社比較
最後に、国際宅配便サービスを展開する7社について、主なサービスや特徴を比較して紹介する。料金見積もりページについても掲載しているので、比較時の参考にしよう。
Fedex(フェデックス エクスプレス)
フェデックス エクスプレスは、世界最大規模の航空貨物輸送会社だ。世界220以上の国と地域を対象に、海外への書物や小型の荷物などの国際輸送サービスを提供している。自社運航機をはじめとする空と陸における独自のグローバルネットワークを活用し、通常は1、2営業日以内で時間厳守が求められる貨物の郵送を行っている。
関連記事:フェデックス エクスプレス
UPS(ユーピーエス)
UPSは、越境ECを完全サポートする国際総合物流企業として、世界220以上の国や地域でサービスを展開する世界最大級の宅配事業者だ。一般航空や海上輸送、通関、倉庫管理といった、フルフィルメントや配送サービスを含めた国際総合物流サービスを提供している。UPSは、返品対応を実施しており、業界最多の返品オプションを提供していることも特徴の一つだ。
関連記事:ユーピーエス・ジャパン株式会社
DHL
DHLエクスプレスは、国際輸送の専門家集団とされ、集荷から通関、フライト、配達までのプロセスのすべてを自社で一貫して行うサービスを提供している。ビジネス書類から貨物におけるまで、世界の220の国と地域への配達に対応可能だ。航空輸送以外にも、海上輸送や鉄道輸送、陸上輸送といったあらゆる輸送サービスを展開し、顧客のニーズに応じた輸送方法を実現している。
関連記事:DHLジャパン株式会社
4PX(フォーピーエックス)
4PXは、越境ECを専門とした世界規模のロジスティクスサービスを提供している物流会社だ。取引企業は100万社を超え、世界26カ国で国際物流、保税倉庫取得、返品サービス等50種類以上の物流サービスを展開している。15年以上の実績を誇り、企業の要望に応じたソリューションを実現していくことを得意としている。
日本郵政グループ:UGX(ゆうグローバルエクスプレス)
UGXは、日本郵政グループが展開する国際宅配便サービスだ。小型の貨物で少量の発送の場合は、前述した国際郵便のサービスのひとつであるEMSと呼ばれる国際スピード郵便の方がリーズナブルだが、「UGX」はEMSでは規定外の貨物や複数個口、大型貨物の配送を得意としている。EMSでは対応が難しい、関税や着払いの立て替え対応や、FBAと呼ばれるAmazonのフルフィルメントサービスへの納品対応も可能だ。
関連記事:日本郵便株式会社
ヤマト運輸
日本国内大手のヤマト運輸は、国際宅配便サービスも展開している。ヤマトグループの各国現地法人や代理店ネットワークを生かし、国際一貫輸送を実現し、世界200を超える国や地域への配送が可能だ。航空や海上の貨物輸送に対応しており、多品目や他法令に絡む通関など、ニーズやシーンに応じた豊富な通関実績を持っている。
関連記事:ヤマト運輸
佐川急便
佐川急便も、国際宅配便や海外向け通販事業一括サポートを展開している。世界220の国や地域を8地帯に分け、小荷物や書類別に細かく設定した運賃を採用。重量0.5kg刻みに加算されるシンプルな料金体系となり、リーズナブルな配送料金で利用できるといった特徴がある。発送地は日本国内のどこからでも一律運賃で国際間輸送が可能だ。
関連記事:佐川グローバルロジスティクス株式会社
まとめ
越境ECなどを展開する際、配送に関する国際料金を比較することは重要だ。一方で、海外宛に荷物を送付する場合、国際的な配送への配慮や関税諸費用など、考慮するべき点が多い。さらに、国際宅配便サービス会社を選定する際は、料金だけではなく多くの比較ポイントが存在する。今回の記事を参考に、国際宅配便を展開する各会社の特徴を十分に見極め、自社に最適な配送パートナーを見つけよう。
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