ロボティクスで小売自動化を支援するROMSが総額12億円の資金調達を実施

ECのミカタ編集部

株式会社ROMS(本社:東京都品川区、代表取締役:前野洋介、以下「ROMS」または「同社」)は、総額約12億円の資金調達を実施した。

小売流通のサプライチェーン自動化を支援

ROMSは、既存投資家であるDNX Venturesをリードとする総額約12億円の資金調達を実施した。同社は、調達した資金をもとに、ROMSが展開するNFC(Nano-Fulfillment Center)及びRCS(Robotics Convenience Store)の展開を加速し、小売流通業界におけるサプライチェーンの自動化、新たな購買体験の創造を目指すとしている。

ROMSは2019年の創業以来、「RetailをDigitalとAutomationで変革し、次のCXを創造する」をミッションに、次世代ネットスーパーの店舗併設型自動倉庫であるNFC及び超小型無人店舗であるRCSを提供してきた。

同時に、ピッキングロボットと自動倉庫により、顧客が注文した商品を自動で搬送・ロボットがピッキングし、顧客ないし店舗スタッフまで届ける仕組みだ。そのため、夜間帯含む、24時間365日、多種多様な商品を自動でピッキングすることができるほか、併設されているタッチパネルから商品を選択し、自動倉庫内の商品をその場で注文することも可能であり、フルフィルメントのほか、無人店舗としての機能も兼ね備えている。

ROMSではNFC/RCSを提供するために、キオスク端末、ロボットピッキング、在庫管理などのハードウェアからミドルウェア、ソフトウェア、ECソリューション(アプリなど)まで、一気通貫した統合ソリューションを有しているという。

同社は、既に都内にてRCSのモデル店舗をオープンさせているほか、22年9月より大手通信キャリアのKDDI株式会社(以下KDDI)の運営するau Style SHIBUYA MODI店への併設店舗として RCSを導入し、フードデリバリープラットフォームの「menu」から注文するとRCSが全自動で商品をピッキングし、用意された商品を受け取った「menu」のクルーが配達先まで届けてくれるクイックコマースのサービスを開始している。また今後スーパーマーケットを展開する複数の企業に対してもNFCを導入予定だとしている。

自動化テクノロジーで新たな購買体験を創出

欧米や中国では、コロナ禍によって食品のEC化率が10%を超える水準まで急成長したが、日本は、物販全体の8%を下回る3 %程度に留まっている。そのため、日本では店舗での人手によるピッキングが主流となり、結果として、高い人件費、人手不足による注文数の制限などが生じている。

一方、欧米では既に北米を中心として、MFC(Micro-Fulfillment Center)と呼ばれる店舗併設型の自動化設備を導入しており、人件費を抑えつつも、注文数の増加にも対応できるような体制を整えている。また店舗における対面販売についても、将来的な労働人口の減少による人員確保の難化・人件費の高騰が危惧されており、省人化への対応が求められているところだ。

ROMSは、MFCよりも小型、かつ柔軟な設計が可能で、小売店舗の狭小ニーズにも対応可能なNFCやRCSを展開することで、将来的な労働人口の減少、人件費高騰といった小売流通業が取り巻く事業環境の変化にも対応できるようなソリューションを提供してきた。

同社は、調達した資金をもとに、ハードウエア・ソフトウエアエンジニア、事業開発、コーポレート等幅広い領域の新規採用を実施、組織拡大を図るとともに、既存モデルの改良や次世代モデルの開発を含む各種投資を行い、自動化技術を活用した次世代型の購買体験の創造を加速させるとしており、ECとリアル店舗がシームレスなつながりを見せる中で、その存在感を高めることになりそうだ。

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