アパレルECの未来~下取りして、新しい洋服に買い替える~

福島 れい

拡大するアパレルECの今と、そこでサービスを展開する5社に迫る連載企画!
今回は、古着の買取・販売ショップ「Branduru(ブランドゥール)」を取材してきました。

【目次】
・アパレルECの未来 1章~概論:今を知る~
 (https://goo.gl/uFvr2C
・アパレルECの未来 2章〜メイキップ:オンラインフィッティング編~
 (https://goo.gl/PabmX5
・アパレルECの未来 3章〜エアークローゼット:日常生活で試着編〜
 (https://goo.gl/1PbAlN
・アパレルECの未来 4章〜SHOPLIST:個別接客編〜
 (https://goo.gl/I32BBn
・アパレルECの未来 5章〜ブランドゥール:古着EC編〜 
・アパレルECの未来 6章〜フレックスジャパン:国内生産元編〜
 (https://goo.gl/a6PLvY

ファッション好きこそ、”古着の売却・購入”を

 大切に着用してきたお気に入りの洋服や、高価な洋服が不要になった時どうするだろう?そのまま捨ててしまってもいいのだが、愛着があればあるほど捨てにくい。これはファッション好きの人が抱える悩みの1つではないだろうか?この大切な洋服を手放した後、また別の人が大切にしてくれるのなら、そんなにうれしいことはないだろう。

 もう1つファッション好きの人が抱える悩みがある。それは「欲しい洋服が沢山あって、資金が足りない!」ということだ。自由にファッションを楽しむには、それなりに費用もかかるもの。少しでも抑えられないかと工夫している人も多いだろう。

 今回はファッション好きの人が抱えているであろう、この2つの悩みを解決する方法の1つ、”古着の売却・購入”について考えてみようと思う。

”洋服の買い替え”を促す Branduru

 今回取材したのは、株式会社ライトプレイスファクトリー 代表取締役 若山 知宏さん。2年連続で楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞するブランド古着の買取・販売ショップ「Branduru(ブランドゥール)」を展開している。

 創業のきっかけは「もともとファッションが好きで様々な洋服を買うために、古着も頻繁に購入していました。」という若山さん自身の経験にある。そんなBranduruが古着ショップの視点から描くアパレルECの未来は、”洋服を手軽に買い替え、新しいアイテムを手にする機会が増える”そんなファッション好きにはたまらない未来だ。

 Branduruが大切にしているのは、お客様の納得感。これは購入するお客様にも売却するお客様にも重要だといい、納得感があるからこそ、リピート顧客も多いのだそう。
 
 例えば、Branduruに洋服を売却するとき、お客様は”おねだり”ができるようになっている。”おねだり”とは買取希望価格などのコメントを洋服に添え、バイヤーに洋服を大切に想う気持ちを伝えられる仕組みだ。多くの場合、1箱の段ボールに複数の洋服が詰められた状態で届くが、売却するお客様の気持ちの中では「これこそは!」という洋服があるのだそう。若山さんは「大事にしてきた洋服だからこそ、その買取価格や評価に対して納得感が必要になる。特に想いが込められた洋服を伝えてもらうことで、お客様の納得感を得やすいのです。」と語る。

 また、古着を購入するお客様をがっかりさせないための配慮として商品のランク付けに工夫がされている。お客様が想像している商品の状態よりも良い状態で販売するため、商品の状態を通常よりも厳しくランク付けしているのだ。そうすることで、お客様の想像よりも状態の良いものを届けやすくなり、結果満足に繋がるのだという。

 他にも商品に手書きのメッセージを添えたり、返品サービスを充実させたりとお客様の安心感を高める工夫が沢山ある。Branduruの事業の根底にあるのは、何よりお客様の気持ちに寄り添う姿勢だ。

”買い替え”でもっとファッションを楽しもう

 ”古着”というと商品の状態が気にかかるという点で、どうしても新品の商品を購入するときより不安が大きくなってしまう。しかし、欲しい洋服を安く購入できたり、手元にある洋服を売却できたりと古着ならではの良さがあるのだ。

 この古着の良さを踏まえ、若山さんは「手元にある車を下取りに出して、別の車に乗り換えることに違和感を覚える人は少ないでしょう。洋服やアパレルアイテムにおいても下取りに出して、買い替える仕組みができれば、もっとファッションを楽しめるようになります。」と語ってくれた。

ブランドゥールの“買い替える”習慣が、アパレルの今を変えつつある。ブランドゥールが提案する、洋服を“買う”だけでなく、“手元にある洋服を売って、また購入する”という楽しい循環こそが、アパレルの未来であり、ECの未来である。アパレルと私たちの関わり方を変えるかもしれない文化が、すぐそこまで来ている。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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