冷凍・冷蔵物流とは?業界のニーズや課題、委託業者を選ぶポイントを紹介

ECのミカタ編集部

冷凍・冷蔵物流とは?業界のニーズや課題、委託業者を選ぶポイントを紹介

冷凍・冷蔵物流とは、物流の一連の過程を冷凍もしくは冷蔵したまま流通させること。近年、コールドチェーンが発達したことから、冷蔵・冷凍商品の物流は多様化している。しかし、その分課題があるのも現状だ。今回は、冷凍・冷蔵物流の概要と合わせて、業界のニーズや課題、アウトソーシングする際のサービスを選ぶポイントを紹介するので参考にしてほしい。

目次

●冷凍・冷蔵物流とは?
●コールドチェーンとは
●冷凍・冷蔵物流のニーズや課題
●冷凍・冷蔵物流サービスを選ぶ際のポイント
●まとめ

冷凍・冷蔵物流とは?

冷凍および冷蔵物流とは、商品を生産者から消費者へ届けるまでの一連の過程を冷蔵・冷凍のまま行うことを指す。物流には、「輸送・保管・荷役・包装・流通加工」といった過程があり、それぞれの段階において、常に一定の温度を保つことが重要である。

物流の過程で「保管」を行う冷凍・冷蔵倉庫とは、10度以下で保管する倉庫全てを指す。一般的に10度以下は全て冷蔵倉庫に分類されるが、「冷蔵保管」と「冷凍保管」をわかりやすく区分するために、冷蔵倉庫の中でも特に低温で保管される倉庫を「冷凍倉庫」と呼ぶことがある。

一般的な倉庫の温度管理の基準は、倉庫業法「冷蔵倉庫基準保管温度」の等級で下記のように定められており、冷蔵倉庫は「C(チルド)」、冷凍倉庫は「F(フローズン)」と区分されている。

物流業界では主に、上記の保管温度帯を「冷蔵」「冷凍」「チルド」の3つに区分して保管や輸送を行っている。食品においては、4温度帯や5温度帯に区分されることもあり、事業所によって温度基準は異なる。

冷凍物流で扱われる商品


冷凍物流で扱われる商品は、冷凍食品やアイスクリーム、畜肉、魚介などだ。冷凍マグロは-40度以下で管理するなど極めて低い温度管理が必要なものもある。

冷蔵物流で扱われる商品


冷蔵物流でも主に食品が扱われ、野菜や果物、乳製品、練り製品などが対象となる。肉や魚などの生鮮食品、惣菜などの要冷蔵食品も対象だ。錆びやすい金属部品を扱った精密機器なども、温度管理がされた保管や輸送が必要となる。

また、医薬品や化学薬品、血液パックなどは、商品の種類や状態によって温度管理が異なるものも存在する。

関連記事:冷凍倉庫・冷蔵倉庫の概要や必要な設備を紹介

コールドチェーンとは

生産から加工、輸送、消費者の手に渡るまで、一貫して冷蔵状態もしくは冷凍状態を維持する流通プロセスの仕組みを「コールドチェーン」と呼ぶ。品質を維持するためには、施設や倉庫に限らず、小売店や輸送段階の車両などでも徹底した温度管理が必要だ。このコールドチェーンの登場は、食品物流の飛躍につながったと言われている。

コールドチェーンのメリット・デメリット


コールドチェーンによって長く鮮度を保てるため、「新鮮なまま消費者のもとへ届けられる」「海外など広域での輸出が可能となる」「廃棄ロスが減らせる」などのメリットがある。また、これまで輸送が難しいとされていた医薬品や化学薬品、血液パックなども扱えるようになり、医療機関においても輸送範囲が広がったことは医療の発展に貢献している。

一方で、一番負担となりやすいのは、常温の商品よりも保管料金や輸送費などの「コストが高い」ことだ。冷蔵または冷凍し続ける設備や電気代、特殊な車両など費用は大きくなりやすいため、その点を加味した予算の算出が必要だろう。

関連記事:コールドチェーンとは? 意味と食品物流での仕組みを簡単に解説!

冷凍・冷蔵物流のニーズや課題

昨今、長期保存できることや調理に手間がかからないことから、冷凍食品のニーズが高まっている。また、食品をECサイトで購入する人も増え、冷凍・冷蔵物流の需要はより高まった。

しかし、冷凍・冷蔵物流には課題もある。例えば、冷凍・冷蔵倉庫では「結露」が起こりやすく、霜がついてしまうと冷却性能が下がってしまうことがあげられる。結露した部分から雑菌が繁殖する場合もあり、衛生管理も温度管理と同様に重要だ。メンテンナンス費用やランニングコストなど、温度を維持しながら管理していくことは多大なコストを要する上に、メンテナンスにかかる工数への考慮も必要になる。

現在はAIシステムを導入したアウトソーシングなど、外部に委託できる場合もある。自社での管理が難しい場合は、入庫から管理、出庫までの作業を委託することで、自社の人件費削減や業務の効率化につながるだろう。


冷凍・冷蔵に対応した物流サービスを選ぶポイント

冷凍・冷蔵に対応した物流サービスを選ぶ際、ポイントとなることを見てみよう。

業者の信頼性


まずは冷凍・冷蔵品の扱いを熟知しているかを確認したい。自社商品と同様のカテゴリーを扱った実績がある場合は安心だ。過去の実績を確認したり、担当者に尋ねたりして、信頼できる業者かを見極めていくとよいだろう。主に扱っている商品や管理の仕方も聞いてみると、よりマッチする業者が見つかりやすいだろう。

コストの適正性


コストとバランスが自社に適しているかも大事なポイントだ。コストが安価でも、自社にとって十分なサービスが得られない場合も考えられる。あらかじめ「どの業務を委託したいのか」「自社でできる部分はあるか」を洗い出し、希望する業務に優先順位をつけると交渉しやすいだろう。

トラブル時のサポート体制


トラブル時のサポート体制を確認することもポイントの一つ。温度管理の徹底が必須である冷凍・冷蔵商品の物流は、トラブルが発生した際、問題解決にかかった時間の分、商品への影響も大きくなる。少しでも早くトラブルに対応してもらえるよう、委託先の稼働時間や連絡体制、対応の仕方などを見て選ぶとよいだろう。


まとめ

冷凍および冷蔵物流とは、輸送や保管など商品を生産者から消費者へ届けるまでの一連の過程を冷蔵・冷凍したまま流通させることだ。主に扱われる商品は食品で、精密機械や医薬品を扱う場合もある。冷凍・冷蔵物流においてニーズは高まっているものの、メンテナンスや維持が大変なことからアウトソーシングを依頼するのもおすすめだ。信頼性の高いサービスを探す場合は、物流サービスを選ぶポイントを参考にしてほしい。


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