EC市場規模13兆円、基盤となる日本市場動向とは?【経済産業省調べ】
EC市場をより深く知るために、日本市場を知る
経済産業省より発表のあった「電子主取引に関する市場調査」によれば、2015年のBtoC-ECの市場規模は13兆7746億円、前年比7.64%増となった。過去5年間、前年比10%以上の伸びを続けてきたのに対して前年比7%にとどまった大きな理由として、経済産業省は「個人消費そのものが落ち込んでいた」としている。
ここからも感じられるようにEC業界に限らず、日本市場全体がどのような状態にあるのか、広い視野で把握しておくことは結果としてEC業界の置かれる状況をより正確に理解することにつながるだろう。そこで今回は、「電子主取引に関する市場調査」より、国内経済等の動向に焦点を当てたい。
「2015年度 電子主取引に関する市場調査」に関して以下にもまとめています。
・2015年のEC市場規模・市場状況について
→ https://ecnomikata.com/ecnews/9545/
・2015年の越境EC事情について
→ https://ecnomikata.com/ecnews/9579/
日本市場の状況とは?
2015年のGDP成長率
そもそも、GDP(国内総生産)とは国内で生み出された付加価値・利益のことを言うが、そのうち個人による消費は約6割を占める。BtoC-ECはこの個人消費の一部に該当するため、GDPの伸び率はEC市場にも関係の深い数字だ。四半期ごとにGDP成長率を見ると、1-3月で+8.3%、4-6月で-0.2%、7‐9月で+2.6%、10-12月で-0.9%となっており、成長率は一進一退の状態となった。2015年の日本市場は踊り場であったとみることができる。
消費動向
2015年月別の小売業販売額を見ると、1~3月は前年比大幅減となったが、それ以降は4~8月、10月が前年比増、それ以外の月は前年比減となっている。1~3月で大幅減となったのは、2014年の消費額が消費税増税前の駆け込み需要の影響で大幅増加したことが原因。また、個人の消費支出を見ると2015年の年間合計額は2012年以来3年ぶりに、180万円を切る結果となっており、これらを踏まえると、2015年の個人消費はやや落ち込み気味だったとの見方ができる。
ECの根幹、インターネットの事情は?
インターネットの利用状況
2014年末の時点でインターネットの利用者数は1億0018万人、人口普及率は82.8%となっている。10年前の2004年末の時点では利用者数7948万人、人口普及率66%であったことを考えるとインターネットはますます身近な存在となっていることを感じられる。
スマートフォンの利用状況
インターネットを利用端末する際の端末として、2014年末時点で「自宅のパソコン」53.5%、「スマートフォン」47.1%、「タブレット型端末」14.8%となっている。2013年末時点では「自宅のパソコン」58.4%、「スマートフォン」42.4%であったことを見れば、スマートフォンの利用が急激に進んでいることがわかる。
2015年のBtoC-ECの市場規模13兆7746億円、前年比7.64%増という数字は、一見、成長が落ち着いたかのように見えるが、このように日本市場全体を見てみると、EC市場そのものはまだまだ成長過程にあるということがわかる。EC市場の規模に対して、スマートフォンの成長のほうが進んでいる事から、その進化の速度を思えば、スマートフォン対策は急務。また、そのスマートフォンの利便性と機能を考慮すれば、限りなくリアルとの垣根もなくなってきており、EC単体ではなく、リアルも巻き込んで、「買い物」そのものの成長を考える事が、結果、ECの市場の成長とみるような時代がやってくるように思う。スマートフォンの利用が増え、サイトの作り方が変わったように、当然のことだが、EC業界の外の変化からうける影響は大きいのだ。日ごろから積極的に情報収集をし、店舗運営に生かすことが求められるのではないだろうか。