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ECのミカタ編集部

2022年を振り返って「デジタル消費者トレンド」レポート

米調査会社ガートナーのDigital Markets部門が運営するSaaS / ソフトウェア製品の比較プラットフォームCapterra(キャプテラ)が、2022年に行なった様々な消費者調査を取りまとめて、オンライン購買行動の顕著なトレンドを分析した。2023年に消費者がどのように購買行動をするのか、読み解く鍵となりそうだ。

2022年のオンライン購買行動を5つに分ける

経済産業省が取りまとめた電子商取引市場の実態調査では、令和3年の日本国内の消費者むけ「電子商取引 (EC)」の市場規模は20.7兆円に達したと発表された。

そして、これからも増えていくであろうeコマースシステムを展開するためには、オンライン特有の消費者の購買行動を把握しそれに沿った戦略を立てることが重要となる。

本記事では、キャプテラが2022年を中心に行なった様々な消費者調査 (一部は2021年末実施)のデータから、2022年オンライン購買行動のトレンドをまとめて確認していく。

主な5つのトレンドは、以下の通りとなった。

◆ソーシャルメディアが販売チャネルとして益々重要になる

◆便利なテクノロジは購買行動の円滑化につながる

◆消費者は、より一層セキュリティを重視している

◆顧客対応であれ、デリバリであれ、即時性が求められる

◆持続可能性への配慮は、顧客との信頼関係につながる

以降でそれぞれのポイントについてより詳しく確認していく。

​①ソーシャルメディアが販売チャネルとして益々重要になる

2022年はコロナ禍によってSNS利用が拡大したことや、デジタルネイティブ世代のSNS利用が多いことを背景として、SNSプラットフォームでのショッピング利用が増加した。

キャプテラが2022年に行った「ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動調査」では、24%の人がソーシャルメディアを通じて商品やサービスを購入したことがあると回答しており、そのうちの66%がSNSのプラットフォーム内で決済するとしている。

②便利なテクノロジは購買行動の円滑化につながる

多くの顧客がオンラインショッピングの際に考慮している点は、便利かどうかということだろう。顧客は複雑で非効率なプロセスを嫌う傾向にあるため、商品やサービスをオンラインで購入できるようにする際は消費者目線で利便性があるかを確認する必要がある。

キャプテラが2022年に実施した「サブスクリプション型サービスに関するオンライン消費者へのアンケート調査」で、化粧品や食品のパッケージを定期的に届ける「ボックス型サブスク」を利用する人にその理由を質問した回答は、以下の通りとなっている。

「便利だったから」が2位と3位に大きな差をつけており、前述したSNS調査においては、SNS上で購入、決済したことのある人の73%が「決済が簡単」であることが一番の利点である回答した。

③消費者は、より一層セキュリティを重視している

SNSやサブスクリプションの利用が高まり、オンラインでの購買行動がより便利になっているが、顧客は同時にその安全性の確保を重要視している。また「ソーシャルメディアにおける消費者の購買行動調査」において、SNSプラットフォーム内でショッピングは一切しないと回答した人の中でも、安全性に関する不安は以下の回答が見受けられた。

▷「詐欺ではないかと心配」(36%)
▷「プラットフォームのセキュリティリスクが心配」(22%)

さらに、「サブスクリプション型サービスに関するオンライン消費者へのアンケート調査」では、サブスク利用者の間でもクレジットカード情報を登録することに一定の抵抗感を覚える人が47%と約半数いることが判明している。

抵抗を感じる理由として主に以下の内容があげられた。

▷「セキュリティの問題」(76%)
▷「データ保護の問題」(53%)
▷「スパムの懸念」(35%)

キャプテラが2022年に行った「 オンラインカスタマーレビューに関する調査」では、消費者の多くがレビュー投稿のない商品を購入する際はより慎重になることがわかっている。そして、本物のレビューかどうか確認する際のポイントとして、消費者は以下の内容を注視しているようだ。

④顧客対応であれ、デリバリであれ、即時性が求められる

テクノロジーの発達により、よりスピード感を求める消費者、特にデジタルネイティブ世代に対応するためには、今後より即座なコミュニケーションに応える必要があるだろう。

キャプテラが2022年に実施した「カスタマーサポートと顧客体験に関する評価調査」では、文章で問い合わせをする時に1日以内の返信を期待すると回答した人が6割となった。

⑤持続可能性への配慮は、顧客との信頼関係につながる

2015年に国連総会「持続可能な開発目標 (SDGs)」が採択されたことを背景に、日本国内でもSDGsという言葉を目にする機会が非常に増えただろう。このことは、多くの企業がこれからの発展目標を掲げる際に、避けては通れない言葉の一つとなったと言える。

キャプテラがヨーロッパを中心に7カ国 (オーストラリア、カナダ、ドイツ、スペイン、フランス、英国、オランダ) を対象に実施した「サーキュラーエコノミー (循環型経済) に関する調査」では、オランダを除く全ての国で、SDGを取り入れていない企業からの購入をやめると答えた消費者が大半を占めたことが明らかになった。

今後より一層のサービス拡充が期待される

今後より一層のサービス拡充が期待される

今回の調査レポートは2021年10月から2022年11月にかけて実施された、オンライン調査のデータが含まれており、各調査は約1,000人の顧客を対象に行われた。回答者は18歳以上であり、以下の国に居住していることを参加条件とした。

◆日本、ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、カナダ、オーストラリア、オランダ、スペイン、ブラジル、メキシコ

当然、今回の調査で得られた回答は国や地域を代表するものではなく、あくまで回答者それぞれの見解を表すものであるが、その結果については注目すべきものがあるだろう。

今回の調査結果では2023年以降、顧客の多くはより利便性と安全性の高いサービスを好む傾向にあると考えられる。さらに企業が取り組むサスティナビリティへの配慮の有無が、購買行動に影響を与えていることも印象的だ。またEC利用に慣れた顧客が増えていくことが想定されることから、各企業はより一層のサービス拡充が求められるだろう。その中で今後、どのような新サービス、取り組みが生まれていくのかが期待される。

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