日本郵便、郵便料金割引の変更でDMコスト増!EMS値上も
記者の論点:今回の変更で、各郵便物の割引率が下げられ、DMを打っているネットショップにとってはコスト増加となる。
郵便物の減少、そして労働力不足と積み重なる問題たち
日本郵便株式会社は、6月1日から郵便料金の割引及び国際郵便の料金の一部を変更することを発表した。中でも、越境ECに関係する企業においては、EMS(国際スピード郵便)の料金が300円~500円引き上げられる他、300gの重量区分が廃止されるという部分は影響がありそうだ。変更内容は次の通り。
1.バーコード付き郵便物の割引率の変更
「バーコード付き郵便物」とは、一定の条件を満たす定形郵便物又ははがき(第二種郵便物)に、所定のバーコードを記載したものをいう。現行の割引率は5%であるが、2%へ引き下げられる。また、広告郵便物及び区分郵便物に加算されるバーコード郵便物の割引率も2%へ引き下げられる。
2.区分郵便物の割引率の変更
「区分郵便物」とは、定形郵便物、定形外郵便物および郵便はがきのうち、事前に郵便区番号ごとに区分された郵便物のことで、現行5%である割引率が、3%まで引き下げられる。ただし、現行割引率が4%〜6%のものは2%、現行割引率が2%のものは1%の引き下げとなる。
3.広告郵便物の割引率の変更
「広告郵便物」とは、手紙(第一種郵便物)または、はがき(第二種郵便物)のうち、請求者自身の「商品の広告」、「役務の広告」、「営業活動に関する広告」を目的とし、同一内容で大量に作成された印刷物を内容とするものをいう。基本割引率が現行のものから3%引き下げられる。なお、広告郵便物はあらかじめ郵便局に見本を提出して承認を受ける必要がある。
4.郵便区内と区別郵便物の料金の変更
郵便区内特別郵便物の料金を1通当たり5円又は6円引き上げられる。また、同時に1,000通以上を差出郵便局の指示により並べる等して差し出される場合の料金を廃止する。
5.書留料等の割引率の変更
一般書留、簡易書留及び特定記録郵便の特殊取扱料に適用される、同時に大量に差し出される場合の割引(単割)の割引額を10円引き下げ、簡易書留の特殊取扱料に適用される、郵便区内特別郵便物として差し出される場合の割引(区内割)の割引額が30円引き下げられる。
また、簡易書留の年間差出通数による割引(基本年割及び特別年割)を廃止。ただし、2016 年 5 月 31 日(火)現在において基本年割又は特別年割の適用を受けている利用者については、その割引の適用期間が終了するまでの間(最長でも2017年4月 30日(日)までの間)は従来どおりの割引が適用される。
6.国際郵便物の料金の一部改定
(1)EMS(国際スピード郵便)の料金が300円~500円引き上げられる。また、300gの重量区分が廃止される。
(2)国際船便小包郵便物の第1地帯(東アジア)の料金が100円~1,550円引き上げられる。
国内の郵便物が減少傾向にある中、日本郵便では、郵便・物流ネットワークの再編、区分機処理の推進等による効率化に取り組んでいる。しかし、労働力不足による賃金単価の上昇、高齢化等に対応するための各種制度的負担の増大により、安定的なサービス提供を維持できる収支の確保が困難な状況となっている。一方、郵便料金の各種割引についても、導入当時からの環境変化により、見直しが必要となっていた。
また、国際郵便は、海外の郵便事業体に支払う配達費用や国内処理コストの増加により、採算性が悪化している状況だ。そこで、郵便の安定的なサービス提供を維持するため、内国郵便の料金割引の一部を変更するほか、国際郵便料金の一部について改定に至った。
割引率変更によるネットショップへの影響は?
昨今、ネットショップ利用者へのアクションといえば、メールマガジンを筆頭にLINEなど、インターネットでのダイレクトマーケティングが増えている。その一方で、まだまだダイレクトメールを送っているネットショップも存在する。そういったネットショップにとって、今回の変更に「広告郵便物」の基本割引率が下げられてしまうことは、微々たる物かもしれないが、コストの増加につながる。
しかし、インターネットでのダイレクトマーケティングはあくまで手段の1つでしかないということを忘れてはいけない。あくまで、自身のショップの商品やユーザーに合った手法を見つけることが何よりも重要なのだ。