佐川急便がサステナブル配送プロジェクトを開始、顧客・荷主・運送の三者協力で社会課題の解決を目指す
佐川急便株式会社(以下「佐川急便」)と株式会社ユーグレナ(以下「ユーグレナ」)は、ユーグレナ社製品の公式通販における配送の一部に次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用する「サステナブル配送プロジェクト」を開始することを公表した。
次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用
佐川急便とユーグレナは、双方が目指す持続可能な社会の実現に向けた温室効果ガスの排出量削減に向け、ユーグレナ社製品の公式通販における配送の一部に次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用する「サステナブル配送プロジェクト」を6月26日から開始した。「サステオ」は、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさない持続可能性に優れたバイオマス原料からつくられている。
「サステオ」は、燃料の燃焼段階では通常の軽油と同じようにCO2を排出するが、原料となる植物や藻類が成長過程で光合成によってCO2を吸収するため、燃料を使用した際のCO2の排出量が実質的にはプラスマイナスゼロとなるカーボンニュートラルの実現に貢献すると期待されている。次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」は、化石燃料由来の軽油と同等の性質を持つ炭化水素燃料であり、現行車両にそのまま利用が可能だ。
また株式会社ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っている。また、2014年よりバングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」を継続的に実施。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開している。
サステナブル配送プロジェクトの概要
◆個人の顧客
ユーグレナ社の公式通販Webサイト「ユーグレナ・オンラインショップ」特設ページにて、6月26日より「サステナブル配送プロジェクト(一口支援1000円)」の参加募集を開始した。同プロジェクトの初期目標として佐川急便の配送で届けるユーグレナ社製品を対象に大型トラック6台が1カ月間の配送に使用する燃料=約3000リットル(のべ12000kmの走行を想定)を「サステオ」に置き換えることを目指す。
◆ユーグレナ社
公式通販Webサイト「ユーグレナ・オンラインショップ」より、「サステナブル配送プロジェクト」に賛同する顧客からの参加を募り、集まった支援額と同額を「サステオ」導入費用として拠出し、佐川急便に「サステオ」を供給。今回提供される燃料は、バイオ燃料20%と石油系軽油80%の混合品だ。
◆佐川急便
「サステナブル配送プロジェクト」に集まった支援額と同額を「サステオ」導入費用として拠出し、佐川急便浜松営業所において「サステオ」の使用を開始する。「サステオ」は、同営業所内のインタンク(自社敷地内の給油スタンド)へ給油後、同営業所の車両で使用。「サステオ」による排出削減量を特定の荷主(今回はユーグレナ社)へ割り当てる計算方法(ISO 22095:2020 Chain of custodyにおけるBook and Claim modelを参照)を採用し、第三者機関の検証を受けることで、公平性・透明性を担保する。これにより不特定多数の荷物を混載する宅配便事業において荷主とともに脱炭素を推進する際の障壁となっていた「車両」「荷物」「環境価値」の物理的な一致の制約を解消し、排出量を抑制した輸送サービスの実現を目指す。プロジェクト終了後には、実際に使用した「サステオ」の総量に基づき、荷主であるユーグレナ社向けに第三者機関の検証を受けたCO2排出量の削減証明書を発行予定だ。
三者協同での社会課題の解決を目指す
このように同プロジェクトでは、顧客が通常の化石由来燃料(軽油)と比較して温室効果ガス排出量が少ない次世代バイオディーゼル燃料を用いた「サステナブル配送プロジェクト」に、ユーグレナ社の公式通販Webサイト「ユーグレナ・オンラインショップ」から参加し、共に問題解決に取り組める仕組みが構築された。
次世代バイオディーゼル燃料の普及における価格や供給方法といった課題に対して、顧客、商品販売元のユーグレナ社(荷主)、商品配送を担う佐川急便の三者が按分して費用を拠出することで、削減が難しいと言われているトラック輸送による温室効果ガスの排出量削減を目指すとのことだ。
従来の環境対策は、企業のみが環境対策コストを負担する構造になっており、事業活動との両立に課題を抱えていた。本来、環境対策は社会全体で解決すべき課題であることから、同プロジェクトでは、個人の顧客と企業が共に取り組む仕組みを提案するものとなっている。
同プロジェクトは、参加する顧客にバイオ燃料導入に伴うコストの一部を支援してもらうことからスタートする。その後、顧客からの支援額と同額を、配送を担う佐川急便と商品販売元(荷主)であるユーグレナ社がそれぞれ拠出することになる。三者協同での社会課題の解決を目指すものとなっており、ECを支える生命線である物流での、より実効的なサステナビリティの深化に各方面から期待がかかりそうだ。