世界初!感情で集客をする技術。ソフトバンクTと連携
創業4年のベンチャーの技術が、SoftBank・Tの心掴む
我々の目の前にあるスマホなりのコンピューターはより技術の進化と共によりリアルの世界へと近づく。インターネット通販がヒントとなって生まれた技術が、あらゆるジャンルへと打って出る。その進化は結果としてインターネット通販の進化にもつながるのかもしれない。
ここは、虎ノ門ヒルズ。11月6日、開催された「SoftBank Technology Forum 2015/Session3」で、ソフトバンク・テクノロジー株式会社(以下 ソフトバンクT)は、Emotion Intelligence 株式会社(以下、Emin)が保有する感情知能「Emotion I/O(R)」と、ソフトバンクTが保有するWebコンサルティング・分析サービス「SIGNAL」を中心とした技術を利用した共同事業・研究に関する基本契約に合意したと発表した。
また、同日より「Emotion I/O」を利用して、Webサイト来訪者の行動を0.03秒ごとに蓄積し、機械学習により感情データとして抽出して行動データとリアルタイムに連携させるデジタルマーケティングサービス「Emotion i」の提供を開始した。
Eminが産み出した「Emotion I/O」は、Webブラウザ上のユーザー行動をリアルタイムに解析・パターン認識し、ユーザー行動を高い確率で予想する感情知能のことを言う。一方、ソフトバンクTは、様々な業種・業態に対して豊富なシステム開発の実績、デジタルマーケティング領域において10年以上のソリューション提供と、200社以上への導入・支援実績がある企業だ。お客様のビジネス課題解決を、オンラインとオフライン双方のデータの分析・活用を支援する実績豊富なコンサルタントとデータサイエンティストが多数在籍している。
また、今回提供される「Emotion i」は、Web サイト来訪者の細かな動き(マウスの動きなど)を 0.03 秒ごとにデータとして蓄積し、その人間の自然な行動がもたらす細かな規則性やルールなどコンピューター側で分析して、人間の「感情」を分析し、マーケティングに活かすものであり、それは世界初のことで、だからこそ意味がある。
感情を読み取るとはどういうことか?
感情知能とは何だろう?Emin桑山 礎さんに聞いてみると、こう話した。「実際、ユーザーというのは、流入してから、購入してまでの間、いろんな商品に気持ちを惹かれていて、最終的にその中の一つを購入したり、しなかったりする。しかし、今までは、そうした中間データが省かれてきたんです。」と。そこで、機械学習の応用技術を活用し、迷い、感情を検知し、画面上に表示したりするようにすることで、購買につなげよう、これが、「Emotion I/O」なのだ。たとえ購買データは「今後、どういうものに購入するか」を指し示してくれるヒントにはなるけど、どういうタイミングで購入してくれるかは、示してくれない。だから、お父さんだろうが、娘だろうが、その属性に重きをおくのではなくて、感情データとは、その時何を買いたいと思っているのかに、焦点を当てたマーケティングだというのだ。
それは、どうすればわかるのだろうか。これは、実に興味深い。例えば、誰かが何かを買うとした時に、後ろからそれを見ているとマウスの動きから、ページの遷移の仕方で、人間が見ていても、なんとなくこの人はこれを買うだろうな、という予測はできると桑山さんは言っている。実は、これがこの技術の発想の原点にあって、今の時代においては、その人間が感じた情報を機械学習でコンピューターに学ばせれば、人間と同じ判断が可能になってくる、それを具現化したというわけなのだ。
ソフトバンクTは、かねてより、自らのデジタルテクノロジーを活用し、コンサルタントをしてきた会社であるが、おもにECで購買につなげるためのマーケティングツールとして活用されていた「Emotion I/O」の技術に感化され、今回の連携が決まったというわけだ。
SoftBank・TがEminに興味を示した理由とは?
今までは、ユーザーの属性データに基づいてマーケティングが行われていた。言うなれば、『こういう人たちは、こういうことが好きだろう』というところからそのコンサルをやっていたのだ。それが、Eminがやっていることで言えば、もう少し踏み込んでいて、クーポンなどが良い例で、その割引の情報を出すのであれば、このタイミングでだすと、ユーザーが心地いいだろう、というところまで分析ができている、というわけだ。つまり、よりリアルタイムでその人の気持ちに即したマーケティングツールなのだ。
今までのマーケティングツールに加えて、欲しい時に欲しい情報が出てくる、そんな風にして、リアルタイムのデータを活用するというところが、そこがこの技術の真骨頂。リアルなショップでお客様の顔色を見ながら提案したり、引っ込めたりというような、ちゃんと人間味を帯びた商品提案をしているような感じが、これにはあって、ネットもリアルに近づいているのだなと実感した次第だ。
ソフトバンクTの澤本陽介さんは、こう話す。「ユーザーにおける気持ちの変化が早くなっているなという実感を持っており、デバイスがスマホ、タブレット、PCなどありとあらゆるものでアクセスすることができるようになったことで、意思決定は、もっと瞬間的で、感覚的なものになってきている。デバイスごと、データ上では分かれてしまっているものでも、何かしらで補えると考え、人として考えた時に、もっとそのタイミングに応じた選択をしているのではないか、」と。だから、「これまでソフトバンクTが培ってきた属性に基づくデータは勿論、重要なのだけれど、一方で、その瞬間ごとのデータをつかう機会が増していくのだろう、という感覚がもとからあり、だからこそ、今回のこの「「Emotion I/O」の価値も実感できた」とも。いかに早く対応し、ミリ秒単位まで、新しいデータを加えていくことで、そうしたニーズに応えることができる。そこで、「Emotion i」の産声をあげる事となる。
Eminの技術は、もっとユーザーの気持ちの近いところに。
人は繊細だ。興味関心は一人一つではない。車を好きな人が、いつも車を探しているのか、というとそうではなくて、属性データの中でどれがヒットしているのか、より具体的なコンサルタントに生かしていける。それが、この「Emotion i」のできることなんだと思う。
そして、このデータの集積で大事なのは、様々なユーザーのアクションである。コンサルタントに活用され、様々なアクションが蓄積されれば、様々なユーザーの「感情データ」を蓄積でき、その分析結果も、より精度を増したものになっていくだろう。もとは、主に、ECで使われていたこの技術が、様々なジャンルに進出するとともに、それは、結果、「Emotion I/O」がより精度の高い、人々の気持ちに即したお客様へのサポートが可能になることを意味するだろう。
先ほども触れたが、ECは、一層、顔色を見たりしながら商品提案したりするリアルの店舗に近づき、リアルの店舗以上に、人の気持ちにリアルに近づく、そんな時代が来るのかもしれない。ECの進化を見逃さないでほしい。お客の笑顔は、そうしたお客想いのECの進化といつも隣り合わせだ。