EC業界に密かに開いた、犯罪の抜け道。その対策は?
つい先日、株式会社NETSEA(以下「NETSEA社」)が運営するB2Bプラットフォームサイト「NETSEA」において、不正アクセスにより顧客情報が流出したとの発表があった。
流出した可能性のある最大件数は131,464件の会員情報、そして7,386件のクレジットカード情報だ。決済代行会社からクレジットカードの情報を用いて、不正利用がなされた疑いがあるという報告から発覚。現在、流出の可能性があるクレジットカードについては、クレジットカード会社各社と連携し、取引状況のモニタリングを継続的に実施している。
インターネットが広く普及した今、インターネットを利用した犯罪は山ほど起こっている。その中でも、個人情報の入力が頻繁に行なわれているEC通販業界ではことさら犯罪に悪用されがちである。
その、個人情報の抜き取りによく使われるのがフィッシングサイト(偽サイト)だ。ソフトバンクグループのBBソフトサービス株式会社(以下「BBソフトサービス」)が発表したインターネット詐欺リポート2015 年間リポートによれば、2015年1年間に検知した検知数は平均で835,999件と前年平均に比べて約16%増加。種類別にみてみると、2014年はワンクリック・不当請求詐欺サイトが大半を占めていたが、2015年はフィッシング詐欺サイトや偽ソフトウエア配布サイトが増加しているという。
今年の2月と4月にはAmazon.co.jpの、本物とそっくりなフィッシングサイトが世間を騒がせたばかりである。こういった本物そっくりなフィッシングサイトにログインさせて、個人情報を入力させることにより、情報を引き抜いているのである。
◆Amazonの偽サイト再び。他人事ではないEC詐欺
https://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8751/
EC犯罪は楽天市場でも
4月には楽天株式会社(以下「楽天」)が「安心・安全に向けた取り組み」についてのセミナーを開催。楽天市場内で行なわれている犯罪行為についても言及。先に述べたクレジット情報の悪用だけでなく、楽天市場で販売されてしまっている模倣品の実態や対策方法について語られた。
ちなみに、楽天市場では楽天市場に出店しているECサイトを騙るサイトのURLを一覧にして公開していたり、ヤフオク!やDeNAショッピングにおいても注意喚起のページが作成されている。
◆【楽天セミナー①】詐欺対策に質の向上。欠かせぬ4つの鍵
https://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8726/
◆【楽天セミナー②】詐欺を突き止める手段とは?
https://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8729/
◆【楽天セミナー③】レビューの詐欺による取り組みとは
https://ecnomikata.com/ecnews/backyard/8732/
事業者だけじゃない。一消費者が手を染める。
ここまで、EC事業者による詐欺について取り上げてきたが、今、消費者による詐欺も横行しているのである。それは、クレジットカードの不正使用や後払い決済の仕組みを利用した、「EC万引き」だ。しかも、「EC万引き」したものを転売しているケースも多いというから悪質だ。
こういった行為、犯罪グループが行うイメージが強いかもしれないが、今は一消費者が様々なテクニックを使い、このような犯罪に手を染めているのである。
◆主婦までもが手を染める「EC万引き」から店舗を守る【解説】
https://ecnomikata.com/ecnews/backyard/8788/
便利なこの時代、消費者として気をつけるだけでなく、ECサイトを運営する立場としても注意しなければならない。フィッシングサイトに自社のサイトを騙られてしまえば、名誉が傷つけられることになる。また、EC万引きに遭えば、場合によっては損害を受ける(契約条件によって入金が保障されている場合もある)。
例えば、実店舗であれば監視カメラの存在や万引きGメンなどで牽制して未然に防いだりと対策をしている。もちろんインターネット上でも不正検知システムや危険サイト検知機能などを使い、対応をしてはいるのだが、まるで宇宙のように広大なインターネットの中では、抜け穴や隠みのが多いのである。
普段生活している中でもいつ犯罪に遭うかわからないからこそ、家の鍵を閉めたり、子どもに「知らない人にはついていっちゃダメだよ。」と言い聞かせるのである。ECサイトだとしても、それは同じこと。ECでの犯罪に遭わないための対策、遭ってしまった場合の対応を、今、考える時だ。