東経連・楽天・ヤマトが創り出す、東北復興への道

利根川 舞

東日本大震災から5年経った今も、東北復興の終わりは見えない。そんな中、東北の商品を海外へと届ける取り組みが、東北経済連合会、楽天、ヤマト運輸によって行われる。

世界への一歩が、東北復興の大きな一歩へ

 一般社団法人東北経済連合会(以下「東北経済連合会」)は今月10日、楽天株式会社(以下「楽天」)とヤマト運輸株式会社(以下「ヤマト運輸」)の2社と連携し、17日から24日までの間、香港向けECサイトを通じて東北の地域産品を販売するモデル事業を行うことを発表した。

この事業は、復興庁の東北海外展開加速化協議会の事業の一環として実地されるもので、楽天が運営する「楽天市場」とヤマト運輸の物流・流通ネットワークを組み合わせ、東北の魅力のある地域産品を広く販売するモデルの構築を目的とするものだ。

具体的には、東北経済連合会が海外進出を目指す東北の企業や商品を提案し、楽天は出店企業に対する説明会などを通じて出店ノウハウや販売スキルを提供、ヤマト運輸は海外販売のネックとなっている輸出準備や物流業務を全面的に支援し、事業者の海外展開を後押しする。

今回は、復興庁による「世界にも通用する究極のお土産ー『新しい東北』の挑戦ー」に選ばれた5商品を含む東北の商材15社44品を香港向けに「Rakuten Global Market」で販売する。

東北の多くの地域が先の東日本大震災によって甚大な被害を受けた。それにより、多くの人々が職を失い、住む土地すら失った。

平成27年国勢調査によれば、秋田県の人口減少率が5.8%と最も、高く次いで福島県の5.7%となる。震災による津波や原発事故によって人口の流出は止まらない。

2014年に安倍内閣が掲げた『地方創生』。地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした政策であり、先日「ECのミカタ」でも掲載した「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」もそういった取り組みの一つと言える。

震災から5年経った今、一番『地方創生』を必要としているのは東北だ。そのためにも人口を食い止めることは必須である。しかし、それに時間がかかることは、誰が見ても明白。だからこそ、今「ECのチカラ」が必要なのだ。

実店舗ならば、そこに人がいなければ店は潰れてしまう。だけれども、ECならば、例え人がそこにいなくても、全国へ、そして地球の裏側にまでも素晴らしい商品を届けることができるのだ。そして、生産者や事業者の活動が活発になれば、いつか人が戻ってくるかもしれない。

多くの生産者、事業者が震災を乗り越え、新たな第一歩を踏み出した。悲しみや苦労を背負いながらも、東北の地で胸を張って商品を作り続けている。今回の取り組みはその素晴らしい商品を世界中へと届ける第一歩だ。地産地消だけが地域おこしだけではない。東北復興の道には広い視野と行動力、そして素晴らしい商品を届けようという熱い気持ちが大切なのだろう。


記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部
ロックを聴きつつ平安時代に思いを馳せる文学人間。タイムマシンができたら平安時代に行きたいです。
ライブハウスやフェス会場に出没しては、笑って、泣いて、叫ぶ姿が目撃されている。ACIDMANや10-FEET、ROTTENGRAFFTYが大好き。

サービスやその場の雰囲気がイメージしやすくなるような記事を書いていきたいと思います。

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