アスクルが商品横持ち計画にAI需要予測モデルを活用 需要予測の精度向上、大幅な作業工数の削減に繋がる
アスクル株式会社(以下:アスクル)は、物流センターと補充倉庫間の拠点間で商品輸送を行う横持ち(※1)計画にAIを活用した需要予測モデルを導入し、全国物流拠点に展開を開始した。
※1:物流センターと補充倉庫間の商品の在庫移動
需要予測の精度が向上、作業工数削減につながる
AI需要予測モデルは、アスクルの「物流センター」とその近郊に位置する「補充倉庫」間の商品横持ち指示に活用され、「いつ・どこからどこへ・何を・いくつ運ぶべきか」の指示をAIが実行する。
従来は担当者の経験や知見に基づいて計画を立てていたが、AI需要予測モデルを活用することにより需要予測の精度が向上しただけでなく、作業工数の削減につながったという。
また、需要予測の精度向上とシステム化により、これまでは管理が難しくセンター内で保管していた賞味期限や使用期限のある「期限管理品」を補充倉庫で保管することが可能となり、センター内での商品移動も削減された。
◆商品横持計画作成~横持ち作業のビフォー(上)アフター(下)
その他物流拠点にも展開予定
今後は以下の定量・定性実績を踏まえ、これまで東日本の一部物流センターにて導入していた本モデルを他の物流拠点に展開し、モデルのアップデートも含め更なる進化を遂げていく予定としている。
◆定量効果
▷商品横持ち指示作成の工数:約75%/日削減
▷入出荷作業の工数:約30%/日削減
▷フォークリフト作業:約15%/日削減
◆定性効果
▷商品の追加や在庫の積み増しを行う場合にも、商品横持ち指示作成工数が増加することがなくなった
▷補充倉庫の追加や変更等の環境変化にも柔軟に対応できるようになった
▷担当者変更による引継ぎ作業の削減、および、サービスレベルの維持が可能となった
作業効率化を実現し、業務過多を改善する
アスクルは中期経営計画において在庫商品の拡充を掲げ、品揃えの拡大に取り組む。また、物流戦略においても、物流センター近郊の補充倉庫に余剰在庫を保管することで、物流センターの出荷能力や間口を最大限活用することを強化している。
属人的な作業によって予測精度にバラつきが生じ、緊急の商品横持ち輸送が頻繁に発生してしまうと作業効率は大幅にダウンする。さらに、在庫商品の拡充によって補充倉庫の追加や横持ち回数の増加が発生した場合、運用に耐えきれない状況も考えられるだろう。
今後、物流現場の作業効率化を実現し、業務過多を改善するために本AI需要予測モデルは大きな役割を担うはずだ。これからは他拠点への展開だけではなく、モデルのアップデートも予定されており、さらなる進化が期待される。AI需要予測モデルの活躍、動向に注目したい。