【ZOZO】2023年3月期決算発表 商品取扱高・営業利益ともに過去最高を更新

株式会社ZOZO(代表取締役社長兼CEO 澤田宏太郎、以下:ZOZO)は2023年4月27日に2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の決算発表を行った。

商品取扱高・営業利益ともに過去最高実績を更新

商品取扱高・営業利益ともに過去最高実績を更新

代表取締役社長兼CEO 澤田宏太郎氏によると、2023年3月期の商品取扱高は 5443.1億円で、前期比7.0%増。商品取扱高・営業利益ともに修正計画を上回り、過去最高実績を更新した。連結子会社yutoriの自社ECサイトにおける商品取扱高などを除き、ZOZOTOWN事業、Yahoo!ショッピングに出店しているZOZOTOWN店およびBtoB事業の合算値として5000億円を上回ったのは、今回が初めて。澤田氏は「ZOZOTOWN事業が好調に推移し、ブランド各社の実店舗の売上が好調な中、ZOZOへの在庫供給が増加。集客施策・販促施策が効果を発揮し、アクティブ会員の増加に貢献した」とその要因を分析した。

また営業利益564億円で、前年比 13.6%増と、通期で10%以上の成長で着地。「集客費用・販促費用が前年同期と比較して増加したものの、商品取扱高の成長に伴う粗利の増加ならびに変動費を中心とした一部のコストの低減により増益した」(澤田氏)。

営業利益の増減分析

営業利益の増減分析

営業利益の増減分析では、前期の496.5億円から564.2億円と約67.7億円の増益となった。その要因は以下の3つ。

① 取り扱い高拡大による受託手数料売上増加でプラスの131.1億円
② 広告事業の成長による売り上げの増加でプラス14.7億円
③ 取り扱い高拡大等による送料収入、決済手数料収入等の増加でプラス28.0億円

一方で営業利益の押し下げ要因は以下の4つ。

① 社員数の物流拠点の増加、業務委託の増加などによる固定費の増加でマイナス24.3億円
② 取扱高拡大に比例して増加する変動費の増加でマイナス18.6億円
③ 集客費用やポイント費用など実質PR費用の増加でマイナス46.6円
④ 第1四半期と第4四半期の物流拠点の増加に伴うスポット費用の発生、クラウドサーバー利用料の増加による通信料金その他の費用の増加、こちらでマイナス16.8億円

創業以来初めてアクティブ会員数が1000万人超え

Yahoo!ショッピングやBtoB事業を含まないZOZOTOWNの年間購入者数は、前四半期比プラス20万人の1141万人。過去1年以内に1回以上購入したアクティブ会員数は前四半期比プラスの26万人の1019万人となり、こちらも初めて1000万人をと突破した。その要因となっているのは、昨年度に新規獲得した会員の定着化が進んでいることに加え、テレビCMやWeb広告を積極に展開して集客を強化したことだという。

平均商品単価は3987円で、前年同期比では6.3%上昇した。その要因は、一部商品の定価の上昇と、セール商材の割引率の減少。プロパー価格で売れた商材、セール価格で売れた商材ともに商品単価が上昇したことが結果として平均商品単価が上昇した。1注文あたりの購入数は減少しているが、商品単価の上昇によって、平均出荷単価も前年同期比では増加している。

2024年の会計計画は

2024年の会計計画は

2024年3月期の通期連結業績予想によると、商品取扱高は前期比6.7%増の5808億円。売上高は前期比9.4%増の2007億円、営業利益は前期比6.3%増の600億円、営業利益率は11.2%が計画値となっている。ZOZOTOWN事業に関しては、集客施策を引き続き実施することによって継続的な成長を目指していく方針。ZOZOTOWN事業のうち、買取製造販売事業に関しては前期比マイナス21.7%を見込んでいるが、これは前期に実施した芸能人とのコラボ企画の商品が売り上げに大きく貢献したことによってよる反動を考慮した数字だという。

ターゲット市場は約7.5兆円。ポテンシャルは8500億円

取締役副社長兼CFOの栁澤孝旨氏は「GMV5000億円、ゲストを除くアクティブユーザー1000万人超えは、10年以上前からの目標だった。それを超えたことを、ひとつの区切りと考えている」と振り返りつつ、今後の戦略方針について解説した。

その前提となる市場概観については、ファッションの小売市場は約10.8兆円、同社がターゲットとする市場は7.5兆円と見ている。「従来は10代後半から40代ぐらいが我々のターゲットセグメントと置いていたが、昨今は50代の方もYahoo!ショッピングを中心にマーケットが期待できることがわかっている。そこで今回、10代後半から50代までをターゲット人口という形で定めると、6100万人。同社のアクティブ会員は、1100万人(Yahoo!ショッピングにおけるアクティブユーザー含む)。ファッション購買は5回に1回はZOZOを利用しているという試算になる」。

利用者拡大の切り札は「似合う」「コスメ」「40代以上」

今後この層をどのように拡大させていくのか。

「ZOZOの利用者は、前述したように50代が増えているが、実は10代もかなり増えている。今後、より幅広い層の取り込みを行うことによって1500万人ぐらいの拡張する余地はあると見ている。また今は5回に1回という頻度での利用を、うまく4回に1回程度に増やしていければ、ポテンシャルとしては8000億円ぐらいある」(栁澤氏)

ユーザー層拡大のために同社が2022年から経営戦略として掲げているのが「似合う」。AIとプロのスタイリストによるパーソナルなスタイリングを無料で体験できる施設「niaulab(似合うラボ)」や、「似合う」に関する情報を発信するYouTubeチャンネル「niaulab TV by ZOZO」などを展開している。「単なる物を売るのではなく、あなたに合う物を見つけて売るという形で、ソリューションの色を濃くしながらしっかり購買層を広げていきたい」と澤田氏。

アパレル以外のマーケットとして期待しているのが、この2年ほど取り組んでいるコスメ。コスメは日本においては2.3兆円ほどの市場規模があるだけに、期待が大きい。初期段階で3桁億を目指したものの、現在はまが91億にとどまっているが、アクティブ会員のコスメ購買率はまだ20%前後であり、伸びしろはまだまだあると見ている。「91億という数字は、サイトとしては最大級のところまでは来ているので、それを最大級ではなく『最大』まで盛りあげていきたい」(澤田氏)。そのために同社が展開しているのが、アパレルとコスメの“併せ買い”を勧めるプロモーション。アパレルとコスメの親和性を活かし、今後も力を入れていくという。

Yahoo!ショッピングでの利用が増えている40代以降については、ネットショッピング特有の“買いやすさ”に期待している。栁澤氏は「40代以上の年代の人は、リアル店舗だと、自分のセグメントとずれていると入りにくい。しかし実際には、50代でも似合う服が少なくない。ネットではその入りにくさが無いので、世代を超えて商品が選ばれている。それもトリガーとして展開していきたい」と抱負を述べた。